さぴあ職場見聞録
配送ロボットの「デリロ」
日本全国にはおよそ2万4000局もの郵便局があります。これは日本の小学校の約2万校を大きく超える数。そんな郵便局を運営しているのが、日本郵便という会社です。東京都千代田区にあるその本社を訪ね、同社が手掛ける事業や社会における役割について、郵便・物流業務統括部の古閑圭一さんにお聞きしました。
全国に広がる郵便局ネットワークを通じて
多くの人々の生活を支える
本社の社員食堂にはたくさんの切手で描かれた日本地図が貼られていました
配送にドローンやロボットを導入する実証実験も行っています
本社には旧型ポストや配達用のバイクなどの展示コーナーも。ちなみに日本郵便では、約8万台のバイク、約3万台の軽四輪車両、約3000台の小型トラックが働いています。二酸化炭素の排出量削減のため、それらの電動化も進めています
長い歴史を持つ日本の郵便事業
日本郵便株式会社
郵便・物流業務統括部
部長
古閑 圭一 さん
日本郵便は郵便事業と郵便局の運営を行っている会社です。日本の郵便事業が始まったのは、ほぼ150年前の1871(明治4)年。現在までの長い間、わたしたちは全国にある郵便局のネットワークを通じて、各地域のお客さまに手紙やはがきを届けてきました。
郵便局では「郵便」「貯金」「保険」の三つのサービスを、それぞれの窓口で提供しています。このうち、郵便の窓口では主に切手・はがきの販売や、郵便物・荷物の引き受けを行っています。郵便物にはさまざまな種類がありますが、全国で「信書」を取り扱っているのは日本郵便だけです。「信書」とは、特定の受取人に対して、差出人の意思を示したり、事実を通知したりする文書のこと。手紙やはがきのほか、契約書や請求書といったビジネス文書、受験で使う願書なども、これに当たります。日本郵便はそれだけ公共性の高いサービスを担っているのです。
●郵便物が届くまで
- ❶郵便物をポストに投函。ポストは日本全国に約18万本あり、手紙・はがき以外に、小包を投函できるものもあります
- ❷ポストから回収された郵便物は、全国に60か所ほどある「地域区分局」という地域の大型郵便局に集められます
- ❸集まった郵便物は自動押印機へ。切手の有無や料金を検知し、向きをそろえて「消印」を押します
- ★書状区分機を通った郵便物には、ブラックライトを当てると見えるバーコードが印刷されます。これは届け先付近の郵便局で読み取られ、スムーズな配達に役立てられます
- ❹書状区分機では、郵便物に書かれた郵便番号や住所を読み取って、届け先ごとに自動で仕分けます
- ❹書状区分機では、郵便物に書かれた郵便番号や住所を読み取って、届け先ごとに自動で仕分けます
- ★書状区分機を通った郵便物には、ブラックライトを当てると見えるバーコードが印刷されます。これは届け先付近の郵便局で読み取られ、スムーズな配達に役立てられます
- ❺機械で分けられた郵便物は、トラックや船・鉄道・飛行機などで、届け先付近の地域区分局へと運ばれます
- ❻届け先付近の地域区分局に到着した郵便物は、再び書状区分機へ。バーコードなどから住所情報を読み取り、配達する順番に並べます
- ❼最後は人が番地や号、ビル名といった細かいところまで見て郵便物を分け、配達する順番に並べて配達ルートを組み立てます
- ❽バイクや自転車で届け先に配達。1年間に配達する郵便物は、なんと約200億通。1日当たり約5500万通を届けている計算になります
本社ではより良いサービスを企画
日本郵便の本社ではさまざまな部署が連携し、お客さまにとって郵便局がより便利になるように考え、それを実行しています。たとえば、わたしが所属する部署では、お客さまの大切な郵便物を、より迅速・確実にお届けするための取り扱い方法を定めています。また、郵便局の営業方針を考えたり、新しい商品やサービスを開発したりする部署もあります。さらに、さまざまなデザインの切手を発行していますから、それらをデザインする人も働いています。
最近では、新型コロナウイルス感染症の影響により、郵便事業にも非対面・非接触が求められるようになりました。EメールやLNEなど新たなコミュニケーションツールも普及しています。こうした世の中の変化に合わせて、郵便事業も新しく変えていく必要があり、幅広い世代・地域のお客さまのために日々取り組んでいます。少子化・過疎化などによる人手不足の問題を解消するために、ドローンやロボットを使って配送を無人化したり、A(人工知能)を使って配達ルートを作成したりと、新しい方法の実証実験も始まっています。
世の中は次々に変化していきますが、いつの時代においても、自分の気持ちを手紙に書いて相手に伝えるのは、とてもすてきなことです。そして、それを受け取ったときのうれしさも、手紙とともにずっと心に残るものだと思います。小学生の皆さんはこれを機会に、大切な人へ手紙を書いてみてください。
- 第30回/日本郵便:
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