受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

さぴあ職場見聞録 第32回/国立国会図書館

 皆さんのなかには、学校や地域の図書館を利用する人も多いことでしょう。そうした身近な図書館と違い、国内で発行されるすべての出版物を集めて保管しているのが、「国立国会図書館」です。その役割などについて、同館の広報を担当する田仲絢子さんにお聞きしました。(写真提供=国立国会図書館)

いろいろな資料を収集・整理・保存して
国会や国民の調べものを手伝う

❶❷東京本館の本館ホール。カウンターには「真理がわれらを自由にする」という国立国会図書館の設立理念が刻まれています。これは、国立国会図書館法の前文にあることばです 東京都千代田区永田町にある東京本館は、1968(昭和43)年に本館が完成しました 1986(昭和61)年に完成した新館の書庫。本館と新館を合わせた床面積は約14.8万m²で、サッカーのピッチが20個も入る広さです

約4622万点の蔵書を保管

国立国会図書館
総務部総務課 広報係長
田仲 絢子 さん

 国立国会図書館は、国会に属する日本で唯一の国立の図書館です。国立国会図書館法という法律に基づき、1948(昭和23)年に設立されました。蔵書の数は約4622万点(2021年度現在)。そのうち図書は約1193万点、新聞・雑誌は約1994万点、地図は約59万点あり、2021年度は1年間で、図書が約19万点、新聞・雑誌が約47万点増えました。最近では、DVDやCD-ROMなどに記録された電子出版物も増えています。

 収集した資料は「東京本館」「関西館」「国際子ども図書館」に分けて保管されています。そのうち東京本館は、担当している資料の種類によっていくつかの部屋に分けられています。たとえば、160年くらい前から現在までの日本の政治についての資料がある「憲政資料室」、江戸時代より前の本や巻物などが保管されている「古典籍資料室」のほか、「地図室」「音楽・映像資料室」などがあります。一方、関西館には、「総合閲覧室」や、アジアの国・地域の本や雑誌・新聞などを集めた「アジア情報室」という部屋があります。なお、1年間の来館者数は、合わせて約38万人です(2021年度)。

国会議員をサポートする部署も

 国立国会図書館の役割は、「国会の活動の補佐」「収集・整理・保存」「利用者への資料や情報の提供」「他の図書館などとの協力」の四つに大きく分けられます。

 「国会の活動の補佐」は、国立国会図書館ならではの仕事です。国会議員や国会関係者からの依頼に応じて調査を行い、国会の法律作りをサポートする部署があります。調査の対象は、政治・経済・社会など幅広い分野に及び、処理件数は年間約3万件です(2021年度)。多くの職員が自分の担当分野の調査に日々励んでいます。

 「収集・整理・保存」では、国内で発行されるすべての出版物を集め、それらを整理して大切に保存しています。さらに、外国の資料もたくさん集めています。それらを利用して、国会が法律を作るときに行う調べものや、人々が資料や情報を探す手助けをしているのです。

 ほかにも、国立国会図書館の仕事は多岐にわたるため、有識者を招いて行う勉強会や、国内外の大学・大学院で研究ができる制度など、職員のための研修制度も充実しています。

 このように国立国会図書館の仕事は、多様な分野の知識を生かせる可能性があります。小学生の皆さんには、さまざまなことに興味を持って、自分の学びたい分野を見つけてほしいと思います。

納本 ・修理・デジタル化

納本

日本では、出版社などが図書や雑誌を発行したら国立国会図書館に納めることが、法律で決められています。これを「納本制度」といいます。集めた資料はきちんと分類し、目録を作成した後、書庫に収蔵します。破損した資料を修理する、本の病院のような係もあります

資料の保存とアクセスのしやすさを目的に、所蔵している資料のデジタル化を進めています。デジタル化された資料は、同館ホームページの「国立国会図書館デジタルコレクション」で見ることができ、右にある『古代江戸絵集』も、その一つです。これは珍しい資料で、よく見ると猫の足跡が付いているのが分かります

sappy

修理

デジタル化

『古代江戸絵集』 『古代江戸絵集』

書庫には大切な資料がたくさん

 東京本館では、本館書庫は建物の中央に、新館書庫は建物の地下に、それぞれあるのが特徴です。大切な資料の保管場所である書庫は、資料が傷むのを防ぐために、温度22度、湿度55%を目安とした環境を保っています。資料の大部分は書庫に収められていて、利用者が書庫に入ることはできません。そのため、資料を利用するには館内のパソコンなどで申し込むことが必要です。資料の閲覧は館内のみで、外部への持ち出しはできません。

第32回/国立国会図書館:
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