受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

緊急分析 2024年度首都圏中学入試の動向:
1|23

私立中学受験生の実数は昨年並み
受験率の上昇は続き15%台前半に

都圏では2010年代の後半から、私立中学受験者数の増加傾向が続いていましたが、2024年はそれにストップがかかり、ほぼ昨年並みの受験者数でした。しかし、これは小学6年生の数が前年より特に大きく減る年に当たっていたためで、受験率の上昇傾向に変わりはありませんでした。なかでも新校舎を建設した学校、大学との提携を強化した学校、男女共学化に踏み切った学校などに人気が集まる傾向が見られます。詳しく見てみましょう。

2024年度入試のトピック

首都圏の小学6年生の数が前年より約5000人減った。2月1日午前受験者数は昨年並みだったので、受験率はやや上昇し15.3%になった。

筑波大学附属駒場の通学区域が拡大され、応募者がやや増加した。

千葉県立千葉と東葛飾、千代田区立九段中等教育学校で男女別定員が撤廃された。

埼玉県所沢市に「開智所沢中等教育学校」が新設。入試は開智と合同で実施された。

主に女子校からの男女共学化や高大連携強化の流れは続いており、2026年からの共学化を発表した女子校が複数あった。

男子校では駒場東邦と早稲田が応募者増。横浜雙葉は一般入試を2回実施して人気を集めた。

東京都の児童数の増減は全国とは異なる
新6年生は現6年生より多い

 首都圏の私立中学受験生の実数は、東京都・神奈川県で一般入試が解禁される2月1日午前に入試を行う学校の受験者数合計から推定することができます。この日の午前には、埼玉県や千葉県などの学校にすでに合格して受験を終えた子や、公立中高一貫校のみを「受検」する子を除くほとんどの受験生が、いずれかの学校を受けると考えられるからです。

 したがって、この数値の増減は、私立中学受験生の実数の増減を反映しているといってよいでしょう。2010年代前半は減少傾向で、2015年には3万6000人を割りましたが、2016年から2020年までは、5年連続で前年を上回り、2021年もほぼ前年並みでした。2022年以降は再び増加に転じ、2023年は約4万3000人になりました。

 また、この2月1日午前受験者数を、首都圏1都3県の公立小学校6年在籍者数で割って求めた「受験率」も、2010年代前半は低下する傾向にあり、2015年は12%台前半でしたが、その後は上昇に転じ、2023年は15%に達しています。

 ところが、2024年は2月1日午前受験者数の増加が止まり、ほぼ昨年並みの約4万3000人でした。しかし、これは1都3県の小学6年生の総数が前年より5000人以上も減少したためで、「受験率」は上昇し、15.3%になりました(表①・グラフ②参照)。

 1都3県全体の学年ごとの公立小学校在籍者数を見ると、2025年に受験する2024年度の新小学6年生は、2024年に受験した2023年度の現小学6年生より約1000人少なくなっています。しかし、東京都だけの数を見ると、新6年生は現6年生よりやや多くなっていることには注意が必要です(グラフ①参照)。

 それ以下の学年についても東京都の児童数の増減は、全国の傾向とは大きく異なるので、まだしばらくは、厳しい入試状況は変わらない可能性があります。

表① 2月1日午前受験者数と受験率の推移
表① 2月1日午前受験者数と受験率の推移

※公立小学校6年在籍者数は、文部科学省のその年度の「学校基本調査」より。2月1日午前受験者数は森上教育研究所調べ。2024年の2月1日午前受験者数は、2月16日までに受験者数が判明しなかった学校のデータについては昨年のデータよりそれを推定して算出した暫定値です。

グラフ① 全国、首都圏1都3県、東京都の公立小学校在籍者数(2023年5月1日現在)

グラフ① 全国、首都圏1都3県、東京都の公立小学校在籍者数(2023年5月1日現在)

グラフ② 2月1日午前 私立中学受験者数と募集定員の推移

グラフ② 2月1日午前 私立中学受験者数と募集定員の推移

筑波大学附属駒場の通学区域が拡大
公立中高一貫校は男女別の定員を撤廃へ

 昨年夏、通学地域を市区町村単位で細かく定めている国立最難関の筑波大学附属駒場が、今春からの通学区域拡大を発表しました。今回、新たに通学区域に加わったのは、埼玉県ではさいたま市の一部や三郷市、八潮市など、千葉県では船橋市、松戸市、習志野市、神奈川県では横浜市南部の港南区、戸塚区などです。これに伴い、応募者は約5%増加しました。

 一方、共学の筑波大学附属は男女とも10%以上減りました。首都圏の公立中高一貫校もほとんどが減少です。公立中高一貫校では従来、定員は「男女同数」が原則でしたが、男女別の定員を撤廃する動きが広がっています。すでに2023年までに、神奈川県の公立中高一貫校と千葉市立稲毛中等教育学校では撤廃されています。2024年は、新たに千葉県立千葉・東葛飾、千代田区立九段中等教育学校でも男女別の定員がなくなりました。これに伴い、応募者数なども男女別には発表されなくなっています。2025年からは、東京都立中高一貫校でも撤廃されます。

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中学入試特集目次
2024年度中学入試特集

首都圏2024年度中学入試レポート緊急分析 2024年度首都圏中学入試の動向

関西圏2024年度中学入試レポート緊急分析 2024年度関西圏中学入試の動向
速報 主要校の2024年度入試結果DATA一覧

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