「持ち込み袋」を持って、集合場所の講堂から考査場へと向かう甲陽学院の受験生たち。緊張した面持ちながら、しっかりとした足取りで歩いていきます

　校舎に入ってからの受験生や保護者の動きは学校によって異なります。

　甲陽学院では、講堂の1階が受験生の集合場所、2階が保護者の待機場所となっています。受験生は、講堂の入り口付近に掲示された「考査番号と座席の一覧表」で自分の座席を確認して着席します。同校では考査場へのかばんの持ち込みが禁止されているため、考査番号票や筆記用具など、考査に必要なものだけを、座席に用意されている透明の持ち込み袋に移します。持ってきたかばんや不要なものは、考査が終了するまで講堂の自分の席に置いていくことになります。8時15分から出欠確認や諸注意を受けた後、8時30分過ぎに考査が行われる東校舎へ移動しました。考査の間、保護者は講堂の2階か食堂を待機場所として使うことができます。

　神戸女学院の集合時刻は8時45分。それまでは、受験生と保護者は講堂で一緒に待機します。受験生が試験会場に向かった後、保護者はそのまま講堂を控室として利用できます。飲食可能な新社交館（食堂）も控室として開放し、そこで食事をしながら試験終了まで待つ保護者の姿も見られたようです。

　四天王寺中では、校門をくぐった受験生は校庭の手前で「試験場案内図」を受け取り、集合時刻の8時30分までに試験教室に入ります。教室では中1生が試験監督の先生をサポートしており、室内の換気や問題・解答用紙の配布などを手伝っていました。一方、正門で受験生を見送った保護者が向かうのは、待機場所となる講堂「和光館」です。最寄りの天王寺駅までは徒歩約10分のため、駅周辺で過ごす保護者も多いようでした。

試験の用紙を配る西大和学園の先生。受験生は、試験開始の合図を静かに待ちます

　西大和学園の2025年度の出願者は1188名でしたが、学校の敷地が広いため、目立った混雑はありませんでした。校内では、在校生が案内や誘導などを手伝いながら、「受験生の皆さん、がんばってください」とエールを送っていました。到着後に保護者と共に待機できる控室も用意されていましたが、控室には寄らず、そのまま教室に向かう受験生が大半でした。控室として解放されたのは体育館と柔道場です。15時からは体育館、16時からは武道場で、岡田清弘学園長による保護者向けの入試説明会が開催され、多くの保護者が岡田先生の説明に聞き入っていました。

　東大寺学園では、早めに到着した受験生と保護者は入場口付近かグラウンドで待機します。例年どおり、入場口から先の校舎に入れるのは受験生のみ。入場口付近は、受験生を見送る保護者で一時混雑しましたが、9時ごろには落ち着きました。保護者控室として特別教室棟の「圓融館」が開放されましたが、3科受験生は9時45分から14時10分まで、4科受験生は15時20分まで試験があるため、半数ほどは校外に出て、試験終了時刻に戻ってきていたようです。

　合格発表会場には、1月20日に行われた四天王寺中と甲陽学院の2校を訪れました。

　四天王寺中は、「和光館」にて9時から合格者を発表。開門時刻の8時50分には、50名ほどの受験生と保護者が集まっていました。インターネットでの発表は同日12時からと、学校での発表のほうが早いため、多くの受験生親子が来校したようです。定刻の9時には、プロジェクターに合格者番号が映し出されました。発表から20分ほどは和光館の約3分の1が埋まるほどの混み具合でしたが、30分たったころには人がまばらになりました。

　一方、同日の甲陽学院の発表会場は、前年度と同じく東校舎1階の「光庭」です。開門時刻は例年どおり15時30分で、来校のピークは15時50分ごろ。受験生と保護者は、発表まで光庭で待機しました。そして、16時ちょうどに合格発表掲示板の白幕が外されました。前年度までは、この後に校内で手続き書類などを受け取る形式でしたが、2025年度からは、16時30分以降に専用サイトで各自合否を確認し、手続きをする形式に変わりました。そのため、直接会場を訪れる受験生は減少しましたが、歓喜の声を上げて抱き合う受験生と保護者の姿は例年と変わりません。喜びに満ちた様子がしっかりと伝わりました。