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『あずきの絆 ぼくが図書室で出会った妖怪』
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- ◆髙森美由紀=作
- ◆岩崎書店=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
小豆洗いは言った 「あずきをとぐのが好きじゃ。 そこに意味などない!」
5年生の佐々木蓮は転校してきてすぐに、クラスを仕切る男子の機嫌を損ねて目をつけられ、それ以来クラスで居場所がありません。安らげるのは図書室に行くときだけ。蓮は本が好きで、特に怖いお話が大好きです。そんなある日、蓮は図書室で妖怪の「小豆洗い」に遭遇します。本に出ていたとおりの背が低い赤ら顔のおじいさんで、小豆の入ったザルを抱えて本を探していました。探していたのは小豆の利用法が書かれた本でした。
蓮と小豆洗い、そこに6年生の男子図書委員、野田さんが加わり、ひょんなことから3人でおはぎを作ることになり、友情が芽生えていきます。キャラクター設定がおもしろく、昔風のことばを使う義理堅い小豆洗いのおじいさん、浮世離れしたところのある礼儀正しい野田さん、さらに失業中で就活をがんばる蓮のお父さんも魅力いっぱいです。
実は小豆洗いも蓮と似た境遇にありました。小豆洗いは小豆を洗うことが好きですが、「小豆を洗うしか能がない」とばかにされ、妖怪の世界で居場所がないと感じていました。ただ蓮と違うのは「小豆を洗うのが好きだ」と堂々と言えることです。蓮は「5年生にもなって妖怪を信じているのか」とからかわれ、怖いお話が好きなことを人に言えないでいました。そんな蓮が小豆洗いとの交流によって変わっていく姿を描きます。自分のことを「友だち」と言ってくれるとうれしいものです。たとえそれが妖怪であっても。「友だち」は魔法のことばです。
『てんてんきょうだい』
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- ◆山田慶太=文
- ◆田口麻由=絵
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
「てんてん」をつけたら こんなことばに! 日本語っておもしろい!
てんてん兄弟はことばに「てんてん」をつけるのが大好き。まず兄ちゃんがやってみます。「か」に「てんてん」をつければ「が」。「はね」に「てんてん」をつければ「ばね」。兄ちゃんをまねて弟も「てんてん」をつけたくなりました。ところが「兄ちゃん、これはどう?」と言って出したことばは「らーめん」でした。さて…?
いろいろなことばに「てんてん」をつける、ことば遊びの絵本です。「てんてん」をつけるだけですが、時にはまったく違ったすごいものに変身するところにおもしろさがあり、日本語の豊かさが感じられます。親子でページをめくりながら、「ほかにどんなことばがあるかな」と一緒に考えてみてください。
『かがみのなかの ボクとぼく』
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- ◆あんずゆき=作
- ◆くすはら順子=絵
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
素直になれないぼく。 なりたい自分になるには どうしたらいい?
思いどおりにならないと、ふてくされたり意地悪をしたりしてしまうリク。そんなとき胸の中は灰色のもやもやでいっぱいになります。ある日、誰もいない洗面所でママの悪口を言っていると、「本当は大好きなくせに」という声が聞こえました。話しかけてきたのは鏡の中のボクでした。その夜、パパに叱られて洗面所に駆け込んだリクは、鏡に手をついた瞬間、体が鏡の中に吸い込まれていきました。
いけないとわかっているのに、つい自分勝手にふるまってしまうこともあります。そんなとき、自分の顔を鏡で見たらどんな顔をしているでしょうか。鏡の中の世界で小さな冒険をしたリクが、なりたい自分になって戻ってきます。
『妖怪は海にいる!? アラマタ式 海の博物教室』
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- ◆荒俣宏=著
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
ワンダーに満ちた 生き物の赤ちゃん時代。 夜の海は妖怪の世界
ナイトダイビングは生き物の赤ちゃんに出会える絶好の機会。ライトを当てると集まったプランクトンを狙って小さな生き物がうじゃうじゃ。海の生き物には親とは違う不思議な形をしたものが多く、夜の海はまさに「妖怪の世界」です。
地球の成り立ちや生き物の進化、宇宙生物学の話などを交え、独自の視点で生き物の不思議に密着します。特にヒカリキンメダイを追うナイトダイビングの様子は圧巻です。海中で見る発光魚の群れは、宇宙の闇に光る大星団。右に左に旋回したかと思えば、流れ星のごとく著者の脇をすり抜けていきます。実体験を通して「感動してほしい」「探究してほしい」という思いが詰まった一冊です。
『雪の日にライオンを見に行く』
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- ◆志津栄子=作
- ◆くまおり純=絵
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
誰も笑わなかった できない自分を待ってくれた でもその空気がつらかった
大阪に住む唯人の祖父は二十数年前に日本に帰国した中国残留邦人です。中国生まれの父は唯人が幼いころに独りで中国に帰ってしまい、唯人は母と2人暮らしです。恥ずかしがり屋で何をするにも自信がない唯人は、同じ年のいとこに助けられてばかり。いとこがいないと何もできません。そんな唯人の日常に突如入ってきたのが転校生のアズでした。アズははっきりものを言うタイプですが、彼女もまた唯人と同様、クラスの輪に入れないでいました。
正反対のようで、似たもの同士の唯人とアズが、学校行事などでお互いを思いやりながら、自分自身を見つめ直していきます。大阪弁でのテンポの良い会話も魅力の一つです。
『宇宙最強物質決定戦』
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- ◆高水裕一=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=858円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
重力を制するものとは? ダークエネルギーとは? 壮大な宇宙のバトルを見よ!
青年武術家のミスター・ブラック。その前に立ちはだかる相手はニュートロン。試合開始と同時にブラックがニュートロンめがけて高速ジェット波を放ちます。ところがニュートロンはよけるどころか、片手ではねのけてしまいました…。宇宙で互いの周りを回り続けるブラックホールと中性子(ニュートロン)星の連星。その姿はまるでライバル同士が空中で舞いながら戦っているかのようです。
宇宙のさまざまな存在をキャラクターに置き換えて、「大きさ」「重さ」「電気」「速さ」別に、何が最強なのかを探っていくユニークな宇宙論の入門書です。物理学者ホーキング博士に師事した研究者が、宇宙の驚くべき特徴を教えてくれます。
『太陽と月 サッカー・ドリーム』
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- ◆はらだみずき=作
- ◆小学館=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
夢に偶然などない。だから 何をすべきか考え努力する サッカーも受験勉強も
下高井戸校 校舎責任者プロサッカー選手をめざす少年たちの物語です。実はわたしも小学校から大学までサッカーをしていました。中学受験のときは一時中断しましたが、そもそも私立中学を受験しようと思ったのは、地元の公立中学にサッカー部がなかったからです。
「夢はあきらめなければかなう」とよく言います。でも主人公の月人は「それって夢をかなえたから言えるのではないのか」と思ってしまいます。そんな月人が同じくプロをめざす太陽と出会い、良いところや足りないところをお互いに認め合って、一緒に目標に向けてがんばっていきます。
選抜テストに合格するにはどうしたらいいのか。月人は祖父、晴じいのアドバイスにも耳を傾けながら、失敗を次に生かしていこうと努力します。中学受験をめざして勉強している皆さんも同じだと思います。自分に足りない部分を感じ、どうしたら次にうまくできるだろうかと考え、教えてもらったことを次のテストに生かそうとしているでしょう。月人は晴じいに言われます。「おまえにとってサッカーってなんぞ?」。自分は何のためにサッカーをやっているのか。DFでもいいから選抜テストに受かることをめざすのか。自分が本当にやりたいFWでプロをめざすのか。だとしたら何をすべきなのか。受験でも同じです。「いくつか受けるけれど行きたいのは第一志望の学校だ」。そう思うなら、そのために何をすべきか考えてほしいと思います。
サッカーはわたしが担当する算数の学習とも通じるところがあります。サッカーはどんな体勢で蹴ればどうボールが飛ぶかが明確にわかっているので、そこを練習します。算数も他教科に比べて明確に答えが出ます。勝利の方程式のようなものが導きやすいので、その過程を楽しんでほしいと思います。この本にも書かれていますが、夢に偶然などありません。今までの積み重ねがあってこそ、夢は実現できます。一歩一歩の積み重ねが合格につながることを信じて、がんばってください。
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