受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さっぴーの社会科見学へ行こう!

レンズの実験室
さっぴー

女の子 「やった、体験スペースだ! ブース内には光学系の体験装置がそろっていて、遊びながらレンズの秘密に迫れるんだね」
男の子 「これはドアスコープと写真用レンズ、虫眼鏡の見え方の比較だね。たとえばドアスコープは広い範囲が見えるけれど、視界はぐにゃっとゆがむんだ。おもしろいなあ」
女の子 「レンズに特殊なコーティングを施すことでも、見え方は変わるのね。普通のレンズと、透過率を上げるコーティングありのレンズを見比べると、コーティングされたほうがよく見える!」
男の子 「こっちはタッチパネルのカメラシミュレーターか。絞りやシャッタースピードなどを選びながら、上手に写真を撮るこつをつかむんだね」

産業とニコン

男の子 「ニコンは光学機器メーカーで、さまざまな製品を手がけているんだ。これは古い測量機か。戦後に市街地を復興したときは、こういう機器が大活躍したんだね」

女の子 「これは1964年開発のレンズだけど、1mm幅に1260本の線を写せるほどの解像度なんだって。このレンズで、文書を250分の1に縮小して撮影した写真が展示してあるよ。拡大してみると…。わあ、文字がつぶれずにちゃんと読み取れる!」
男の子 「青い光が出るこの機械は、1984年開発の半導体露光装置か。精密な動きで、シリコンの板に電子回路の情報を焼き付けるんだって」
女の子 「現在の液晶ディスプレイの製造にも、この装置は欠かせないんだね」

バイオ・医療機器とニコン

女の子 「光学機器といえば、カメラ以外に顕微鏡も忘れちゃいけないよね。この1925年開発の『JOICO顕微鏡』は、ニコン初の本格的な顕微鏡なんだって」
男の子 「それから顕微鏡はどんどん進化して、今では細胞の構造まで見られるレーザー式の超解像顕微鏡も登場しているんだね。バイオ・医療分野の発展に貢献しているんだ」
女の子 「わあ、これは京都大学のiPS細胞研究所の依頼で開発した装置なの? 内部で培養中の細胞の様子を、24時間ずっと観察できるんだ。便利だねえ」
男の子 「その隣に並ぶ装置は、レーザー検眼鏡の『オプトス』だって。超広角レンズで眼球の80%を写せるから、異常を発見しやすいんだね」

宇宙とニコン

男の子 「ニコンは、戦前から天体望遠鏡の製作にも取り組んでいたんだね。1931年には国産初の本格的な天体望遠鏡として、口径20cmの『屈折赤道儀』を国立科学博物館に収めたのか」

女の子 「ここにある本物の赤道儀は、長く学校で使われていたものなんだって。実際にレンズをのぞくと、向こうの壁に投影された土星が見えるよ」
男の子 「あれを見て! 天井から人工衛星がぶら下がってるよ。これは赤外線天文衛星『あかり』の模型だね。『あかり』の大型赤外線望遠鏡はニコン製だったのか」
女の子 「こっちには、小惑星探査機『はやぶさ2』が持ち帰った、『リュウグウ』のかけらの模型があるよ。このかけらの分析に使われているのも、ニコンの顕微鏡なんですって」
23年10月号 さっぴーの社会科見学へ行こう!:
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