受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

さぴあ職場見聞録 第38回/道路交通情報機関

 ラジオから流れる渋滞や事故などの道路交通情報を聞いたことがある人もいるでしょう。あの放送は、どこから発信されているのか知っていますか。今回、訪問したのは、そのような情報を伝える役割を担う日本道路交通情報センター(JARTIC)という公益の機関です。どんな仕事をしているのか、業務部の尾崎幸さんにお聞きしました。

道路交通情報を
収集して取りまとめ
さまざまなメディアを
通じて人々に伝える

全国133の拠点から情報を伝える
首都高速センター
大阪センター
名古屋センター
福岡センター

JARTICには日本全国に133か所の拠点があり、53か所のセンターと80か所の駐在に分けられています。センターではラジオやテレビでの道路交通のアナウンスや、電話での問い合わせに対する応答を行っています。一方、駐在の主な仕事は道路交通情報の収集です。

災害時情報提供サービス

JARTICの「道路交通情報Now!!」は、最新の道路交通情報を確認できるウェブサイト。震災や豪雨・豪雪をはじめとする異常気象などによって、道路または道路交通に著しい障害が発生した場合は、「災害時情報提供サービス」に切り替えられます。「災害時情報提供サービス」では、「道路交通情報Now!!」の機能に加え、通行実績情報など、道路を安全に利用するために必要な情報を、正確、迅速かつわかりやすく提供します。

ラジオやテレビでアナウンス

公益財団法人
日本道路交通情報センター
業務部
尾崎 幸 さん

 日本道路交通情報センター(JARTIC)は、ドライバーの安全と利便を図るために、全国の道路交通情報を一元的に収集し、さまざまなメディアを通じて正確・迅速に提供している日本で唯一の機関です。道路交通情報とは、渋滞に関する情報に加え、災害・事故・工事などに伴う規制の情報などを指します。JARTICの設立は1970年。その2年前に土砂災害が原因で起こった飛驒川バス転落事故を機に、道路交通情報を集約して広く知らせる機関の必要性が認識され、警察庁と建設省(当時)の認可で設立されました。

 道路交通情報は、全国にあるセンターから各地のNHKや民間放送局を通じて、ラジオ・テレビの放送で提供しています。そのほか、ウェブサイトでは、5分ごとに更新される最新の道路交通情報を24時間、年中無休で提供しており、ドライバーからのお問い合わせに、電話で直接お答えするサービスも行っています。さらに、法人向けの情報提供サービスもあります。たとえば、放送局やカーナビゲーションなどのメーカー、スマートフォンアプリの開発業者といった民間事業者に、渋滞や道路の規制などの状況をオンラインで提供しています。

 最近では、異常気象や地震による災害が増加しており、そうしたときには家族の安否を確認する人や、避難する人、支援物資を運ぶ人など多くの人がリアルタイムの情報を必要とするので、道路交通情報の重要性が一層高まっています。そのため、JARTICには、さまざまなメディアを通じて、緊急時の需要に合った正確な道路交通情報を迅速に届ける組織になっていくことが、これまで以上に求められています。

多くの人たちと協力して情報を収集

 道路交通情報のアナウンスを行う全国のセンターでは、担当する放送局のエリアに合った情報を収集し、それを指定時間内に収まるように原稿にまとめ、アナウンスする職員が働いています。また、全国80か所にある駐在では、警察署をはじめ、高速道路を管理するNEXCO(ネクスコ)各社や都道府県などの道路管理者から情報を収集する職員が働いています。道路は24時間365日利用されるため、職員はシフトを組み、交代制で勤務しています。

 道路交通情報の収集には多くの人たちとの協力が欠かせないため、コミュニケーション能力が必要です。情報をことばでわかりやすく表現し、筋道立てて説明する力も求められます。

正確・迅速・詳細な情報提供

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全国の交通警察や道路管理者から道路交通情報を収集・情報を一元的に取りまとめて編集・多くのメディアを通じて幅広く道路利用者にリアルタイムで提供

第38回/道路交通情報機関:
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