「第一志望は三つ見つけて下さい。その中で縁があったらそこが自分を求めている学校です。」
　某中学校の校長先生が学校説明会でお話しくださった言葉です。その言葉は私の心に深く刺さり、家族で意識を共有し、学校見学等に赴く時には、その学校の良い所を沢山探し、通いたい学校の選択肢を増やしました。
　病気がちで成長もゆっくりの息子が入室を決めたのは新３年生、本人の希望と、穏やかで争い事や強制されることを好まない、知的好奇心が強く自分が決めた事は前向きに取り組む性格が、楽しみながら考える力を育てるサピックスに合っていると考えたからです。受験において必要不可欠な闘争心という面では最後まで芽生えず物足りなさはありましたが、「仲間と切磋琢磨しながら学ぶ」という環境は息子には刺激的で楽しい時間であり、一度もやめたいと言う事なく最終日まで嬉しそうにサピックスに通いました。成績は安定せず、特に国語では苦労しました。様々なクラスを行き来したのでお友達は沢山いたようです。
　ＳＳが始まった頃から危惧していた通り度々体調を崩し授業を休む日が増えました。その影響で得意としていた算数で理解の浅い単元が出てきてしまいました。またタイプの異なる志望校が混在したことで器用ではない我が家にとっては対策がとても大変でした。先生と本人に確認し大量にあるＳＳと土特の中から志望校に必要なものを優先し復習しました。今となって思うのは我が家の様な受験パターンの場合、併願校で志望順の低いものは過去問を前倒しでやった方が直前期に時間を削る事なく精神衛生上よかったです。
　志望校は本人の意思を尊重してＧＯを出しましたが、その結果、３校の第一志望校のうち２校の不合格、１校はチャレンジだったので納得したものの、もう１校は志望校別コースで好調をキープし自信をつけていただけにショックは大きかったです。タイプの違う学校を受験するリスクについてもっと話し合い説得した方が結果は違ったのではないかと親として反省しましたが、本人が「自分で選んだ併願校に悔いはない。今の自分に出来る事はやり切った」とスッキリした表情で言う姿に両親の心も救われました。自宅では飄々としながらも精神年齢は幼い息子ですが、先生から聞く塾での姿は全然違っていて驚きました。質問教室にもよく足を運び、先生方に親には言えない相談や勉強の的確なアドバイスを頂き、実行したことが大きな力をつけた要因であると思います。
　最終的に三つ掲げていた第一志望校の一つにご縁を頂きました。「中学受験やってよかった。自分に自信が持てたし心が強くなったと思う。」この言葉に成長を感じ、親子でかけがえのない素晴らしい経験ができたと実感しました。サピックスで尊敬できる師との出逢いもございました。ここまで導いてくださった先生方に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。