３年生の秋、娘は入室に向けて準備を開始しました。一通りの塾を見学し、本人が選んだのは三つ上の兄も通ったサピックス。「授業が一番面白かった！」と言っていたのが印象的でした。しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。学習姿勢はどこまでもマイペース。また、典型的な国語女子だったこともあり、成績は乱高下を繰り返しました。が、何故か実力テストになると成績上昇。（この子は無類の勝負強さを持っているのでは…）と思うこともしばしばでした。その後、兄が志望校に合格し、部活に遊びに（勉強も…？） 忙しくも楽しい日々を過ごす姿を見て、（いよいよエンジンがかかるか？）と見守っていましたが、あくまでマイペースを崩さない娘。（この子はいつ本気になるのかな…）と思ううち、あっという間の２年間が過ぎ６年生を迎えました。（これはマズい、目標をしっかり定めよう）と多くの学校を訪問しました。どれもが素晴らしい学校でしたが、娘が一番気に入ったのは、大好きなアニメの街でもある池袋の豊島岡女子学園中学校。目標は遥か高く、手が届くイメージも持てませんでしたが、叶えるための努力をしようと約束して取り組みました。
　夏が終わる頃には、得意の国語で安定して得点できるようになり、成績も徐々に落ち着きました。それでも依然チャレンジであることに変わりはありません。過去問もなかなか合格最低点に届かず、年末からはとにかく基本に返り弱点を補強しようと決め、算数は単元学習の間違い直し、理社は基本知識の定着を徹底しました。本当の意味で娘にエンジンがかかったのは最後の１ケ月、ひょっとすると10日間位だったかもしれません。それでも最後まで着実に力が伸びていると感じました。
　そして２月。初日の洗足学園。「算数が難し過ぎたけど、何かのアニメで見た『落ち込むのは後からでも出来る！』との名言？を思い出し、理社が終わってから落ち込もうと切り替えた」とのこと。持ち前の勝負強さが発揮できました。
　そして、いよいよ豊島岡の受験日。いつもと変わらぬ様子で、颯爽と会場に入っていく娘の後ろ姿は、頼もしくさえ思えました。そして、その日の夜、家族全員でＨＰの合格者一覧を見て、番号を見つけた時の感動は忘れられません。振り返ってみれば、一日も休むことなくサピックスに通い、クラスが落ちても一喜一憂せず、不安と戦いながらも自分の力を信じて頑張り続けた娘。私たちが気づかぬうちに、学力だけでなく、心の部分が大きく成長していたんだと思います。
　兄妹で５年間のサピックス生活。４校ずつ、計８回の受験で全て合格をいただけたのは、２人共お世話になった校舎責任者の先生をはじめとする諸先生方のご指導のおかげです。サピックスに出会えたことを心から感謝しています。ありがとうございました。