受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

そこが知りたい!


先輩保護者の体験から学ぶ入試までのサポート 入試直前の大事な時期をどのように乗り越えたのか

 入試本番まで残りわずかとなりました。「ここから、わが子をどうサポートすればよいのだろう」と、不安や焦りを感じている保護者の方もいらっしゃると思います。本番を迎えるまでの大事なこの時期を先輩保護者の皆さんはどのように乗り越えたのでしょうか。ここでは「精神面」「学習面」「生活面」など、さまざまな角度からの体験談をご紹介します。

※掲載しているグラフは、2024年4月に中学校に入学したサピックス卒業生に対して実施した「受験生活に関するアンケート」の集計結果をもとにまとめたものです。

※( )内の学校名は、このコメントを寄せてくれた方のお子さんの進学校です。

精神面 本番を迎えるわが子に寄り添い
前向きになる声掛けを

 子どもたちは、志望校への合格を目標にして、これまで一生懸命に努力を重ねてきました。しかし、試験日が近づいてくると気持ちが不安定になり、自信をなくして落ち込んでいる様子を見せることもあるでしょう。そんなとき、先輩保護者の皆さんは、お子さんにどのように接していたのでしょうか。

 「テストの点数が悪いときほどテンションを上げて、『よし! この間違いを次に生かそう』と親は明るく子どもに接してください。点数が悪くて叱るのは厳禁です。子どもはやる気をなくし、勉強の楽しさが失われてしまいます。そして間違えることを恐れてしまいます。入試本番まではどれだけ間違ってもいいのです。間違いは宝物です。ありがたく受け止めましょう」(桜蔭中)

 「1月は、過去問の2周目とSS特訓の復習を必死にやっていました。最後の2回のSSで出来の悪い教科があり自信をなくしていましたが、質問教室や前日の激励電話でも解き方のアドバイスをいただき、自信を取り戻したようです。最後は、家でも過去問や模試の結果、SSの順位や点数など、よくできたものを見せて自信を持たせました」(駒場東邦中)

 「学校別サピックスオープンでは、合格可能性が30%という厳しい結果が出ましたが、残り1か月で一段階ギアが上がり、過去問や対策問題で間違えた箇所を何度も解き直していました。入試当日は、『自分が難しいと感じた問題はみんなにとっても難しい問題だからね』と、捨て問に時間をかけ過ぎないことと、難しい問題に不安にならないように気を配り、最後は『楽しんでおいで!』と声を掛けました」(渋谷教育学園幕張中)

 お子さんの精神面でのサポートに苦労した経験があるご家庭は多いようです。受験勉強中に悩み事が生じたときに、子どもたちが相談することが多いのは、やはり身近な存在である家族です(図1)。周りの大人たちが、「子どもの気持ちを受け入れ、自信を持たせる」という姿勢で支えていくことが大切ですが、保護者の方も「じっと見守る」のは簡単ではありません。子どもの態度を見て不安になり、つい口を挟みたくなることもあると思います。先輩保護者はどのように接していたのでしょうか。

 「12月以降、各日にどの学校の過去問を何年分やるのかを配置し、本人に時間の意識を持つように声掛けをしました。ただ『やりなさい』と言っても子どもはスケジュール管理が不得手なため、親が助けてよかったと思います。また、並行して基礎トレや苦手教科の基礎固めにも取り組んで、直前に実力を上げたようです」(慶應義塾中等部)

 「わが子の場合、家での音読が功を奏しました。国語の授業で扱ったおもしろい物語文や、購読していた中高生新聞、『重大ニュース』を音読して、わたしに解説してくれました。理科や社会で習った用語を新聞で見つけると、学びが実生活と結びついていることを実感し、喜んでいました」(女子学院中)

 「わが家は親リード型で、わたしが娘の理解度に合わせて学習内容や過去問を準備するなど、完全に並走していました。算数などのわからないところは質問教室でしっかり指導していただき、社会・理科の『コアプラス』をお守りのようにどこへ行くにも持ち歩き、隙間時間に開くのが習慣になっていました」(フェリス女学院中)

 思うような成果が得られなくても、「入試前に課題が見つかってよかった」と前向きにとらえると、お子さんのモチベーションが保てるのではないでしょうか。間違っても、「今のままではどの学校にも受からないよ」などと言ってはなりません。精神面のサポートで何よりも大切なのは、「努力するわが子に寄り添う心」です。

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受験勉強中の悩み事をいちばん相談した相手は誰ですか?

【単一回答】(有効回答数230)

グラフ1

悩んだときは講師に相談
アドバイスを活用して自信を取り戻す

 受験生活ではさまざまな困難にぶつかり、「どうすればよいのかわからない」と悩むこともあるでしょう。そんなときは、サピックスの講師に相談し、具体的なアドバイスを得ると、解決に向かうケースもあります。

 「サピックスオープンの結果を受けて親子で悩んでいたので、意を決してサピックスに連絡しました。すぐに先生から励ましのお電話をいただき、まず親が平常心を取り戻すことができました。そして本人に『実力はあるから大丈夫!』という先生からのメッセージを伝えると、その後は目に見えて前向きに取り組むようになりました。恐るべしサピの先生のことば。わが家はあまり積極的にサピックスに相談はしてこなかったためか、かえってその一回のことばが響いたのかもしれません。それ以降は冬期講習、正月特訓と淡々と日々が過ぎ、本番までモチベーションを下げずに乗り切れました」(筑波大学附属駒場中)

 「受験日間近の12月中旬、授業内の算数テストで60点満点中14点を取り、それまで質問教室を嫌がっていた息子が、算数の授業後に毎回質問教室に行くようになると、安定して50点以上を取れるようになりました。息子に自信を与えてくださり、ありがとうございました」(麻布中)

学習面 これまでの教材を活用して基礎を確認
解けなかった問題も復習

 9月から始まったSS特訓も後半戦に入ります。子どもたちは、志望校の出題傾向に沿った「志望校別講座」と、強化したい科目を集中的に学習する「単科講座」で着実に力を伸ばしています。12月末から1月初めにかけては「冬期講習」(首都圏のみ)や「正月特訓」などの直前講習が行われ、入試本番に照準を合わせた授業が続きます。

 この時期に、多くのご家庭が学習面で重視しているのは、復習を中心にすることです。知識を確実に定着させるためにも、これまでの授業内容を振り返り、プリント・教材・模試などで解けなかった問題をやり直すことがとても重要です。

 「本番までにどうすれば少しでも自信をつけさせることができるだろうかと悩みましたが、結局は地道な努力を積み重ねることがいちばんだと考え、算数は土曜志望校別特訓の聖光中の対策プリント、国語は『漢字の要』や『語彙力完成プリント』、理科は『コアプラス』、社会は『データバンク』や『知識の総完成』などを利用して、基礎知識の最終確認をしました。そのうえで過去問の2周目を3回分ほど取り組み、前回から点数が伸びた部分を積極的にほめるようにしました」(聖光学院中)

 「家での勉強はサピックスのテキストが中心でした。SS特訓のテキストは最後まで有効です。とにかく時間がありませんでしたが、幸いわが子は理科と社会の成績は良かったので、成績のブレが激しい算数を全力でやり、できない国語の読解は、親が教えてもあまり効果はなさそうだったので、サピックスの授業に託すことにしました」(武蔵中)

 サピックスでは、志望校に合格するために必要なことを、各学年の最も適切な時期に学ぶようなカリキュラムを組んでいます。講師も、一人ひとりの性格や状況に合わせてフォローをしているので、これまでに学んできたことを着実に身につけるのが合格への近道です。まずは授業に集中し、ご家庭では復習に重点を置いた学習を心がけましょう。

志望校の過去問演習で本番を意識
弱点を見つけて対策を立てる

 この時期、復習と同様に重要なのが、志望校の過去問演習です。出題傾向をつかむために必要なのはもちろん、制限時間や解答欄の大きさを実際の入試と同じにして解くことによって、本番に近い形でシミュレーションができるという点でも大きな効果があります。

 「6年生の秋から冬にかけては自宅学習も過去問演習に重点を置くようになりました。テストで基礎的な問題もミスをすることがあり、『むしろ基礎的な問題を解いたほうがよいのではないだろうか?』と思ったこともありました。しかし、受験本番で息子から『似た問題を授業でやったことがある』『過去問で慣れていたから安心してできた』と言われたときに、過去問演習にしっかり時間を割いてよかったと感じました」(開成中)

 「娘が最後まで苦しんだのは過去問でした。合格可能性80%の学校でも、過去問はなかなか合格点を超えることができず、『このままではだめかもしれない…』と何度も思いました。比較的安定していた社会でさえ過去問となると点数が取れず、とても苦しみました。しかし、サピックスの先生が娘の過去問の答案やまとめノートを見て、できているところはほめてくださったので、年が明けるころには少し自信がついてきました」(桜蔭中)

 過去問演習は、実力を確かめるためというよりも、むしろ弱点を見つけ、その対策を立てるために活用するものです。間違えた問題は、なぜ間違えてしまったのかをしっかりと分析し、正解を導けるようにしておくことが重要です。保護者の方が問題の難度を見ながら上手にスケジュールを立てると、お子さんも効率よく取り組めるようになります。

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9月にSS特訓が始まってから、学習に取り組む姿勢や学習方法などに何か変化はありましたか?

(自由回答を以下の6項目に分類して集計。有効回答数154)

グラフ2

※「学習時間が増えた」「SS特訓が最優先になり復習を徹底するようになった」「早起きをする習慣がつき土曜日の朝も勉強するようになった」など

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SS特訓を受講して、お子さん自身に変化が見られましたか。

(自由回答を以下の6項目に分類して集計。有効回答数229)

グラフ3

※「みずから解けない問題に向き合うようになった」「長時間の勉強に耐えられるようになった」「精神的に鍛えられた」「時間の使い方を工夫するようになった」など

24年12月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.5:
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