受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 世田谷学園中学校

偏差値50以下のお子様・保護者様へのエール

M.Hさん お子さんの名前 Kさん

 きっと今年も本稿以外のほとんどは御三家等の体験記で埋め尽くされていると思います。「毎回、授業後は目を輝かせて…」「土日は習い事なので、勉強は平日に効率良く…」みたいなものばかり。我が家のような偏差値50以下の家庭のためにもっと有益な情報を提供したい。それが筆を執った理由です。

〈成績推移〉
 3年生の夏に最下位クラスで入室。偏差値はずっと40台でしたが、6年生の秋には偏差値50を連続して取れるまで力を伸ばし、第一志望校の世田谷学園中(本科および理数コース)から合格を頂くことができました。

〈実践した勉強法等〉

最も重視したのは、息子なりの学習内容とペースを守ること。正直に申しますと、息子の体力と気力、授業内容を消化する能力を考慮し、先生にお断りしたうえで、土曜志望校別特訓およびいくつかの短期講習を欠席し、平常授業の復習と定着に専念しました(欠席授業分は、取り組める範囲に絞って自主学習)。これは極端な例であり、決してお勧めしませんが、強調したいのは、サピックスのカリキュラムといえども「我が子」にとっては歩留まりが悪い状況になっていないか、プライドを捨てて冷静に見極め、学習を調整することです(もちろん、先生にもご相談ください)。

夏期講習の「前」こそ勝負。我が家の場合、秋以降の偏差値50到達の鍵は間違いなくこれでした。全範囲の総ざらいをする夏が受験の天王山といわれますが、夏期講習を基礎の定着、チェックと穴埋めの機会として生かすには、穴が「穴」といえる程度に仕上がっていないと意味がないという確信がありました。そこで、6月から夏休みに入るまで、国語では漢字・語彙やAテキストの解法メソッド、理科・社会の基礎知識の習得に、競馬でいえば、既に最終コーナーを曲がって直線に入った時のごとく、「ここが勝負」とばかりに駆け抜けました。結果、夏期講習のテストや演習である程度の点が取れる→復習が回って定着するという好循環ができ、充実の夏となりました。

苦しみ続けている下位層だからこそ「サピックスで良かった」と思える時が、秋の過去問取り組みで到来します。「あれ? マンスリーテストより簡単? 結構解けそう!」と。ただし、ハマり過ぎは禁物。難関校でなければ、問題に癖が強いことは少ないので、地力を上げることが優先です。お世話になった担当の先生は「過去問演習は週末の練習試合。能力値自体を上げるのはあくまでも平日の基礎練習」と仰っていました。けだし至言だと思います。


〈最後に〉
 サピックスは厳しい場所です。今でも、一般的には決して地頭が悪い方ではない(と思える)息子が、これだけ努力して、やっと偏差値50か、というのが偽らざる思いです。しかし、サピックスで偏差値50以下でも、中学受験層では十分に上位です。それをお子様に伝え続けて欲しいと思います。皆様のご健闘をお祈り致します。

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