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『解きたくなる数学』
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- ◆佐藤雅彦、大島遼、廣瀬隼也=著
- ◆岩波書店=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
トイレの壁に突如 入試問題が出現! 解きたい? 解きたくない?
世の中にはおかしなことを考える人がいるものです。たとえばトイレでよく見る白いタイルの壁。15cm四方ぐらいのタイルが全面に張られた、何の変哲もない壁です。著者はこの壁を見て、「ここに中学入試の図形の問題が載っていたら、どう見えるだろうか」と興味を持ちました。さっそくその四角いタイルの横並びの3枚を使って、対角線を2本引き、できた角にXとYをかき入れ、「X+Yは何度になるか」と書きました。壁を問題用紙に見立て、タイルを正方形の図形に見立てて線を書き入れ、写真に撮ったのです。ただそれだけなのに不思議です。紙に印刷された同じ問題を見るより、はるかに解きたくなるのです。
そんな思いつきから誕生した、32の問題を集めた本です。数学の問題なのに出てくるのは、横浜の衛星写真だったり、おいしそうなケーキの写真だったり、企業の従業員たちが並ぶ記念写真だったり。こうした写真から一体どんな問題が作られるのでしょうか。公式を当てはめる数の問題も、図形の角度を求める問題も、何通りあるか試してみる問題も、現実の生活の場に解き放ってみると生き生きしてきます。
取り上げられている問題自体はひねった難問ではなく、高度な知識がなくても解くことができます。中学受験で必要になりそうな考え方も出てきます。著者はNHK「ピタゴラスイッチ」制作を手掛けた専門家たち。算数や数学が得意な人向けというより、苦手意識を持っている人たちが算数・数学のおもしろさを知るきっかけになりそうな本です。
『山の上に 貝がらがあるのはなぜ?』
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- ◆アレックス・ノゲス=文
- ◆ミレン・アシアイン・ロラ=絵
- ◆宇野和美=訳
- ◆岩崎書店=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け
山は昔、海だった!? 8500万年前に生きた 貝が教えてくれること
どこもかしこも岩だらけの山の上。ここでカキの貝殻がたくさん見つかりました。カキは海の生き物です。それなのに何千、何万ものカキの殻が見つかったのです。カキはどうやって、こんな山の上まで来たのでしょうか。嵐に運ばれて、雨と一緒に降ってきたのでしょうか。それとも、たまたま貝の形をした石が、ここに集まっただけなのでしょうか。
カキの化石の話を切り口に、地層の出来方、昔の生き物、地質時代の分け方、地殻変動など地質学の世界に、お話を通して楽しく導いてくれる絵本です。何でもないカキの殻から、いろいろなことがわかっていくおもしろさは、地質学のおもしろさそのものです。
『アレッポのキャットマン』
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- ◆アイリーン・レイサム/カリーム・シャムシ・バシャ=著
- ◆清水裕子=絵
- ◆安田菜津紀=訳
- ◆あかね書房=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け
爆撃が続く街で 行き場を失ったネコを 救った人がいた…
活気ある商店街。どこからともなく漂うジャスミンの香り。楽しそうに行き交う人々。アラーはシリアの街、アレッポが大好きです。ところがシリアで戦争が起き、アレッポは戦場になってしまいました。アラーは救急車の運転手として、傷ついた人々を助けていましたが、やがて人々はアレッポから逃れ、街には見捨てられたネコたちだけが残りました。
破壊された街、アレッポに残り、世界に呼びかけてネコたちの保護センターを作った、モハンマド・アラー・アルジャリールさんの活動を描く絵本です。こうした絵本を通じて戦争の現実を知らせ、苦しんでいる人たちを孤立化させないことが必要だと、訳者は訴えます。
『見て、知る、サステナブル はじめての脱炭素』
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- ◆すなだゆか=作・絵
- ◆森川潤=協力
- ◆小峰書店=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
脱炭素社会の実現には 何が必要か 一緒に考えよう
ゲリラ豪雨が増えたり、異常に気温の高い日が続いたり、多くの生き物が絶滅したり。地球に異変が起こっています。これを食い止めるキーワードは「脱炭素社会」。二酸化炭素を極力出さない社会です。なぜ二酸化炭素は問題なのでしょうか。脱炭素社会の実現には何が必要なのでしょうか。
「脱炭素とは何か」から始まり、地球温暖化・日本の発電事情・再生可能エネルギー・電気自動車など、脱炭素にかかわることをイラストと図でわかりやすく説明します。二酸化炭素の排出を抑えるために、社会は何ができるか、技術や企業は何ができるか、家庭では何ができるか。脱炭素社会の実現に向けて考えるきっかけになる一冊です。
『びわ色のドッジボール』
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- ◆もりなつこ=作
- ◆丹地陽子=絵
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
勝つためには ぼくが投げるのが一番だ、 それってジコチュー?
5年生の翼はドッジボールが大好き。クラスでいちばん強いボールを投げられるので、いつも自分が投げてみんなは逃げる、という役回りになります。そのことでクラスでけんかになり、翼は学校に行きにくくなりました。ドッジボール大会の日。翼は試合に出ず、家族と一緒にびわ農家の母の実家に行きます。そこにはフリースクールに通う、いとこのまいちゃんがいました。
学校に行けなくなってしまった翼が、まいちゃんや曽祖父母たちと暮らす日々のなかで、自分を見つめ直していきます。素直になれないときは誰にでもあります。そんなときは、小さな一歩を踏み出すだけでいいのです。必ず周りに助けてくれる人がいます。
『牧野富太郎 植物の神様といわれた男』
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- ◆横山充男=著
- ◆ウチダヒロコ=絵
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
雑草という植物などない。 名がないなら、 つけてあげればいい
土佐(高知県)の造り酒屋の家に生まれた富太郎は、子どものころから草花が大好きでした。家の裏山にある神社の森には、いろいろな草木が生えていました。花もたくさん咲きます。でも名前を知っているものはごくわずかです。大人に聞いても「雑草の花だろう」と言うだけです。みんな名前があるはずなのに。
日本の植物分類学の発展に大きな貢献をした、牧野富太郎。疑問に思ったことは徹底的に調べ、移動の途中でも、野山に入って植物を採集するほどでした。植物のことならお金に糸目をつけないため、借金にも苦しみました。NHK連続テレビ小説のモデルとなった牧野富太郎の、あきらめずに進み続けた生涯を描きます。
『親子で楽しむ 和算の図鑑』
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- ◆谷津綱一=著
- ◆技術評論社=刊
- ◆定価=2,948円(税込)
暮らしに欠かせなかった 和算が教えてくれる 生きた算数のおもしろさ
新浦安校 校舎責任者「和算」とは江戸時代に発達した日本独自の数学です。この本では江戸時代に使われていた数字から始まり、重さや長さ、お金などの単位、単位の換算法、割合や面積の問題などを広く紹介しています。和算は物の量をはかったり、お金を数えたり、不公平がないように物や土地を分けたりするのに欠かせないなど、生活のさまざまな場面に密着したものでした。また、生活に必要なだけでなく、和算の問題を解くことが楽しみの一つでもありました。実際、江戸時代には、自分で考えた問題を額に書いて神社やお寺に奉納する人たちもいました。
生活に必要なのは算数も同じです。算数を勉強していて、「何のためにこんな計算をやらなくてはいけないんだろう」と思う人もいるかもしれません。特に親に「勉強しなさい」とか「問題を解きなさい」と言われてやると、余計におもしろくなくなるかもしれません。でもこの本でもわかるように、算数はもともと、身近な生活に結び付いているものです。わたしも授業では、たとえば「パーセント」の説明するときは、天気予報の話をしたりスーパーの割り引きの話をしたり、身近なところで使われている例を出します。そうやって身の回りのことと結び付けるとわかりやすいですし、おもしろさも出てきます。この本はそんなことがわかる一冊だと思います。
中学入試でもこの本に出てくるような問題が出ることがよくあります。特に4年生で習うつるかめ算や過不足算は、ほぼ同じ形で出題される場合も少なくないようです。また、ここで紹介されている知識を応用して解く問題も多くあります。ただこの本は問題集ではないので、解いて楽しむというより、イラストの説明を見て楽しむようになっています。この本を使って親子で問題を出し合ってみるのもいいですし、「この問題は江戸時代にどんな場面で出されていたんだろう」などと一緒に考えても楽しいでしょう。そんなところから算数の楽しみも見つけてくれるとうれしいです。
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