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『動物たちのささやき』
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- ◆堀米薫=作
- ◆三上唯=絵
- ◆国土社=刊
- ◆定価=1,210円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け
人と動物とのかかわりは 深くて不思議なもの 異なる趣向の7話を収録
「ペットと話すことができたら」「庭に来る鳥や野良猫の気持ちがわかったら」。そんなふうに思ったことはありませんか。案外、動物たちのほうも同じように感じているかもしれません。
「おっちゃん」は、野良猫歴10年のベテランのオスです。野良猫なので飼い主はいませんが、5年生の野乃花の家の辺りを縄張りにしています。ここは牛舎があって広く、牛の餌になるワラを入れておく小屋もあって居心地がいいのです。ある日、おっちゃんはワラ小屋で生まれたばかりの子猫を発見します。近くにいたその母親らしき猫はげっそりやせて死にそうで、子猫を置いてふらふらとどこかに行ってしまいました。「どうしよう」。子猫にミルクをあげることができないおっちゃんは困って、何とか野乃花に知らせようとしますが…。
この作品『わし、おっちゃんでがす』を含め、動物と人間との交流を軸にした七つのお話を集めた短編集です。野良猫、村のキツネ、牧場の牛、ペットのウサギなど、さまざまな動物の視点で語られます。動物と人間の境界にいるような不思議な物語、昔話に似た展開ながら意表をつく結末の物語など、それぞれ切り口も味わいも異なります。
作者は宮城県で農業を営み、牛の飼育もしながら児童文学を書いています。それだけに牧場を舞台にしたお話では、牛たちの息遣いや夜中の月明かりの美しさの描写に引き込まれます。どれも短時間で読書の楽しさが味わえる物語です。
『プテラノドンの そらとぶ いちにち』
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- ◆竹下文子=文
- ◆鈴木まもる=絵
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
空を飛ぶときも 餌を探すときも 翼竜たちは一生懸命だった!
海辺の朝。崖からプテラノドンたちが波の上に飛び立っていきます。魚の群れを見つけると急降下して「ぱくっ!」。魚をくわえて崖に戻ると、おなかを空かせた子どもたちがお母さんの帰りを待っていました。
今からおよそ7000万年前。地球には数多くの恐竜が暮らしていました。トリケラトプス、ティラノサウルス、そして翼竜プテラノドンも同じ時代を生きていました。そのプテラノドンの一日を描きます。海生爬虫類の一種、巨大なモササウルスが海中から姿を現す場面は迫力満点。空から陸の恐竜たちを見下ろす場面も、恐竜好きならわくわくします。太古の動物たちが「こんなふうに生きていたんだな」と実感できる絵本です。
『うせものがかり なくしたもの、見つけます。』
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- ◆ほしおさなえ=作
- ◆pon-marsh=絵
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け
大切なものは 糸でつながっている これって運命の赤い糸!?
両親と共に、おばあちゃんの家に引っ越してきた鈴森まゆ。転校先の学校では、遠山つむぎという無口な少女の隣の席になりました。つむぎには不思議なうわさがあって、なくした物があれば、彼女がおまじないみたいな方法で見つけ出してくれるというのです。ある日、まゆは近所の神社でつむぎの姿を見かけますが、真剣な顔でお祈りをしているので、声をかけることができませんでした。
舞台は埼玉県川越市。市内の川越氷川神社は縁結びの神様として有名です。縁結びといっても結婚だけではありません。家族や友だちとのつながりもすべてが縁なのです。そんなことを考えたくなる、不思議な少女との友情物語です。
『とどけ! ボール つながれ! ぼくらの言葉』
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- ◆村上晃一=著
- ◆あかね書房=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
聞こえないはずなのに、 トライした瞬間、 歓声が心に響いた!
大塚貴之さんは、生まれつきほとんど耳が聞こえません。でも人の口の動きを見てことばを理解できるので、話すことができます。ただそうなるまでには大変な訓練と努力が必要でした。一般の公立小学校に入りましたが、周りが気になっていつも不安でいっぱいでした。そんな貴之さんを変えたのがラグビーとの出合いでした。
貴之さんは今、デフラグビー(聴覚障害者のラグビー)の選手として活躍する一方、子どもたちにラグビーの普及活動などをしています。努力を重ねてきた彼の生き方が、音のない世界への理解を促すとともに、コミュニケーションとは何か、人と人とがわかり合うとはどういうことかを教えてくれます。
『統計学・データサイエンスの基礎が身につく! 10歳からの データリテラシー』
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- ◆本丸諒=著
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
この「急上昇」って本当? データの見せ方に潜む 落とし穴を見抜こう!
「ランキングで2位」「30%節電できます」「売り上げ日本一」「昨年に比べ急上昇」。世の中にはそんな宣伝文句があふれています。うそではないものの、見る人の明らかな誤解を誘うようなグラフがついていることもあります。たとえば、円グラフや棒グラフを立体的に表したものは、立体の描き方次第で、小さな差も大きな差に見せることができます。
「データリテラシー」とはデータや情報を正しく読み取る力のこと。この力が身につけば、自分が発信する側になったときも適切な伝え方ができるようになるでしょう。「代表値」「データの尺度」「フェイクニュース」などについて、先生とキャラクターとの会話形式で、楽しく学べる一冊です。
『世にもあいまいなことばの秘密』
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- ◆川添愛=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=990円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
「双子の妹がいます」 妹は1人? 2人? どっち? 日常会話はすれ違いだらけ
生活のなかで「どちらの意味かな」と迷う表現に出合うことはたくさんあります。たとえば「わたしには双子の妹がいます」といった場合、その人自身が双子の1人なのでしょうか。それとも別に双子の妹たちがいるのでしょうか。
「ちょっとした勘違い」ですめばいいのですが、話し手の意図と違う意味で解釈して大失敗してしまうこともありえます。そんなことのないよう、本書ではあいまいな表現の事例を挙げながら、その原因とすれ違いを防ぐ方法を紹介しています。ではここで問題を一つ。「頭が赤い魚を食べるネコ」。この表現にはいくつの解釈が考えられるでしょうか。正解はなんと五つ。ことばは複雑ですね。
『はずれ者が進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密』
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- ◆稲垣栄洋=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=880円(税込)
苦手でもちょっとやってみよう その先に、「進化」につながる 得意があるかもしれない
白金高輪校 校舎責任者皆さん「進化」とは何だと思いますか。レベルアップをして、強く大きく優れた姿になるということでしょうか。たとえば、木と草とではどちらが優れているか考えたことがありますか。樹齢数百年の大木もある木のほうが優れた姿のように思えるかもしれませんが、実は寿命の短い草のほうが木から「進化」した姿なのです。1本の木が何百年も生き抜くことは、1本の草が1年を生き抜くことに比べて簡単ではありません。だから寿命が短いほうが命をつなぎやすく、環境に適応した形といえるのです。
恐竜も大きいほうが強い気がしますが、そうとはかぎりません。たとえば、馬ぐらいの大きさのエウロパサウルスという恐竜がいます。祖先は巨大でしたが、生息地の餌に限りがあったため、からだを維持するのにより多くの餌を必要とする大型恐竜は生き残ることができず、からだの小さな恐竜に姿を変えていきました。「大きくなる」「強くなる」ことが進化ではないのです。失敗したから違うやり方をしてみる。生きにくかったから別のところで生きてみる。そのように適応できる生き方を探しながら生き物は変化してきました。そうしたことをいろいろな植物や動物の事例から教えてくれるのがこの本です。
著者は中学入試頻出の植物学者なので知っている人は多いでしょう。4年生以上なら問題なく読めると思います。先入観を持って物事の優劣や得手不得手を判断するのではなく、積極的に取り組むことの大切さも学べるかもしれません。たとえば、リスの仲間のモモンガは、リスのようにすばやく木を駆け登ることはできません。でもひとたび木に登ってしまえば、見事に滑空することができます。もし苦手だからと木に登らなかったら、空を飛べることに気づかなかったかもしれません。「得意なことを探すためには、苦手そうに思えてもちょっとやってみる」。それが自分を環境に適応させる変化につながるかもしれない。そんなことも教えてくれることでしょう。これから「進化」しつつある皆さんに、ぜひ読んでほしい一冊です。
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