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『ルール!』
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- ◆工藤純子=作
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
ことばにすれば 何かを変えられる そう信じたい
事の発端は下校中にスマホが鳴ったことでした。朝比奈知里の中学では、緊急連絡以外の登下校中のスマホ使用は校則で禁止されています。その連絡は姉からで、補習がある自分に代わってコンサートのチケットを予約してほしいというのです。早く予約しないと完売するので、予約サイトにアクセスしようとしたところ、背後から「登下校中のスマホは禁止です」の声。生活指導の三崎先生でした。知里はその場でスマホを取り上げられ、長い反省文を書くことになってしまいます。
実は知里が所属する文芸部でも、校則のことが話題になったばかりでした。生まれつきの髪型がモヒカンのようだから切ってこいと言われた部員もいれば、皮膚が弱いので、決まった日にしか制服の衣替えができないことにつらさを感じる部員もいます。それぞれ違う事情があるのに、一方的に決められている校則。今まで無関心だった校則への疑問が膨らんでいく知里でした。
最近、行き過ぎた校則が社会問題になっています。校則とは何なのでしょうか。知里たち文芸部員はこの問題に取り組み、生徒会と協力して校則の見直しに立ち上がります。とはいえ必ずしも、みんなが校則を変えたいわけではありません。「言われたとおりにしているほうが楽だ」「理不尽なことと折り合いをつけることも人生に必要だ」。生徒にもいろいろな考え方があるのです。当たり前を疑うこと、相手を尊重しながら対話することなど、たくさんの大切なことに気づかせてくれる物語です。巻末には、中学生たちの生の声を反映した「校則座談会」が掲載されています。
『エリック・カールの グリムどうわ 5つのおはなし』
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- ◆エリック・カール=再話・絵
- ◆木坂涼=訳
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=2,420円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
おなじみのお話が おなじみのあの絵で 生き生きと動き出す!
貧しいきこりの夫婦に、親指ほどの小さな男の子が生まれました。小さくても、馬によじ登って耳の間に座れば、男の子のひと声で馬は馬車を引いて動き出します。その様子をじっと見ていた男たちがいました。
グリム童話の「おやゆびトム」のお話です。馬の頭に乗ったトム、カタツムリの殻の中で眠るトム、画面いっぱいにカラフルな物語の世界が広がります。『はらぺこあおむし』でおなじみのエリック・カールが、グリム童話のなかの5話を書き直して絵をつけました。工夫された画面構成、動き出しそうな人たち、ユーモアたっぷりの表情。ページをめくるごとに違う味わいの絵が広がり、見ているだけで楽しい気分になります。
『すきまの むこうがわ』
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- ◆巣山ひろみ=作
- ◆三上唯=絵
- ◆国土社=刊
- ◆定価=1,210円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
さくっと読めても さくっとしない読後感 怪しい世界へようこそ
ゆかちゃんと一緒にショッピングモールに行った主人公。店を出ると、ゆかちゃんの手には値札付きの口紅が握られていました。「誰にも言わないでね」。ゆかちゃんに言われるまま、自分も口紅をつけてしまいます。ゆかちゃんと別れた帰り道、目の前にキツネの婚礼の行列が現れました。そして彼らは自分を指して「花嫁じゃ」と言いました。
「悪いことはできない」という教訓というより、口紅をつけたばかりに不思議な世界に引きずり込まれてしまうお話です。この『紅』を含め、不気味な物語から心温まる物語まで七つの短編を収録。休み時間にさくっと読めますが、さくっとした気分にはならない怪しい雰囲気の物語集です。
『お金のびっくり事典』
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- ◆植村峻、中島真志、二橋瑛夫=監修
- ◆中村浩訳=文
- ◆うのき=絵
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
米粒より小さい硬貨、 プラスチック製のお札、 お金の世界は何でもあり!?
硬貨には製造年が刻まれているのに、お札には製造年が印刷されていません。なぜでしょう。お札は傷みやすく、寿命が短いため製造年を記す必要がないからです。傷んで使えなくなったお札は、日本銀行に集められ、細かく裁断され、焼却されたり、トイレットペーパーなどにリサイクルされたりします。ふだん使うトイレの紙が、元1万円札だったかも? なんてびっくりです。
お金に関するびっくり話が詰まった一冊です。日本と世界のお金の歴史、お札の肖像や図柄の話、偽札防止技術の話、キャッシュレス社会の話題など、豊富なイラストと写真で楽しく説明。身近なお金の話から広がる知識がたくさんあります。
『かわらばん屋の娘』
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- ◆森川成美=作
- ◆伊野孝行=画
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
知らせなければわからない だから伝えるのだ 「ほんとう」のことを
江戸の長屋に住む吟は、母を亡くして以来、家事と家業の手伝いで大忙し。父は「かわらばん」屋で、父が書いた記事に吟が絵を描いて、紙に刷って売り歩いています。ある日、父が突然、家のお金を持って姿を消してしまいます。吟は幼い弟を抱え、父への怒りでいっぱいになりました。
江戸時代末期、時代の大きな流れにとまどいながらも、かわらばん屋として目覚めていく吟の姿を描きます。当時は政治や実際の事件を記事にすることが禁じられていた時代でした。かわらばん屋は、うわさ話や作り話を種に記事を書くしかなく、吟の周りはちまたのおもしろおかしい話でにぎやかです。それが物語の一つの魅力になっています。
『古生物学者と40億年』
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- ◆泉賢太郎=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=990円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
ロマンあふれる学問も 裏から見れば苦労の連続 だからこそおもしろい
化石や地層を主な研究対象として、生命進化や地球環境の歴史を明らかにする学問、それが古生物学です。化石は過去に生息していた古生物の遺骸や、活動の痕跡が地層に残されたもの。いくらでも見つかるように思えますが、著者の試算では、古生物のうち、化石になって残るのはわずか0.00001%に過ぎないのだとか。しかも古生物学者は、日本全国で数百人しかいないのです。
そんな前途多難な古生物学の世界でがんばる、数少ない研究者たち。ふだんどんな研究をしているのでしょうか。また、何を考え、どんなことに苦労や喜びを感じているでしょうか。古生物学の研究現場の様子を通して、そのおもしろさを紹介します。
『リラの花咲くけものみち』
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- ◆藤岡陽子=作
- ◆光文社=刊
- ◆定価=1,870円(税込)
不幸な女の子が さまざまな苦難と挫折を乗り越え、 自分の未来を切り開く物語
サピックス教育事業本部 本部長皆さんのなかには将来、町の動物病院で大切なペットの命を守る獣医師になりたいと考えている人も少なからずいると思います。獣医師の仕事は、動物病院での診療だけではありません。ウシ・ウマ・ブタなどの家畜を治療する診療所で勤務する方、食肉衛生研究所や動物検疫所で勤務する方、製薬会社などで医薬品の開発研究に携わる方など、各分野に広がります。
この本には、そのような獣医師になるために、どのような授業や実習があるかが詳しく書かれています。小さなかわいいペットの診療をするための勉強だけではなく、大きな家畜の診療など、かなり体力を使いそうなものもあります。
そのように、仕事にはさまざまな側面があることや、大切な動物の生死に向き合わなければならない現実があることがわかります。そして、人が生きていくうえで、家族・友人・先輩・後輩・先生などのありがたさも感じられます。
主人公はあまり幸福ではない家庭で生まれ育ちましたが、祖母に支えられながら自分の夢を見つけ、家から遠い大学の獣医学部に進みます。皆さんもこれからの人生でさまざまな苦難や不幸にぶつかることがあるかもしれません。そんななかでも、多くの人に支えられながら成長する主人公の弱さとたくましさが描かれています。
読書は自分の知らない世界の扉を開くよいきっかけにもなります。また、人の心を知る「窓」にもなります。リラの花咲く北海道が待っています。
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