受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2024年10月のBooks

 10月といえば運動会。最近は運動会で万国旗を飾らない学校が増えましたが、青空を背景にカラフルな各国の旗がはためく光景は、運動会を華やかに盛り上げてくれます。今月紹介する『世界の国旗図鑑』は、世界の国旗や地域の旗を200以上も取り上げ、図柄の意味などとともに紹介しています。簡潔なデザインのなかに国の特徴が詰まっている国旗。その由来を知ることは、それぞれの国の地理や歴史、産業などを学ぶことにつながります。眺めているだけでも楽しい国旗の図鑑です。

わたしの カレーな夏休み』

  • 谷口雅美=著

  • 講談社=刊

  • 定価=1,540円(税込)

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

食いしん坊女子が メニュー開発に挑戦! 「おいしい」は人を幸せにする!

注目の一冊

 5年生のハルカは食べることが大好き。特に好きなのはカレーです。将来はカレー屋さんになるのが夢で、ママの弟の浩司さんがやっているカレー屋さんに弟子入りしたいと思っています。そんなハルカの願いがかなって、夏休みを大阪の花咲町に住む浩司さんのところで過ごすことになります。新幹線に乗って新大阪駅に着いたハルカを出迎えたのは、浩司さんのお店で働く人の息子、ショウくんでした。
 お肉屋さんの店先で揚げるコロッケの匂い。うどん屋さんから漂うかつおと昆布の匂い。お好み焼き屋さんからはソースの匂い。ショウくんに連れられて訪れた花咲町の商店街はおいしいものだらけ。ハルカはいっぺんで花咲町が好きになります。
 実はショウくんも、スパイスに詳しいカレー好きでした。そんなハルカとショウくんが、友だちのタツキくんと3人で、商店街のイベントで出すカレーの特別メニューを考えることになります。期限までに味はもちろん、材料費、仕入れ先も考慮して、みんなに喜んでもらえるものにしなくてはなりません。3人の忙しくもわくわくする毎日が始まりました。
 商店街の人たちの協力を得ながら、新しいメニューを作りあげていく、3人のかけがえのない夏休みの物語。おいしいものは人を幸せにすることが、真っすぐに伝わってきます。3人が考えたスパイスカレーのレシピも掲載。スパイスを使う本格カレーは難しそうな気がしますが、スパイスのことさえわかれば意外に簡単です。

『ビーチサンダル号 海へ! プラスチックゴミから船をつくった少年

  • L・R・ロッディング、D・ババリー

  • M・M・ムワンギ=絵

  • 千葉茂樹=訳

  • あすなろ書房=刊

  • 定価=1,870円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け

島の人々が集めた プラスチックごみが 帆船になった!

 アフリカのケニアにあるラム島に住む少年ジュマは、海岸でプラスチックごみと一緒に波に浮かぶビーチサンダルを見て思いました。「これで船を作れないかな?」。初めは笑っていた島の人々ですが、ごみが船になるという夢のような話にひかれ、材料集めにプラスチックごみを拾うようになりました。
 世界初の再生プラスチックごみだけで作られた帆船「ビーチサンダル号」。その誕生秘話が絵本になりました。使われたプラスチックごみは約10トンで、船体の シートには15万足分のビーチサンダルが使われています。海洋汚染が進む今、地球を守るために何をすべきかを考えるきっかけになる一冊です。

改訂3版 世界の国旗図鑑 歴史とともに進化する国旗

  • 苅安望=著

  • 偕成社=刊

  • 定価=2,860円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け・小学校高学年向け

国旗には意味がある! 国旗を知ることは 世界を知る第一歩

 アメリカの国旗に描かれている星の数は、州の数を表すことはよく知られています。連邦に新しい州が加わるたびに星が増え、国旗は変更されてきました。星は星でもトルコの国旗に描かれた星は、三日月とともにイスラム教のシンボルです。また地中海東部の島国、キプロスの国旗には島の地図の図柄が、産出される銅を表す金色で描かれています。
 このように国旗にはその国の地理や歴史、宗教、政治経済などが表れています。本書では世界の全独立国とIOC加盟地域の国旗・域旗に加え、非独立国、日本未承認独立国の旗も紹介。デザインの由来や変遷がわかりやすく説明され、それぞれの国の歴史や特徴が国旗を通して学べます。

『イグアノドンのツノはなぜきえた? すがたをかえる恐竜たち

  • ショーン・ルービン=文・絵

  • 千葉茂樹=訳

  • 岩崎書店=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

巨大なイグアナみたい? それともサイに似てる? この骨の恐竜はどんな姿?

 最初にイグアノドンの化石が発見されたのは1822年のこと。道に埋もれていた大きな歯が、巨大なイグアナの歯かもしれないと考え、その生き物は「イグアナの歯」を意味する「イグアノドン」と名付けられました。その後、発見された化石をもとに人々が新たに描いたのは、鼻先にツノを持つ、サイとイグアナの中間のような生き物でした。化石が発見されるたびに、イグアノドンの復元図は描き換えられていきました。
 太古の生き物を探究する、古生物学者たちの奮闘を描くアメリカ発の絵本です。研究が始まった当初は想像の部分が大きく、「これがイグアノドン?」と思うくらい、今の復元図とはかけ離れた姿だったのにはびっくりです。

わらえる!? つかえる!! ことわざ びっくり事典』

  • 金田一秀穂=監修

  • 伊藤ハムスター=絵

  • こざきゆう=文

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,320円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け・小学校高学年向け

「焼け石に水」と 「雨だれ石をうがつ」 どっちが本当?

 「石の上にも三年」「案ずるより産むがやすし」「負けるが勝ち」など、ちょっとした知恵やよくあることを、短いことばで言い表したものがことわざです。ことわざには数百年の歴史があり、昔のことわざでも、現代の人が聞いてピンとくるのがおもしろいところです。
 本書では人生に役立つことわざ、怖いことわざ、意味を間違いやすいことわざなど、よく使われることわざを取り上げ、イラストを使って楽しく意味を説明しています。正反対の意味のことわざも多く、どちらも「なるほど」と思えてしまうところが、人の世のおかしくも不思議なところです。世界のことわざの紹介やクイズもあり、親子で楽しくことわざについて学べます。

『どうして黒くないのに 黒板なの?』

  • 加藤昌男=著

  • 少年写真新聞社=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

歴史から製造過程、 正しい使い方まで 黒板のすべてがわかる

 黒板は何でできていると思いますか。木材でできていると思う人もいるかもしれませんが、スチール板という金属の板でできているのです。その寿命は3~4年。長持ちさせるために年に一度、皆さんが知らないときに定期点検をして、文字が見えやすいか、目が疲れないかなどを調べているのです。
 いつも目にしている黒板でも、実は知らないことばかり。黒板はいつどこで生まれたのか、良い黒板とはどんなものか、チョークで上手に字を書くにはどうするかなど、黒板の秘密を元NHKアナウンサーの著者がやさしく解き明かします。電子黒板やタブレットを使う授業が増えた今、手を動かして板書をノートに書くことの大切さも伝わります。

『生きもの「なんで?」行動ノート』

  • きのした ちひろ=絵・文

  • SBクリエイティブ=刊

  • 定価=1,540円(税込)

動物好きはもちろん そうでない人にも薦めたい 生き物を知ることが楽しくなる一冊


海浜幕張校 校舎責任者

 小さな昆虫や鳥、魚、さらに大型の陸上の動物や海洋生物まで、たくさんの生き物たちの生態を紹介している本です。「なんで?」と思うような不思議なことをする生き物たちの行動の理由を、イラストを使ってわかりやすく解き明かしてくれます。動物の説明は、それぞれのトピックごとにコラム風に書かれていて、とても読みやすいです。それもイラストによる説明が多く、リアルな絵ではなくかわいく描かれているので、「虫は苦手」という人でも抵抗なく読めると思います。一つひとつ見ていくと、「こんなことがあるんだ」と思うような意外な習性を知ることができます。
 コラムでは、さまざまな生き物を一つのテーマのもとに比較していて、こちらもお薦めです。たとえば、自然界には大きな群れで行動する生き物もいれば、小さな群れや単独で生活する生き物もいます。皆さんはどちらが有利だと思いますか。たくさんの群れでいると、集団で大きな敵に向かっていくことができます。でもその一方、集団のなかでの餌をめぐる競争が激しくなります。ほかにもどんなメリット、デメリットがあるか考えてみるとおもしろいと思います。一つのことを多角的にとらえる理科的な視点は、中学入試でも問われるところです。
 家畜についての話も興味をひかれます。ウシ・ブタ・イヌなど、家畜化された動物には共通した変化があります。性格が従順になったり、しっぽがくるりとカールしたり、耳が垂れてきたり。「キツネを家畜にしたらどうなるか」という実験が行われたときも、このような変化が表れ、「イヌみたいなキツネになった」と書かれています。家畜化された動物がどう変化したかなんて、考えたこともなかったので、とてもおもしろいと思いました。
 最新の研究成果も知ることができ、動物好きの人なら夢中になって読めると思います。そうでない人も、この本をきっかけに生き物に興味を持ってくれたらうれしいです。

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