受験生を迎える四天王寺の校門。ここから先に入れるのは受験生のみのため、わが子にエールを送る保護者が多くいました

　校舎に入ってからの受験生や保護者の動きは、学校によってさまざまです。

　甲陽学院では、昨年度は西門を入って右側の体育館が受験生の集合場所でしたが、2024年度は新型コロナ流行前と同じ左側の講堂の1階に戻りました。受験生はここで出欠確認や諸注意の説明を受け、8時30分過ぎには考査場のある東校舎へ、渡り廊下を通って移動します。一方、保護者は控室となる講堂の2階か食堂で待機することができます。

　神戸女学院では、早めに入場した受験生と保護者のために講堂を開放。指定の場所に着席し、集合時刻を待ちます。受験生と別れた後も、保護者はこの講堂を控室として利用できます。ここでの飲食はできませんが、新社交館（食堂・喫茶室）に移動して昼食をとることも可能でした。

四天王寺では、保護者控室として「和光館」を開放。最寄り駅近くのショッピングセンターで待機する保護者も多くいたようです

東大寺学園の保護者控室として開放された「圓融館（えんにゅうかん）」。わが子の健闘を祈りながら待機します

　四天王寺では、受験生は集合時刻の8時30分までに試験教室に入ります。コロナ禍では、1教室の定員を通常の半分である25名に減らしていましたが、2024年度は50名に戻しました。一方で、試験の休み時間の「1分間の換気」は継続し、教室の換気や、問題・解答用紙の配布をする際は、中1生がサポートしていたのが印象的でした。校門から校内に入れるのは受験生のみのため、保護者は四天王寺境内寄りの外階段から、保護者待機場所の講堂「和光館」に向かいます。徒歩で10分ほどの距離に天王寺駅があるため、駅前のショッピングセンターなどで過ごす保護者もいたようです。

　西大和学園の本校入試では、保護者も試験教室のある校舎の入り口まで同行できます。校舎では、約80名もの在校生（中1～高1）と卒業生が、案内係や試験監督補助として活躍していました。昨年度と同様に、控室として体育館と武道場の2か所を用意。15時からは体育館、16時からは武道場で、それぞれ岡田清弘学園長による入試に関する説明会も行われました。

　東大寺学園の入室開始時刻は8時40分で、到着のピークはこの時間から9時ごろまで。校舎に入れるのは受験生のみです。2024年度の保護者控室は、コロナ禍の3年間に使っていた体育館から、特別教室棟「圓融館（えんにゅうかん）」に変更されました。3科受験生は14時まで、4科受験生は15時10分まで試験が続くため、半数ほどの保護者は一度外出し、終了時刻に戻ってきていたようです。なお、新型コロナ流行後、保護者控室の入り口で行っていた「保護者と受験生の名前、連絡先」の登録用紙への記入は、今年度はありませんでした。

　合格発表会場には、1月15日に行われた、四天王寺と甲陽学院の2校を訪れました。

　四天王寺は、「和光館」にて、9時から掲示で合格者を発表しました。例年どおり、校舎内から和光館へは行けず、校舎の外から回って会場入りします。開場時刻の8時45分には、50名ほどの受験生と保護者が到着していました。入場後は館内の座席に自由に座って発表を待ちます。定刻の9時には、「それでは発表します」という教頭先生のひと声とともに、プロジェクターに合格者番号が映し出されました。インターネットでの発表は同日12時のため、学校での発表のほうが先になることもあり、多くの受験生が来校していました。

　甲陽学院の発表会場は、コロナ禍以降の3年間は体育館でしたが、2024年度は東校舎1階の「光庭」に戻りました。開門時間は予定どおりの15時30分。到着した受験生と保護者は順次上履きに履き替え、光庭で待機します。そして、16時には合格発表掲示板の白幕が外されました。出口は入り口の逆に設けられていたため、発表を確認してから書類を受け取るまでの一方通行の動線ができ、スムーズに移動することができました。

　インターネットを併用して発表する学校が増えたことによって、来校する受験生は減ったかもしれませんが、合格した喜びに変わりはありません。満面の笑みを浮かべる受験生の姿が、とても印象的でした。