受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 女子学院中学校

わが子の頑張りに応援を

H.Nさん お子さんの名前 Tさん

 「環さんは、自分の考えがしっかりあって、毎週悩みを相談しに来てくれます。ただ、他に見たことのないくらい気分で成績が上下するので、出来ていない部分に目を瞑り、沢山褒めてあげてください。お父様も頑張りどころです」 その時、私は、娘が家では見せない、必死に工夫し努力する姿を初めて知りました。

 「パパ、缶蹴りって何? なんか楽しそうなんだけど」勘違いから憧れが膨らみ、一途に女子学院を目指してSAPIXに通う娘の成績は、3年間大きな昇降の繰り返しでした。そして6年夏期講習、上位クラスに戻り慢心した娘は家庭学習の手を抜き、秋の各種模試の結果は散々となりました。合格判定は30%を超えません。娘は不安から勉強が手につかず、更に成績が落ちる悪循環に陥ります。親の私は、取り組み姿勢の甘さが気になり、焦りもあって厳しく窘めましたが思うようにいかず、眠れない日々が続きました。

 11月末の模試の帰り、やさぐれた態度を指摘された娘は、狂ったように荒れました。「そんなこと言われたくない!!」「受験なんてやめてやる!!」激しい剣幕に手を焼き、校舎に電話して本人を宥めていただいた際、お父様にもお話が…と、頂いたのが冒頭のアドバイスです。先生は本当によく娘を見ていました。私は、娘を理解できていなかったのです。ショックでしたが、弱点を直そうとするのをやめ、無理してでも褒め倒すことにしました。娘は、態度が急変した父親をしばらく胡散臭く感じていた様子でしたが、それでも気分が少しずつ晴れていく様子は感じられました。

 12月上旬、娘は最後の模試の結果に号泣し、その後突如、これまでにない集中力で勉強に向き合い始めました。自分に合う勉強方法を、自ら各科の先生に聞いて回り、途中で投げだしていた教材を何度も何度も解き直しました。次第に自信がついてきたようで、1月最終週には「受かっても落ちても関係ない」「やるべきことをやるだけ」「テスト楽しみ」と泰然自若の境地に達し、2月1日の朝も緊張を見せず笑って校舎に駆け込んでいきました。試験の後、最初の国語が「もうダメだ、落ちた」という出来だったと聞き、そこから翌日11時の発表まで、私は吐きそうになるような絶望感しかありませんでしたが、なんと合格していました。娘は、途中で諦めることなく、自分で気持ちを切り替え、残り科目に全力を尽くし、挽回していたのです。涙が出ました。

 最後の最後で娘の底力が引き出されたのは、絶望的な状況でも子供に寄り添い、的を射た指導と励ましを続け、娘の成長を促していただいたSAPIXの先生の御蔭です。ありがとうございました。受験校はすべて合格という望外の結果でした。ただ、合格よりも、幼く頼りなかった娘が、自ら頼るべき人を探し、独力で困難を跳ね返す強さを身に付けるまで成長したことが、親としてこの上なく嬉しく、長く苦しい日々が全て報われた気が致します。

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