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『大絶滅は、また起きるのか?』
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- ◆高橋瑞樹=著
- ◆岩波書店=刊
- ◆定価=946円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
人類が引き起こしている 6度目の大絶滅の実態 食い止めることはできるのか?
「毎日最大150種の生き物が地球上から姿を消している」。国連の生物多様性条約事務局が発表したのは2007年のことです。絶滅は加速し続け、今、地球上では6度目の大絶滅が進行しているといわれます。過去の5度の絶滅の原因はいずれも、地質学的なものです。火山の噴火や海面の変動などで、空気中の二酸化炭素濃度が変化し、地球が寒冷化、または温暖化したためと考えられています。ところが、今回はたった1種類のヒトという生き物、つまりわたしたちが大絶滅を引き起こそうとしています。だからこそ大問題なのです。
本書ではまず「絶滅とは何か」を考え、過去に起きた絶滅の具体的な事例についてわかりやすく解説します。そして6度目の大絶滅の現状を知り、食い止めるための方策について模索します。「このまま環境破壊が進み絶滅率が上がれば、生物種の一員としてのヒトも絶滅する」と著者は言います。
熱中症患者の増加、新型コロナウイルス感染症の拡大など、今わたしたちが直面する脅威にも触れ、そこにも生物の絶滅と共通の要因が潜んでいることを示唆します。
大絶滅を食い止めるには、どうしたらよいのでしょうか。あるイギリスの研究者によれば、「自然環境と結びつく傾向がいちばん強いのは、中学校に上がる前の子どもたち」とのこと。その時期につくられた自然環境との感情的なつながりは、自然環境に配慮する行動と結びつくというのです。「自然が好き」という感情こそ行動につながる。「あとがき」で語る著者のことばが印象的です。
『ひかりではっけん みえた!せかいのうみのふしぎ』
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- ◆キャロン・ブラウン=作
- ◆ベッキー・ソーンズ=絵
- ◆小松原宏子=訳
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
隠れているのは誰? 答えを見つけながら 五つの海を探検しよう
地球には五つの大きな海があります。北極海、大西洋、南極海、インド洋、太平洋。海の中には不思議な世界が広がっています。たとえば五つの海の中でいちばん小さい北極海。ほとんどが氷で覆われて真っ白です。でも氷の穴から、角のようなとがったものが突き出ています。穴からのぞいているのはさて、誰でしょう?
ページの裏からライトを当てたり、光にかざしたりすると、角のようなキバを持つクジラ、「イッカク」の姿が見えてきました。このように本書では、世界の五つの海と、そこにすむ生き物たちの生態を楽しく生き生きと紹介します。答えを見つけながら海を巡るうちに、さまざまな生き物への興味が広がることでしょう。
『こうもり』
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- ◆アヤ井アキコ=作
- ◆福井大=監修
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
こうもりの 街での暮らしは 不思議がいっぱい
空を飛ぶ唯一の哺乳類、こうもり。夕方、鳥たちがねぐらに帰るころ、こうもりは空を飛び始めます。上空へ飛び上がったかと思うと、くるりと向きを変えて行ったり来たり。忙しく飛び回って、蚊と蛾などの小さな虫を食べます。なんと、ひと晩に体重の半分もの量を食べるのです。そんなこうもりたちが実は、わたしたちの身近なところで暮らしているのを知っていますか。この本に登場するアブラコウモリ(イエコウモリ)は、人がいる建物で暮らすのが大好きなのです。
こうもりの生態をわかりやすく伝える絵本です。超音波を使った餌のとり方、冬眠のしかた、子育てのしかたなど、こうもりの暮らしぶりがよくわかります。
『小学生からのSDGs 丸わかりBOOK』
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- ◆上田隼也=監修
- ◆小宮山サト=マンガ・イラスト
- ◆主婦と生活社=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け
何がどう問題なのか 17の目標の中身と 取り組みがよくわかる
クイズです。飢えで栄養不足の人は、世界にどのくらいいるでしょうか。約100人に1人?それとも約50人に1人?正解は約10人に1人です。では、世界で児童労働させられている子どもは何人ぐらいいるでしょうか。答えは日本の総人口より多い約1億6000万人です。日本では想像しにくい現実に、クイズ一つを見ても驚きの連続です。
こうした貧困、飢え、地球温暖化、環境破壊などの問題解決のために、国連が決めたのが「SDGs」(持続可能な開発目標)です。その17の目標について、クイズやマンガを使いながらわかりやすく説明します。調べ学習のヒントも示されているので、読んだら自分でも調べてみましょう。
『ばーちゃる』
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- ◆次良丸忍=作
- ◆金の星社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
3Dのばあちゃんは 本物の家族になれる? なれない?
母の会社で開発中の「シップ」は、ある人物のデータを入力すると、3D映像でその人が現れ、本人そっくりの行動や話し方をする機械です。その試作機のテストのため、充希は亡くなった祖母に関するデータの入力を手伝っています。途中で一度試してみようとスイッチを入れると、機械から白いボールが浮き上がり、人の形になりました。それは間違いなく祖母でした。
データが不十分なだけに、3Dの祖母「ばーちゃる」は本物とは大違いで、身勝手な言動ばかり。何とか本物に近づけたいと思うなかで、充希は大切なことに気づいていきます。いつの間にか「ばーちゃる」に共感してしまう、楽しくて少し考えさせられる物語です。
『稲むらの火の男 浜口儀兵衛』
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- ◆中島望=作
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
津波から村人を 救うだけでは駄目だ 安心して住める村にしないと
1854(嘉永7)年11月5日。海はいつもどおりでした。でも儀兵衛は、井戸の水位が異常に下がっていることが気になりました。前日に大きな地震があったばかりだからです。もしやまた地震がくるのでは。
儀兵衛はしょうゆの製造を営む浜口家の当主。このとき起きた安政南海地震で、彼は津波で海に流されそうになった村人たちの避難の目印になるように、積み上げたわらに火をつけます。その話は「稲むらの火」として知られていますが、本当の活躍はこの後でした。私財をなげうって堤防を築き、人々に住まいと仕事を与え、生きていく希望を与えたのです。知られざる偉人の生涯を、激動の幕末の社会とともに描き出します。
『賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。』
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- ◆谷川祐基=著
- ◆CCCメディアハウス=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
今のその勉強法は 将来につながるものか 本気で考えてほしい
住吉校 校舎責任者小学生時代に身についた勉強法は、中学・高校・大学での学びに大きな影響を及ぼします。ただ受験生の場合は、志望校合格という目標があるので、どうしても点数を上げるための、暗記に集約されるものになりがちです。しかしそれは、その後の学びに生きるものではありません。小学生の頭が柔らかい時期に、そうした勉強ばかりに時間を使うのはもったいないことです。賢くなる勉強をしてほしい。そう願ってこの本をお薦めします。
では賢さとは何でしょう。それを解き明かしたのがこの本です。著者は「頭の良い人は具体化と抽象化の往復運動が得意な人」だといいます。「抽象化」「具体化」というと難しいかもしれませんが、「抽象」は全体的、本質的、精神的、多面的、「具体」は個別的、実用的、現実的、一面的といったことばでも説明されています。たとえば、抽象化の作業はジグソーパズルの組み立てに似ています。ばらばらのピースを見ても何なのかわかりませんが、組み立てて全体が見え始めると、それぞれのピースが何を表し、周囲とどうつながるかがわかってきます。欠けた部分に何が入るのかも見えてきます。全体を大まかにとらえることで、次に何をすべきか見えてくるわけです。
わたしは高校時代、世界史が苦手でした。時代や人名、出来事がたくさん出てくるからです。でもノートに世界地図を描いて、その時代の出来事をまとめてみたら、その出来事が起こる理由や背景がわかり、用語が覚えやすくなりました。ここでわたしがしたのは「抽象化」です。抽象化をすると、具体的なことが頭に入ってきやすくなるのです。
勉強をするとき、ただ問題を解くだけではなく、この問題の本質は何か。あるいは先生の解説のポイントはどこかを考えてみる。すると見えてくるものがあるはずです。中学受験はゴールではありません。次につながる入り口です。この本はそのための方向性を示してくれるでしょう。
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