Booksコーナー
※お好きな本のタイトルをクリックして下さい。その本に関する内容が、表示されます。
掲載月一覧 | 2023年2月|2023年1月|2022年12月|2022年11月|2022年10月|2022年9月| 2022年8月|2022年7月|2022年6月|2022年5月|2022年4月|2022年3月 |
Books目次へ△ |
---|
『雨の日が好きな人』
-
- ◆佐藤まどか=作
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
「世の中にはもっと かわいそうな人がいる」 でも「かわいそう」って何?
お母さんが再婚して、新しいお父さんと2歳上のお姉ちゃんができた七海。お父さんのことはまだ「おじさん」としか呼べない七海ですが、もう独りで夕飯を食べることもないだろうと喜んでいました。ところが、仕事に行くお母さんはこれまで以上に帰宅が遅くなり、おじさんも遅く帰ってきます。2人は会社の帰りに姉の幸ちゃんのお見舞いに行っているからです。
姉になった幸ちゃんに七海は一度も会ったことがありません。容体が急変しやすい病気なので、赤ちゃんのときからずっと入院しているからです。七海もお見舞いに行きたいのですが、お母さんもおじさんも「幸ちゃんの具合がもう少し良くなってから」と言うばかり。2人は日曜も病院に行くので、七海はいつも独りです。せっかく家族になったのに3人で外出したこともありません。幸ちゃんのパジャマにアイロンを掛けながら彼女の容体を心配するお母さん。そんな姿を見て七海は思います。「再婚なんてしなければよかったのに」と。
七海の人生に突如入ってきた幸ちゃん。最初はお母さんをとられたように思ってねたみますが、実際に会ってみると七海の心に変化が生まれます。外見・性格・成績・境遇…、比べるものではないとわかっていても、人は自分と周りを比べてしまうもの。でも、比べたとしても悪い方向にいくとは限りません。出かかったことばをのみ込みながら素直な気持ちで幸と話す七海。元気な七海をうらやむ一方、姉らしいところを見せたいと努める幸。重い空気になりがちな病室に、さりげなく本音を語る2人の会話が軽やかな風を運びます。
『化石のよぶ声がきこえる 天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ』
-
- ◆ヘレイン・ベッカー=作
- ◆サンドラ・デュメイ=絵
- ◆訳・監修=木村由莉
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
楽しい絵本で知る すごうで恐竜ハンター、 ウェンディの化石発見物語
それはカナダに住む12歳のウェンディが、家の近くのバッドランドに遠足に行ったときのことです。ふと見ると、地面から何かが突き出ています。ブラシで表面の砂を除いて取り出してみると、先生が言いました。「これはサンゴの化石だよ。何千万年も前、ここは海だったんだ」。ここが海でたくさんの生き物がいたなんて。ウェンディは驚きました。
世界で最も優れた恐竜ハンターの一人、ウェンディ・スロボーダ。後に「ウェンディケラトプス」と名付けられた角竜類の化石を含め、恐竜の進化の過程を解き明かす重要な化石を次々と発見しています。彼女はどのように恐竜ハンターになったのでしょうか。その半生を描く楽しい伝記絵本です。
『走れ! 家出犬ジェイ』
-
- ◆本田有明=作
- ◆雛川まつり=絵
- ◆金の星社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け
自由? それとも危険? 飼い犬をやめた柴犬が 外の世界を大冒険
柴犬のパピーは飼い主のカイト君が大好き。散歩に連れていってくれたり、公園でボール遊びをしてくれたり、パピーをとてもかわいがってくれます。カイト君がサッカークラブに入ってからは、Jリーグにちなんで「ジェイ」と名付けられます。でもカイト君はサッカーに夢中になりすぎて、あまり遊んでくれなくなりました。
飼い主の下を離れ、独りで生きていくことを決めた家出犬ジェイの物語です。楽しいことも苦しいこともジェイにはすべてが初めての経験です。犬の視点で描かれているので、読む人も一緒にわくわく、どきどきさせられます。さまざまな出会いを経験したジェイは、果たして最後にどんな生き方を選ぶのでしょうか。
『生き抜け! 遭難の五日間』
-
- ◆山口理=作
- ◆十々夜=絵
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
夏休みの宿泊登山 楽しい思い出になる、 はずだったのに…
山男だった父の話を聞くうちに、自分も山登りがしたくなった6年生の瞬。友だちや父など6人で、群馬県の野反湖を囲む山々を登ることになります。登山に必要な知識を教えてもらい、体力づくりのトレーニングもして準備は完璧。父の運転で野反湖へ向かった一行は、湖の絶景に感動しますが、山をめざして歩き始めると、とんでもないアクシデントが待ち受けていました。
どれだけ緻密な準備をしていても、一瞬の気のゆるみで大変なことに巻き込まれる、それが大自然の怖さです。霧が出たくらいで山登りをやめたくなるくらい、あきらめ癖のある瞬。人生最大の困難にぶつかったとき、どこまであきらめずにがんばれるのでしょうか。
『しあわせ動物園 スゴイ飼育員の本当の話』
-
- ◆片野ゆか=作
- ◆526=絵
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
飼育員たちは 今日も悪戦苦闘する 動物の幸せをめざして
埼玉県こども動物自然公園の「ペンギンヒルズ」は、ウォークスルー形式のペンギン舎。来園者はロープ1本隔てただけで、四季折々のペンギンたちの生活を見学できます。飼育員の小山さんはここをつくる際、野生のフンボルトペンギンが暮らす南米チリのチロエ島に行きました。深い緑がおおう「緑のペンギン島」。この島を日本で再現したい、と小山さんは強く思いました。
「しあわせ動物園」の「しあわせ」は動物にとっての幸せです。そんな動物園づくりを追求した四つの動物園のお話が入っています。主役はペンギンのほかチンパンジー、アフリカハゲコウ、キリン。どれも動物の幸せのために悪戦苦闘する飼育員の姿に圧倒されます。
『ラベンダーとソプラノ』
-
- ◆額賀澪=作
- ◆いつか=絵
- ◆岩崎書店=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
楽しくするってことは がんばらなくていいって こととは違う!?
真子が所属する小学校の合唱クラブは全国大会の常連。というより金賞の常連です。昨年は残念ながら銀賞に終わったので、「今年こそは」と、顧問の先生と部長を中心に練習は厳しくなる一方です。下級生はびくびくし、クラブの雰囲気もぎすぎすしています。ある日、ひょんなことから真子は商店街の居酒屋の半地下で歌う合唱団の存在を知ります。目標などなく、楽しく歌うだけですが、真子は次第にひかれていきました。
金賞のためにつらい思いをしてもいいのか。かといって下手でも楽しく歌えればいいのか。厳しい合唱クラブとゆるい半地下合唱団。二つの間で揺れ動く真子を通して「みんなでがんばる」ことの意味を問い掛けます。
『知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ』
-
- ◆中島俊夫=監修
- ◆西東社=刊
- ◆定価=990円(税込)
身近な現象から 地球規模の気象の変化まで 天気の奥深さを知ってほしい
南浦和校 校舎責任者「天気はなぜ移り変わるのか」「雲はどうやってできるのか」など、日ごろ何げなく見ている空のことや天気のしくみが、イラストと図を使って詳しく説明されています。よく耳にする用語や、「天気はどうやって予想しているのか」など、天気予報のこともよくわかります。
でもそれだけならほかの天気の本と同じかもしれません。この本のおもしろいところは、身近な天気を知るだけにとどまらず、地球規模で気象をとらえているところです。著者は最初に「地球はバランスの悪い状態を良い状態にしている」と書いています。赤道付近は暖かく北極と南極が寒いのは、地球にとってはバランスの悪い状態です。このバランスを良くするために、極の冷たい空気をより温暖な地域に移動させたり、熱帯の暖かい空気を台風などによって温帯に移動させたりしているのです。つまり「雨や風によって地球はバランスの良い状態になろうとしている」と著者は言います。
そうした大きな視点で天気を見ると、たとえば「上空にいくほど気温は下がる」と常識的に思っていることも常識ではなくなります。上空といっても成層圏より上は、高度が上がるにつれて気温が上がる層と下がる層が交互に現れてくるのです。
地球規模で天気を見れば、温暖化問題の深刻さも、「気候モデル」でノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんの研究の重要性もわかってきます。惑星としての地球を考えれば、未来の人類が住んでいるかもしれない火星の天気も気になります。そんな宇宙の未来にかかわる地球規模の話まで網羅されているので、読めば天気の奥深さがわかるのではないでしょうか。
見開き2ページで一つのテーマが完結しているので、興味のあるところだけを読んでもいいと思います。空や雲が生み出す美しい風景写真も数多く掲載され、写真を見れば実際に観察してみたいと思うのではないでしょうか。受験勉強としてだけでなく、身の回りの出来事を知る意味で役立ててほしいと思います。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎