受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 浅野中学校

子どもを信じるって難しい

R.Mさん お子さんの名前 Tさん

 6年生10月、テストで今まで見たこともない偏差値35をたたき出しました。クラスも上位から下位へ4段階落ち。いま? この時期に?
 5年生入室は、やはり遅かった? 共働きで、ちゃんと復習を見てあげていなかったのが良くなかった? そもそも育て方の問題?
 6年生12月、息子が過去問をやりっぱなしで、復習もせずに動画を見続けていたことに、主人がブチギレ「もう協力はしない」。息子のやる気のなさに、ついに堪忍袋の緒が切れたのでした。毎日なにをすべきか、見事なサポートをしてくれていたのに。息子は顔面蒼白、挙動不審。いきなりバトンを渡された私も右往左往。怒る気持ちもわかるけれど、でも、いま? この時期に?
 この、10月~12月は、合格力判定サピックスオープンなどテストが目白押しの時期。当然、結果は惨憺たるもので、我が家はそれまでの第一志望校をあきらめ、もう一つの志望校の浅野中に絞り、SS特訓のコースも変更、出直すこととなりました。
 とはいうものの、浅野も合格力判定サピックスオープンは、ほとんどすべて合格可能性20%。それでも浅野にした理由は、この絶不調の秋頃に過去問をやってみたとき、意外と戦えたこと。出題傾向が、得意科目は難しく、不得意科目がそこまで難しくはなかったこと。いけるかもしれない、という手ごたえ。息子も「行きたい!」と言っていたこと。
 息子はおしりに火がつかないとやらないタイプなのだと思います。やっと現実を直視したのか、冬期講習と正月特訓は一生懸命でした。クラスも途中で上げてもらえました。
 サピックス授業最終日。感染対策でライブ配信授業を受講できるので、どうするのか問うと、「絶対行く」。サピックス楽しい? 「楽しいよ!」
 あんなに嫌いだったのに。いつも動画見て、家でグズグズして遅刻していたくせに。
 入試本番。2月1日午前・午後の両方に不合格…。生きた心地がしませんでした(このとき私の電話に出てくださった室長の励ましに救われました! ありがとうございます!)。でも、息子は淡々とテストをこなし、2日は午前・午後、両方合格(やっぱりお尻に火がつかないとだめ?)。見事、3日の大本命、浅野中の合格を手に入れました。
 もし、子どもが(動画など見ず)真面目に勉強してくれたら、もし、合格力判定サピックスオープンで合格可能性80%だったら、もし、2月1日に合格を取ってくれたら、母親としてこんなに安心することはありません。私は最後の最後まで不安ばかりでした。でもこの不安を払拭しようと子どもに何か言うのは、違うと思うのです。不安は不安のまま、それが私の役割なのだと割り切るしかなく、あくまで、子どもの前では、どうしたら学力がつくのか、いまなにをやれば合格につながるのか、中学によって出題傾向は違うので、どこなら戦えそうなのか、一緒に考えていく。母親が一番不安を感じるのに、母親が一番安心を与えなければならない、めちゃくちゃ難しかったです。

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