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『6days 遭難者たち』
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- ◆安田夏菜=作
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
弱っちい存在なんだ、 わたしたち。だから 生きてるってけっこう奇跡
美玖が高校入学後に選んだクラブは登山部でした。祖父と槍ヶ岳に登る約束をしていたのにその祖父が亡くなってしまい、独りでも登ろうと考えて登山に慣れておきたかったからです。しかし日々の活動内容は地図の読み取りや天気図描きばかりで、それが性に合わず、4か月で登山部をやめてしまいます。そんなとき、山に行きたいという同級生の亜里沙に頼まれ、亜里沙の友だちの由真も加えた3人で山登りをすることになります。美玖以外は登山初心者なので、日帰りできる低い山を選び、しっかりした計画を立てて出掛けました。ところが下山の計画を少し変えたために、道に迷って帰れなくなってしまいます。
底をつく水と食料。真っ暗な山中での野宿。途絶えるスマートフォンの電波。軽装備による低体温症。そしてしのびよる死への恐怖。「がんばって歩こう」「いやもう歩けない」「必ず救助が来る」「いやもう見つけてもらえない」。そんな希望と絶望がいったりきたりするなか、3人の胸をよぎるのは過去を悔やむ気持ちばかりです。思い返せば情けないことばかりしていた。何をやっても中途半端だった。伝えたいことを伝えずに現実逃避をしていた…。
それぞれ悩みを抱えながら登山に挑んだ3人が、極限の状況を経験したことで、自分の現在地を確かめながら再び歩き出すまでを描きます。遭難した責任をなすりつけあっては自己嫌悪に陥る美玖たちに、次々とアクシデントが起き、困難な状況が重なっていきます。「大丈夫だろうか」「救助はいつくるのだろうか」と、ハラハラドキドキ心配しながら最後まで一気に読めます。
『クジラがしんだら』
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- ◆江口絵理=文
- ◆かわさきしゅんいち=絵
- ◆藤原義弘=監修
- ◆童心社=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
餌の少ない深海で 生き物たちは こうして命をつないでいる
深い海の底に、一生を終えたマッコウクジラが沈んで落ちてくることがあります。初めはサメがやってきて、鋭い歯でクジラの厚い皮膚をがぶり。サメの食事が終わると、遠まきに見ていたコンゴウアナゴたちが肉に食いつきました。続いてタカアシガニやグソクムシもやってきます。餌が少ない深海では、まれに落ちてくるクジラは大変なごちそうなのです。
クジラの死骸から命をもらう「鯨骨生物群集」という生き物たちに目を向けた、珍しい絵本です。今、この瞬間にも世界中の海には10万頭ものクジラが沈んでいるとのこと。深くて暗い海の底で、命をつなぐこんな営みが繰り広げられていることに驚かされます。
『むてっぽうな女性探検家ずかん』
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- ◆クリスティーナ・プホル・ブイガス=著
- ◆レーナ・オルテガ=絵
- ◆星野由美=訳
- ◆岩崎書店=刊
- ◆定価=2,750円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け
時代の壁を突き破り 世界をめざした女性たち 見よ! この冒険スピリッツ
ロージーがマラソン旅行に向けて、家を出発したのは57歳の誕生日を迎えた2003年10月のこと。がんと闘う人々への寄付金を集めながら、走り続ける旅です。5年後、彼女は骨折した足を引きずりながら、見事にゴールしました。
マラソンでの世界一周のほか、海底探検をしたり、鎖国中のチベットを旅したり、ヨットで単独世界一周をしたり。1000年以上前の昔から現代に至るまで、「女性には無理」ということばを蹴り飛ばし、世界を旅した女性たちがいます。目標を達成した人もいればそうでない人もいますが、大切なのは成功か失敗かではなく、チャレンジ精神を持つことです。彼女たちの旅がそれを教えてくれます。
『スペルホーストのパペット人形』
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- ◆ケイト・ディカミロ=作
- ◆ジュリー・モースタッド=絵
- ◆横山和江=訳
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
個性豊かな人形たちが ばらばらになった心を 一つにして演じた物語とは?
その昔、船長だった独り暮らしの老人、スペルホーストさんはある日、おもちゃ屋さんで5体セットの古いパペット人形を買います。その一つ、「少女」の人形の目の色が昔、愛した人と同じ色だったことに、心を奪われたからです。その夜、スペルホーストさんは愛する人に手紙を書き残して亡くなりました。
主人公は「少女」のほか「王さま」「オオカミ」「少年」「フクロウ」の5体の人形たち。初めは自己主張ばかりしていた個性豊かな人形たちが、最後は一つにまとまって、おじいさんの思いを映した人形劇を見事に演じきります。何度読んでも、その時々の心の扉をトントンとたたいてくれる、そんなアメリカ発の物語です。
『ジャングルのチョコレート工場
甘いチョコの甘くない現実に挑んだ大学生』-
- ◆横山亜未=著
- ◆田口愛=協力
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
世界一のカカオ豆を みんなに届けて 笑顔の輪を広げたい!
幼いころからチョコレートが大好きだった田口愛さん。ふとしたことからガーナのカカオ農家の貧困や、児童労働の実態を知ります。いつかガーナに行ってカカオ農家を見てみたい。おいしいチョコレートのお礼を言いたい。愛さんの心に小さな夢が芽生えたのは中学生のときでした。
アフリカのガーナの村にチョコレート工場を建て、カカオ農家再生計画に挑んだ田口愛さんの活動を紹介します。農家の人たちと一緒に、カカオ豆の品質や生産方法、流通、働く人の意識などの問題に取り組んだ愛さん。それはまさに「カカオ革命」でした。「社会貢献したい」と考えている人に、道筋を示し、夢と勇気を与えてくれる一冊です。
『ことばが変われば社会が変わる』
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- ◆中村桃子=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=968円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け・一般向け
「セクハラ」という ことばがなかったころ、 セクハラはなかったのか
「セクハラ」「パワハラ」「カスハラ」など、世の中にはハラスメントがあふれています。1980年代までの日本には「セクハラ」ということばはありませんでした。だからといって「セクハラ」自体がなかったわけではありません。人々が「セクハラ」ということばを使い始めたことで「長い間、放置されてきた行為が、被害者を苦しめる犯罪として社会的に重要な概念になった」と著者は言います。
ことばが社会を変えることに注目し、そのメカニズムを解明します。日常のエピソード、スポーツ選手のインタビュー、アニメのせりふなど、身近な具体例が豊富でわかりやすく、ことばが社会に与える影響の大きさを痛感させられます。
『知れば知るほど好きになる 算数のひみつ』
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- ◆細水保宏=監修
- ◆高橋書店=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
へえー びっくり! 「でもなぜそうなるの?」 考えてみよう、不思議の訳を
中野校 校舎責任者中学受験の算数というと、授業ではどうしても問題を解く力をつけることに比重がかかります。しかし、授業をしているわたしたちは、「算数ってもともとおもしろいものなんだよ」と感じてほしいと思っています。そんな算数のおもしろさをぎゅっと詰め込んだのがこの本です。
たとえば「4月4日、6月6日、8月8日、10月10日、12月12日は、全部同じ曜日です」と言われたら、「へえー」と思いませんか。毎年必ず同じ曜日になります。不思議ですね。ヒントは、曜日は7日ごとに繰り返されることです。大人であれば当たり前に思う人もいるかもしれません。小学生は「なぜだろう?」と感じる人もいるのではないでしょうか。この「なぜだろう?」という感覚は、算数にかぎったことではなく、ほかの科目や身のまわりの出来事にも持ってもらいたいと思います。ところで、なぜ「2月2日」がないのか気になりませんか。気になった人は考えてみてください。
もう一つ。「連続する10個の数の足し算が一瞬でできる」としたら、知りたいと思いませんか。たとえば「56+57+58+59+60+61+62+63+64+65」。答えは605です。小さい方から5番目の数の後ろに5を付けるだけです。連続する10個の数なら必ず当てはまります。なぜでしょうか。
この本では、そうなる理由が明かされている場合もあれば、明かされていない場合もあります。明かされていない場合は、まず自分で調べたり考えたりしてみてください。わからないときは、ご家族の方に聞いてもいいし、サピックスの先生に質問してもいいと思います。
中学入試問題やサピックスのテキストに出てくる題材も取り上げられています。計算の工夫につながるものもあれば、図形をかいてみる題材もあります。自分で描いて試して確かめてみてください。同じシリーズの『ことばのひみつ』も、漢字やことばについてのおもしろい話が詰まっていてお薦めです。
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