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『エレキテルの謎を解け 電気を発見した技術者 平賀源内』
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- ◆鳴海風=著
- ◆高山ケンタ=画
- ◆岩崎書店=刊
- ◆定価=1,760円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
薬草から鉱山、絵画まで 使えそうならとことん探究 役立ってこその学問だ!
平賀源内というとエレキテル(摩擦起電器)の製作が有名です。彼が初めてエレキテルに出合ったのは1752年、高松藩士、白石嘉次郎として藩の命で長崎に行ったときのことです。オランダ人医師の館を訪ねた彼は、病気を治す道具だという謎の黒い箱に触れて、全身がしびれて気を失ってしまいます。この経験を機にエレキテルに興味を持ちますが、エレキテルを作ったのはそれから何年も後のこと。本書でもその過程はそれほど詳しくは触れていません。それ以外に彼は驚くほど多くのことを成し遂げているからです。
当時、日本と交流があったヨーロッパの国はオランダだけでした。蘭学者はオランダから入ってきた珍しいものを見て、西洋の最新の科学に触れていたのです。源内もそうでしたが、彼の場合は自分で作ってみないと満足できません。実際、磁石を用いて方角を示す磁針器(コンパス)、暑さ寒さを測る寒熱昇降機(寒暖計)などを自作しています。外国のものをありがたがっているだけではだめだ、植物でも鉱物でも日本にあるかもしれないし、便利な道具も日本で作れるかもしれない。源内はそう考え、珍しい物を集めて博覧会を開いたり、国内で白砂糖を作れるよう奔走したり、西洋絵画の技法を覚えて伝えたり、鉄鉱山の開発にまで手を伸ばしています。
彼の専門は薬用になる動植物や鉱物に関する学問である本草学。「本草学で世の中の役に立ちたい」という強い思いがありました。まだ学問が細分化されていなかった時代。文系・理系を超える広い視野と柔軟な思考力、発想力で国益のために力を尽くした源内。その生き方は現代に生きるわたしたちに多くのことを教えてくれます。
『こぐまの ともだちは どこ?』
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- ◆ペトル・ホラチェック=作
- ◆椎名かおる=訳
- ◆あすなろ書房=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:幼児向け
なんかいいね! いないと思ってた 友だちがいたって
独りぼっちの、くろクマくん。とても寂しいので、友だちを探しに行くことにしました。どこを探せばいいかわからず、ずんずん歩いて行くと、茶色のクマに出会いました。ちゃクマくんも、友だちを探しているところでした。そこで2人は「いっしょに探そうよ」と言って、友だち探しに出かけました。
くろクマくんも、ちゃクマくんも、友だちがいません。そもそも、ずっと独りでいたので、友だちとはどういうものか知りません。そんなところから生まれた笑い話のような、ほのぼのするお話です。新しい友だちができるうれしさ、近くに友だちがいてくれる喜びが、森の心地よい風とともに伝わってきます。
『ひかる石のおはなし』
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- ◆小手鞠るい=作
- ◆酒井以=絵
- ◆あかね書房=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
不思議な石は言った 「わたしはいつも きみのそばにいるよ」
ある日、学校から帰る途中で、青みがかった灰色の丸い石を見つけた楓くん。その石はかすかに光り、手のひらに乗せると「こんにちは」という声がしました。
すごい。この光る石はしゃべる石なんだ。「一緒に連れて帰ってくれる?」「うん、いいよ」。家に持ち帰って、机の引き出しから取り出したりなでたり。楓くんは毎日、石に話し掛けるようになりました。
ママを亡くしたショックで、しゃべることができなくなってしまった楓くん。同じく深い悲しみに包まれながらも、楓くんを優しく見守るパパ。不思議な石との出合いをきっかけに、2人が豊かな会話を取り戻すまでを描く、心に深く染み込む物語です。
『ぼくんちのねこのはなし』
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- ◆いとうみく=作
- ◆祖敷大輔=絵
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
年寄りのネコだから 治らなくても仕方ないの? そんなのおかしいよ
一真のうちのネコ、ことらは最近、元気がないのです。タンスや机の上にも乗らなくなって、食欲もないのです。心配になって、一真とお母さんは動物病院に連れて行きました。調べた結果、ことらは腎不全で治らないとのこと。一真が生まれる前からこの家にいて、一緒に育ってきた家族同然のことら。どうしよう。ことらは死んじゃうの?
病気になった飼いネコの世話を通して、「死」と「命」の問題に向き合う物語です。治療費や延命治療など、現実的な問題にも目を向けつつ、家族それぞれが戸惑いながらも一つひとつ乗り越えていく過程をていねいに描きます。重いテーマですが、全編にことらを思う温かさがあふれているので、重苦しさはありません。
『日本の歴史366』 『世界の歴史366』
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- ◆小和田哲男(『日本の歴史366』)、祝田秀全(『世界の歴史366』)=監修
- ◆TOA=絵
- ◆主婦の友社=刊
- ◆定価=各1,980円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
今日は何が起こった日? カレンダー感覚で 楽しく歴史を学ぼう
4月1日といえばエイプリルフール、なんて言えるのは平和な時代だからこそ。歴史をひもとくと、1938年の4月1日は、日本が戦争一色になる契機になった国家総動員法が公布された日。時代は違いますが、その2日後の3日(旧暦)は、聖徳太子の十七条憲法が成立したとされる日です。国家総動員法が出た年より1300年以上前ですが、昔の法のほうが和の大切さを説いていたのは皮肉です。
1年366日、古代から現代まで、毎日いろいろなことが起こっています。そんな「昔の今日」に起こったことを、日づけごとに1日1ページで紹介します。1コママンガやクイズ、間違い探しなど、楽しく読める工夫もいっぱいです。
『北極点 かけろ! クマ 犬ぞりアタック隊 』
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- ◆関屋敏隆=文・型染版画
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=2,200円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け
めざすは地球最北の地! 北極海の大氷原を 犬ぞりチームが駆け抜ける
1978年4月28日、カナダ・エルズミア島のベースキャンプを出発して48日目、日本大学北極遠征隊(日大アタック隊)はついに北極点に到達しました。世界で5番目、日本人としては初めてのことです。北極海の大氷原を駆け抜けること782キロ。そりを引く犬たちがいなければできなかった快挙でした。
犬ぞりチームのリーダー犬、クマの目を通して、北極点をめざした男たちの姿を生き生きと伝えます。吐く息が凍ってぱらぱら落ちてくる極寒のなか、氷の山脈、雪あらし、そしてシロクマなど、数々の危険を乗り越えて、目標に向かって突き進んだ隊員たち。彼らの体温や犬たちの息づかいまでもが、力強い型染版画で描き出されます。
『本を守ろうとする猫の話』
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- ◆夏川草介=作
- ◆小学館=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
本には 「人を思う心」を 教えてくれる力がある
大宮校 校舎責任者本が好きな小学生は多いと思います。ただ年齢が上がるとそうもいかなくなります。読書量調査を見ても、いちばんたくさん本を読んでいるのは小学生で、中学・高校・大学生になると読書量が急激に減るという結果が出ています。社会人になっても同じです。本は勉強や仕事のためにやむなく読む、ということが多くなります。忙しくなると、話題になった本だけを読むとか、あらすじだけ読むといったことも増え、本来の読書から離れてしまいがちです。そんなことにならないようずっと本好きでいてほしい、そんな願いを込めてこの本を選びました。
主人公は高校生の男子で、亡くなったおじいさんが営んでいた書店の店先で、いつも本を読んで過ごしています。そこに1匹のトラネコが現れ、「本を救い出すことに協力してほしい」と頼まれて、一緒に本を救いに行くというお話です。
おじいさんはよく「本には大きな力がある」と言っていました。主人公はその力とは何かを考え続け、本の力とは「人を思う心」を教えてくれる力だということに気づきます。ここが本書の大事なところだと思います。特に今の世の中は、人を思う心が薄れているように感じられることが多いような気がします。本を読んで共感することを通じて、人に対する優しさをより感じられるようになってほしいものです。
とはいっても、本だけ読んでいればいいというわけではありません。主人公は本が大好きで、学校を休んで本ばかり読んでいます。そんな孫に対しておじいさんは、「読むのはよい。けれども読み終えたら、次は歩き出す時間だ」と言います。これも大事なことです。主人公も物語の最後には学校に行くようになります。
読みやすいファンタジーなので高学年なら読めると思います。作者はベストセラー『神さまのカルテ』を書いた人で、対象年齢は少し上がりますが、将来、医師をめざす人にはこちらもお薦めです。
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