受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さっぴーの社会科見学へ行こう!

❹もろみの仕込み

男の子 「しょうゆ麹の準備が整ったら、今度はタンクに移して食塩水と混ぜ合わせる。これがしょうゆのもとになる『もろみ』なんだね」

女の子 「もろみはそのまま半年くらい発酵・熟成させるのね。野田工場には数百本の仕込みタンクがあって、最大のものは直径7m、高さ20m。すごい大きさだね」
男の子 「あっ、もろみのサンプル発見! 仕込んだばかりのもの、2~3か月たったもの、4~6か月たったものの三つがあるね。色味は最初は白っぽいけど、どんどん濃い色に変化しているよ」
女の子 「香りも三つの段階でまったく違うよ。熟成が進むにつれて香ばしさが増すんだね」

❺圧搾・清澄

さっぴー

女の子 「もろみの搾り方はとってもユニーク。長いナイロンの布に包んで、何層にも折り重ねて搾るのね。最初はもろみ自身の重さで、自然としょうゆがにじみ出てくるんだって」
男の子 「それからプレス機にかけて、全部で20時間ほどかけて搾り切る。残ったしょうゆかすは、家畜の飼料や紙の原料にするんだって」
女の子 「搾った生揚げしょうゆは、数日間タンクに入れておく。すると底におり(不溶性固形分)が沈み、上のほうにしょうゆ油が浮いてくるのね。商品にするのは中間の澄んだ部分だけなんだ」
男の子 「最後に『火入れ』として、この澄んだしょうゆに熱を加えて色や香りを整える。そして機械で容器に詰めて、ラベルをかぶせたら完成だ!」

❻世界に広がるしょうゆの魅力

男の子 「おっ、ここにはキッコーマンのさまざまな商品が並べてあるよ。昔は木製のたるにしょうゆを詰めて売っていたんだ」
女の子 「大正時代になると、缶入りやびん入りが登場したのね。最近はしょうゆの酸化を防ぐ密封ボトルもあって、新鮮なおいしさが保てるから便利だよね」
男の子 「こっちは海外用の商品だ。キッコーマンのしょうゆは海外でも人気で、今や100か国以上で販売されているんだ。1970年代にアメリカで起きたテリヤキブームも、しょうゆが広がった要因の一つなんだって」
女の子 「ふうん、そのアメリカをはじめ、キッコーマンの工場は海外にも八つあるのね。やっぱりおいしいものは国境を越えて広がっていくんだなあ」

発見しょうゆはペットボトル入り食品の第1号

 ペットボトルは軽くて丈夫。だから、飲料水などの容器に使われることが多いけど、日本で初めて食品の容器にペットボトルを採用したのは、実はキッコーマンなんだ。1977年にペットボトル入りの500mLのしょうゆを発売したのがきっかけで、いろいろな食品にも広がったんだよ。

キッコーマン御用蔵も見学してみよう

キッコーマン御用蔵 写真

 野田工場の正門のすぐ右手には、クラシカルな外観の御用蔵があるんだ。これは戦前、宮内省(現在の宮内庁)へしょうゆを納めるため、キッコーマンが1939年に建てた専用醸造所を移築したもの。今でもここで、一部手作業による伝統的なしょうゆづくりを行っているんだよ。内部には創設時の道具類が並ぶほか、ガラス越しに醸造の様子を見ることもできる。工場見学者なら御用蔵は自由に見学できるので、チェックしてみて。

24年1月号 さっぴーの社会科見学へ行こう!:
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