受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 東京都立小石川中等教育学校

都立と私立の受験、両立できると思いますか?

T.Sさん お子さんの名前 Sさん

 「この学校で学びたい」と思う娘の気持ちを第一に考えた学校選び。結果的には、都立中高一貫校と私立中のダブル第一志望校を軸に組んだ受験日程となりました。傾向が異なる都立と私立対策の両立に、不安を感じるご家庭の参考になれば幸いです。
 第一志望校を考え始めたのは5年生の夏。たくさんの素晴らしい学校がある中で、「個と自主性を大切にする」「進路が理系文系半々」「英語教育に定評」「コース分けがない」「行事、部活なども充実し、勉強にも真摯」などの観点で、実際に娘と学校を訪れ、本人の感性を最優先に志望校を検討。その中で、都立小石川と雙葉は、親子で「ここだ!」と胸をときめかせた学校でした。
 しかしながら、試験の出題方法は異なります。都立は適性検査、雙葉は4教科試験。本人が望まない限り、過大な負荷を娘にかけないことを信条とする我が家は、両立ができるのか悩みました。ただ、都立小石川の学校説明会と、サピックスの先生からのアドバイスを統合すると、都立対策は4教科を仕上げてからでも遅くはないと判断。まずは、雙葉対策を主軸に、徐々に適性検査にもアジャストする方針を立てました。両校ともに、本質的には、論理的かつ丁寧に問題と向き合う姿勢と、それを表現する力を見ているだろうと感じたことも後押しのひとつでした。
 と、ここまで格好よく記載しましたが、現実的にはかなり大変でした。6年の秋以降は、SSでの雙葉対策、授業、模試や過去問で本当に手いっぱいで、都立対策は過去問と外部模試を月に1度受ける程度。都立対策がままならない中、SSで切磋琢磨できるお友達の存在と、雙葉の過去問との相性の良さが精神的な救いの時期でした。このような状況でしたので、併願校は慎重に考え、都立を意識せずに組むことに。雙葉と出題傾向が似ている2日校、女子の前哨戦と言われる1月校はすぐに決定しましたが、1日午後校は直前まで悩み、最終的には、1科目受験で合格人数が多い学校を選択しました。併願校選びは、サピックスでの面談が大変参考に。特に1日午後校は、先生のアドバイスで当初の想定よりも幅広く検討でき、進学したいと思える素敵な学校に出会えました。
 さて、都立対策は結局、大したことはできませんでした。しかし、サピックスで基礎と応用力を鍛え上げていただいたからこそ、都立小石川らしい根気のいる計算問題や表の読み取り問題、理数的思考問題になんとか対応し、雙葉対策で学んだ論理力と表現力で立ち向かえたのだと思います。サピなら都立と私立の受験は両立できる、これが我が家の所感です。
 2月のあの朝、Vバッジをつけて受験会場へと向かう娘の後ろ姿を、生涯忘れることはないでしょう。よく頑張った娘への敬意と、ここまで導いてくださった先生方、戦友のみなさんへの心からの感謝と共に、これから立ち向かうみなさんにとって最良の受験となることを、心から祈っております。

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