Booksコーナー
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Booksコーナーでは、小学校低学年から高学年までを対象とした読み物や、保護者の方向けの図書を、新刊中心に紹介しています。学習の合間などに、ぜひ読んでみてください。
『ぼくたちの卒業写真』
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- ◆天川栄人=作
- ◆くまおり純=絵
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
この人を撮りたい、 もっとちゃんと。 ぼくは強く思った

卒業アルバムに載る個人写真といえば、生徒の顔写真がずらりと整列しているのが普通です。これではつまらない、個性が目立つ自由な写真にしたい。中3の蔵木幸也はある日、クラスの星野くんからそんな相談を受けます。幸也の家は写真館。卒業アルバムの写真はいつもカメラマンの父が撮影しているからです。幸也もカメラが好きで、写真コンテストで入賞した経験もあるほどの腕前です。でも人付き合いが苦手な幸也は、クラスの人気者からの相談に戸惑います。そんなとき、たまたま父が骨折し、学年全員の写真を撮る大仕事に取り組むことになってしまいます。
個性が違う生徒たちを相手に、その人らしさが表れた一枚を撮る、その悪戦苦闘の過程が物語の中心です。その人らしさを表現するには、その人と話してその人を理解する必要があります。それは幸也がいちばん苦手なこと。そもそも車いすの子、写真を嫌がる子、不登校の子はどうすればいいのか。難題が降り掛かるなか、自分の弱さ、考えの甘さを突き付けられてもがく幸也の姿がていねいに描かれます。
思い切って一歩踏み込んだことで間近に感じた相手の存在。その瞬間にシャッターをきった渾身の一枚。どんな写真なのでしょう。想像力をかき立てます。中学入試問題に頻出の作者による注目の最新作です。
『しゅわしゅわ村の はじめてのおつかい』
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- ◆くせ さなえ=作・絵
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=2,200円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
わかれば楽しい! 手話に親しむ絵本
ここは、しゅわしゅわ村。お母さんに頼まれて、これからおつかいに出掛けます。右手を左右に振って「行ってきます」。途中で友だちに会いました。右手を挙げて「こんにちは」。友だちは、人さし指と中指を出しながら左に倒しました。「またね」の意味です。パン屋さんの前を通ったら「いいにおい」。これは、右手の人さし指と中指をそろえて鼻先にあてればOKです。
主人公と一緒におつかいをしながら、楽しく手話が覚えられます。巻末にはお話に出てくる手話や、指文字の説明がついています。手話に親しむきっかけになります。
『ラクダで塩をはこぶ道 …サハラ砂漠750キロの旅』
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- ◆エリザベス・ズーノン=作
- ◆千葉茂樹=訳
- ◆あすなろ書房=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け
何百年も前から続く キャラバン、驚異の旅
アフリカのマリ共和国にあるタウデニでは、岩塩が豊富に採れます。この岩塩をラクダのキャラバンで、川のほとりにある街まで運ぶのがマリクの父さんの仕事です。今日はマリクも一緒にサハラ砂漠を旅します。突然、砂嵐がやってきました。思わず手綱を放した瞬間、マリクのラクダはどこかに行ってしまいました。
「アザライ」と呼ばれる塩を運ぶキャラバンのお話です。今はトラック輸送が中心ですが、かつてはキャラバンで産地から塩を運び、生活に必要な物と交換していました。塩の貴重さもわかる、塩の交易の物語です。
『おとうさんのポストカード』
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- ◆那須田淳=作
- ◆中村真人=監修
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
パパは心から おまえを愛していたよ
ドイツのベルリンに住むハインツは、6歳になったある日、家族から離れ、イギリスに向かう列車に乗りました。車内は、同様に故郷を離れてやってきた子どもたちでいっぱいでした。それはナチスのユダヤ人迫害が激しくなった1939年2月のことでした。
1万人近いユダヤ人を救った「いのちの列車」。最愛の父と別れ、この列車でイギリスに逃れたある少年の物語を、父からのポストカードとともにつづります。戦争が続く現状に触れ、作者は言います。「もし自分が主人公だったら? と想像してみることは大事なことです」と。
『赤い星のチョウを追え!』
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- ◆谷本雄治=文・写真
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
偶然見つけたへんな虫 調べれば驚くことばかり
ある日、近所の公園でナメクジに似たイモムシを見つけた著者。もしかしたらオオムラサキの幼虫かもしれない。気になってチョウに詳しい友人に写真を見せると、外来種のアカボシゴマダラの幼虫とのこと。なぜ日本にきたんだろう。どんな生活をしているんだろう。疑問がむくむく湧いてきました。
作家でプチ生物研究家の著者はさっそく、虫好きの孫と一緒に研究を開始。餌となるエノキを探して数を調べたり、幼虫を飼育したり。二人の楽しそうな姿を通して、自然観察のわくわく感が伝わってきます。
『月と星座 夜空への誘い』
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- ◆KAGAYA=監修・写真
- ◆山下美樹=文
- ◆金の星社=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け・一般向け
夜空観察のお供に最適 月と星のガイドブック
あのすごく明るい星は何だろう。自分の星座ってどこにあるんだろう。なぜ今日の月は赤っぽいんだろう。夜空を見て疑問に思うことはいろいろ。この一冊があれば疑問は一気に解決です。
SNSで人気の星空写真家による、月と星座のガイドブックです。月と星座にかかわる基礎知識のほか、星空観察のしかたや月と星の写真撮影のこつも教えてくれます。同じ星でもぼんやり眺めるのと、名前や見え方、色の違いなどを知って見るのとでは大違い。全ページに美しい写真が掲載され、ページをめくるだけでも楽しい一冊です。
『空からのぞいた桃太郎』
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- ◆影山徹=作
- ◆岩崎書店=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
なぜ鬼を退治するの? 上から広く見下ろせば 物語の背景が見えてくる

用賀校校舎責任者「桃太郎」といえば日本人なら誰でも知っている昔話です。細かい描写はいろいろなバージョンがあるようですが、おばあさんが川で桃を拾ったら、中から男の子が出てきて、鬼退治に行って宝物を持って帰ってきた、というあらすじは皆さんも知っているでしょう。イヌ、サル、キジが、きびだんごと引き換えに鬼退治のお供をする、というところも有名です。
でもなぜ、きびだんご一つでそんな危険な旅についていくのでしょうか。もともと、おじいさんとおばあさんはどのような暮らしをしていたのでしょうか。この絵本を見ていると、いろいろなことを考えたくなります。ここに出てくる鬼ヶ島にはたくさんの鬼たちがいて、楽しそうに暮らしています。鬼には鬼の生活があります。その風景を見ていると、鬼たちのすべてが悪い行いをしているようには見えなくなってきます。
「桃太郎」は有名なお話なのに、その背景についてはあまり詳しく描写されていません。また、すべて桃太郎側の視点で描かれています。そのような点を肉づけし、「上から俯瞰した」つまり「空からのぞいた」視点で描くことで、物語に奥行きを与えてくれるのがこの絵本です。「桃太郎」というお話を、「勇気」や「困っている人たちへの協力」の尊さを伝える話として読むことも大切だと思います。その一方で、多様性や他者理解が重視されている今、物事を画一的に見るのではなく、きちんとその背景を考えるのは大事なことです。わたしたちの仕事も画一的ではなく、それぞれのご家庭が持つ悩みに思いをはせてお話ししなくてはいけないと思っています。そうした自戒も込めてお薦めしたい本です。親子でぜひ読んでください。
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