さぴあ職場見聞録
小学生の皆さんのなかにも、お年玉やお小遣いを銀行に預けている人がいるでしょう。銀行は、人々のお金を預かる以外に、どのような業務をしているのでしょうか。三菱UFJ銀行などを傘下に置く「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)」を訪ね、経営企画部ブランド戦略グループの三浦啓太さんにお聞きしました。
社会の“心臓”となって
お金を“血液”のようにスムーズに流す
上の図は銀行を取り巻くお金の流れを示したものです。わたしたちが銀行に預けたお金は、銀行を通じて会社や別の家庭に貸し出され、血液のように世の中を流れています
銀行の三大業務は「預金」「貸し出し」「為替」
株式会社三菱UFJ
フィナンシャル・グループ
経営企画部
ブランド戦略グループ 調査役
三浦 啓太 さん
小学生の皆さんにとって身近な銀行の業務は、お金を預ける「預金」でしょう。預金をするには、まず「銀行口座」を開くことが必要です。口座を開くと、その口座へのお金の出し入れを記録する「預金通帳」が渡されます。ただし、インターネットを利用する口座の場合、取引の明細はネット上で確認することができるため、通帳はありません。こうして銀行に預金をすると、預けた額と期間に応じて、一定の割合の「利息」がついてお金がふえます。
一方、銀行は、預かったお金を金庫に保管しているわけではありません。新しいお店を開いたり、まだ世の中にない技術を研究・開発したりする資金を必要としている会社や、家や車などを買うためのお金が足りない個人に「貸し出し」をしているのです。銀行では、貸し出したお金は利息と一緒に返してもらうことになっています。この貸し出しにつく利息と預金につく利息を比べると、貸し出しの利息のほうが高くなっており、その差額が銀行の利益の一部になります。
社会にお金を回し、経済の規模を大きくする
以上のように銀行は、預かったお金を貸し出して社会にお金を回し、経済の規模を大きくすることをサポートしています。こうした役割に加え、代金の支払いなどの依頼を受けた銀行が、依頼者の口座のお金を支払い先の口座へ移す「為替」という業務も行っています。たとえば、会社が従業員に給料を支払ったり、個人が電力会社に電気料金を支払ったりするときに為替の仕組みを利用しているのです。ただし、実際に紙幣や硬貨を動かすわけではありません。お金についての電子的なデータが口座間を移動することで、お金が送られたものと見なされます。為替に付随し、日本の円をアメリカのドルなどの外貨(外国の通貨)に交換したり、外貨を円に交換したりする「外国為替」の業務もあります。
銀行では現在、こうした伝統的な業務だけでなく、新しい分野の事業にも取り組んでいます。たとえば、宇宙や食に関する新しい産業に出資する、新しい技術を持ち急成長する企業に出資や融資、他企業の成功事例を紹介してノウハウを提供するなどの支援も行っています。
お客さまのお金を扱う銀行では、ほかの人の立場に立って考える姿勢やコミュニケーション能力が求められます。今後も活躍のフィールドは広がっていくので、興味のあることを突き詰めたり、新しいことにチャレンジしたりできる職場だと思います。
銀行はいくつかの種類に分けられます。全国に支店を持つ「都市銀行」や、地域に密着した「地方銀行」などです。これらのなかでも、特に大規模な都市銀行を「メガバンク」といい、世界中に拠点を展開しているのが特徴です。三菱UFJ銀行はその代表ともいわれる日本最大の銀行です。関連会社には信託銀行、証券会社、クレジットカード会社、リース会社などがあり、それらと「MUFG」というグループを作って50か国以上に2100か所以上の拠点を展開し、国内外の顧客に総合的な金融サービスを提供しています。
「サステナブルな社会」とは、世界中のみんなが気持ちよく暮らせること、そして、それを自分たちの子どもやその先の時代でも続けていくことです。MUFGでは、ガソリンを使わない、環境に優しいバスを走らせたり、太陽の光から電気を起こしたり、木を植えたりするなど、さまざまなことに取り組んでいます。
MUFGでは、お金や銀行がどのようなものかを知ってもらうために、小・中・高校生に向けて、「職場体験学習」や学校への「出前授業」を通じて「金融経済教育活動」を行っています。
- 第37回/銀行:
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