Booksコーナー
※お好きな本のタイトルをクリックして下さい。その本に関する内容が、表示されます。
掲載月一覧 | 2023年8月|2023年7月|2023年6月|2023年5月|2023年4月|2023年3月| 2023年2月|2023年1月|2022年12月|2022年11月|2022年10月|2022年9月 |
Books目次へ△ |
---|
『手で見るぼくの世界は』
-
- ◆樫崎茜=作
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
この世界に線引きなんてない ここはみんなの世界 そしてわたしたちの世界
視覚支援学校に通う佑はこの春から中学生。小学部から一緒だった双葉も同じクラスになるはずでしたが、彼女はある事件のショックで学校に来ていません。双葉は駅近くの点字ブロックを通行中に人とぶつかって転倒。「目が見えねえのに、独りで歩いてんじゃねえ!」と暴言をはかれ、持っていた白杖を放り投げられたのです。佑は双葉のことが心配でしたが、中学から始まった寄宿舎生活に慣れるだけで精いっぱいでした。
5歳のときの病気がきっかけで目が見えなくなった佑。先天的に目が見えない双葉。生きづらい社会に傷つき悩みながらも、前を向いて歩こうと決意するまでの姿を描きます。寄宿舎から校舎に移動するとき。白杖を使って街を歩く練習をするとき。近くのコンビニで買い物をするとき。「ぶつかったらどうしよう」「怒鳴られたらどうしよう」「はぐれたらどうしよう」。佑や双葉たちが生きる世界は不安でいっぱいです。そんな佑たちの不安や揺れ動く思いを、作者は視覚支援学校での綿密な取材をもとに鮮やかに描き出します。
音やにおい、手触りで認識する世界では授業のしかたも違います。マッチで火をつける練習から始まる化学実験の授業も、動物の骨格標本を触って学ぶ生物の授業も、一つひとつの段階を緻密に追っていくことで、物を認識するとはどういうことなのかが伝わってきます。全編にわたって佑たちの一挙手一投足がていねいに描写されています。それによって読者も追体験することができ、自分が生きているこの社会について、ふだんは意識しない多くのことに気づかせてくれます。
『おしえてくれる? わたしのなまえ』
-
- ◆ナイジェル・グレイ=文
- ◆ベサン・ウェルビー=絵
- ◆もりうちすみこ=訳
- ◆ゴブリン書房=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
娘だろうと孫だろうと ほかの誰かだろうと わたしはあなたが好き
お母さんがケーキを焼いたので、グレースは一人暮らしのフィリスに届けました。「あなた、どなた?」「グレースっていいます」「おうちはどこ?」「となりです。お母さんがこれ、どうぞって」。別の日、お母さんがシチューを作ったので、またフィリスに届けました。「あなたのなまえは?」「グレースです」「わたしはフィリス。この名前、いいと思う?」「ええ」「よかった」。
認知症のフィリスの話はつかみどころがなく、グレースのことも自分の娘と勘違いしたり孫だと思ったり。でもグレースは気にしません。フィリスに好かれていることに変わりはないからです。少女とおばあさんの小さな交流を通して、認知症への理解を促す美しい物語です。
『小学館の図鑑NEO[新版]乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船』
-
- ◆小学館=刊
- ◆定価=2,200円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け・小学校中学年向け
最新情報も盛りだくさん 鉄道・自動車・飛行機・船 今活躍中の約800種を紹介
人や物を運ぶ乗りもの、人の仕事を助ける乗りもの、人の救助や生活を守るための乗りもの。そんな乗りものを、鉄道・自動車・飛行機・船の四つに分けて紹介するDVD付きの図鑑です。
登場するのは最新の乗りものも含めた約800種類。自動車では特に消防や工事のもので、車両の持つ機能や役割に注目して分類しています。たとえば消防の自動車といっても放水・救助・指揮などの役割別にさまざまな車両があります。鉄道では西九州新幹線の最新車両や、話題の観光列車「ふたつ星4047」など、最新の列車も掲載。安全に走るための線路の工夫や、「飛行機が空を飛ぶしくみ」など、乗りものの仕組みや技術のページも興味をかき立てます。
『ペンタとニック』
-
- ◆風野潮=作
- ◆吉田尚令=絵
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
自分だけに 聞こえる不思議な声 もしかしたらニック?
健太の飼いネコ、ニックがいなくなったのは、妊娠中のママが病院に入院していたときでした。健太はニックの似顔絵入りポスターを作ろうとしますが、うまくできません。そこで、ママと同じ病院に入院中のクラスメートの平野さんに手伝ってもらうことにします。平野さんの病室に行くと、どこからともなく「ペンタ!」と自分をあだ名で呼ぶ声が。その声は健太にしか聞こえないようでした。
出産を控えたママのことも心配なら、行方不明のニックのことも心配な健太。その一方、脊髄の病気で車いす生活をする平野さんはしっかり者で、健太は驚かされてばかりです。軽快な関西弁に乗せ、周囲の人々への理解を深めて成長していく健太の姿を描きます。
『あした、弁当を作る。』
-
- ◆ひこ・田中=作
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
母さんの弁当はもういい 弁当は自分で作る! これって反抗? 自立?
「タッちゃん、行ってらっしゃい」。母に背中をぽんとたたかれて学校に行くタツキ。学校から帰れば、母が手作りのおやつを用意して待っていて、「学校、どうだった?」と聞いてきます。そんな毎日でも、以前は何も感じなかったのに、ある日を境に、タツキは母に背中を触られるとぞくっとするようになります。母が作った弁当を食べるのも気が重くなりました。
母の重たい愛から逃れるため、タツキは両親の反対を押し切って「弁当は自分で作る」と決めます。これは反抗なのか、成長なのか、それとも自立への第一歩なのか。男女の役割分担への疑問もからめながら、母の過保護から脱しようとする中1男子の奮闘をユーモアたっぷりに描きます。
『ナマケモノは、なぜ怠けるのか? 生き物の個性と進化のふしぎ』
-
- ◆稲垣栄洋=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=858円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
つまらなそうな 生き方の裏に すごい生存戦略があった
ナマケモノは一日中寝てばかり。ほとんど動きません。このためエネルギーの消費が少なく、動きのすばやいネズミのように、常に餌を探し回る必要がありません。木立の中でじっとしているので、肉食動物に見つかりにくいのも特徴の一つです。ナマケモノのスローな動きは、生き残るための戦略なのです。
ナマケモノ、ナメクジ、ダンゴムシ、もやし、雑草など、一見ぱっとしない動物や植物を取り上げ、つまらなそうな生き方の裏にある、すごい生存戦略について解き明かします。話の締めくくりは、「つまらない」生き物としてのヒトです。ヒトの遺伝子、個性、そして「何のために勉強するのか」まで。「あなたはあなたのままでいい」理由を語っていきます。
『ミライの授業』
-
- ◆瀧本哲史=著
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
偉人たちの生き方を例に 教えてくれる 「何のために勉強するのか」
青葉台校 校舎責任者皆さんはふだん勉強をしているとき、ふと「何のために勉強をしなくてはいけないのか」と思うことはないでしょうか。なんで算数の計算問題をこんなにやらなくていけないのか。なんで都道府県の県庁所在地を覚えなくていけないのか。苦手な科目、興味が持てない分野ほど「なんで?」と疑問を持つと思います。でもふだんの授業で、勉強が必要な理由を教わることはほとんどありません。
この本は、当時、京都大学客員准教授だった著者が、全国の中学校で行った特別講義のエッセンスをまとめたものです。講義のタイトルは「未来をつくる5つの法則」。つまり未来を変えるための特別講義です。そのなかで著者は、未来をつくるために冒険に出た偉人たちの生き方を例に「何のために勉強するのか」という根本の話をしてくれます。
登場するのはニュートン、エジソン、伊能忠敬といった昔の偉人からJ.K.ローリング、ビル・ゲイツ、緒方貞子など現代の人までさまざまです。知っている人もいれば、知らない人も出てくるでしょう。どの人も最初から成功したわけではありません。粘り強い孤独な戦いを経て真の成功が生まれます。たとえばナイチンゲール。戦地の病院で兵士の看護に当たった彼女は、兵士の多くが不衛生な病院での感染症が原因で亡くなっていることを知り、政府に衛生状態の改善を訴えました。そのとき、ただ訴えたのでは伝わらないと考え、統計学を駆使して兵士の死因別死者数を示す独自のグラフを考案して、政府を説得しました。看護師になる前に学んでいた数学が役に立ったのです。
誰でも変革者になれる可能性があります。そのためには自分の可能性を信じて冒険の旅に一歩踏み出すことです。その冒険には仲間が必要です。当たり前に思っていることに疑問を感じる必要もあります。思い込みにとらわれないようにもしなければなりません。未来を生きる人たちに何が必要かを教えてくれる本です。「だから勉強することが必要なのか」と実感できると思います。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎