受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く


アントレプレナーシップを磨く
「国際教養コース」を来年度新設

広野 中学の「総合知」で学びの基礎を固めた後は、そのスキルをどのように発展させていくのでしょうか。

西川 徐々に探究活動に力を入れていきます。たとえば中3では、自分の研究テーマに沿って三つのクラスに分かれます。自由なテーマで探究を行いたい生徒は「マイチャレンジプログラム」へ、英語をツールとして活躍したい生徒は「英語チャレンジプログラム」へ、自然科学に興味のある生徒は「科学研究チャレンジプログラム」へ進む、といった具合です。どれを選択しても履修する授業は同じですが、校外学習の行き先や放課後活動の内容が異なります。具体的には、マイチャレンジプログラムは京都・奈良へ、英語チャレンジプログラムは沖縄インターナショナルスクール、もしくはイギリス語学研修の選択制、科学研究チャレンジプログラムは屋久島・種子島を訪れ、フィールドワークを通じてそれぞれの知見を深めます。

イメージ02外国人の講師を招き、ビジネススキルの基本に触れる、アントレプレナーシップ講座(高1・2希望者対象)を開講

中田 高校に進学する際には「リベラルアーツコース」「サイエンスコース」、新たな「国際教養コース」のいずれかを選択します。国際教養コースの大きな特色は、英語でアントレプレナーシップ(起業家精神)やアカデミックスキル、セルフブランディングの手法を学んでいくところにあります。つまり、英語を使って「自分は何者で、他者や社会のために何ができるのか」を明確にするということです。そのためには、学力以外の強みを見つける必要があるので、プレゼンテーション大会やビジネスコンテストに積極的にチャレンジし、自分の取り組みが社会からどう評価されるのかを認識できる機会をたくさん提供したいと思っています。こうした経験は、国内大学の総合型選抜入試でも、海外大学受験でも、大きなアピールポイントになるはずです。

広野 それは画期的な試みですね。一方、サイエンスコースではどのような取り組みを行っているのですか。

中田 放課後に研究プログラムを設け、個人の興味・関心に基づいた本格的な研究活動を行っています。大学生のOGが後輩を指導したり、そこに大学の先生も加わったりと、大学の研究室の縮小版のような形をめざしています。

松本 たとえば、野球が好きだからという理由で、東京六大学野球連盟に加盟するすべての大学のグラウンドに足を運び、その反発係数から地面の固さを調べ、選手のけがのリスクを分析するという研究を行っている生徒がいます。その活動に、野球連盟の事務局長が興味を持ってくださったのがきっかけとなり、特別に明治神宮野球場で実験をさせてもらうことができました。地道な活動が、思わぬところで次のステップにつながり、生徒は大きく成長することができました。

 また、AR(拡張現実)技術を研究している生徒は、栃木県日光市の町おこしの一環として、AR技術と銀行決済機能を掛け合わせたアプリを考案しました。その生徒は国土交通省のDX会議にも呼ばれ、起業する一歩手前まできています。

 これらの実績は、一朝一夕に成し遂げられるものではなく、中学の間からこつこつと努力を積み重ねてきたからこそできたことです。今後も、生徒の持つ志を大切にしながら、彼女たちのとがった才能を開花させていきたいですね。

高大連携の取り組みを体系化し
それぞれの探究活動に生かす

イメージ03左から中学教頭補佐の松本健一郎先生、校長の西川史子先生、サピックス小学部の広野雅明先生、教務部長・高校教頭補佐の中田成昭先生

広野 高大連携プログラムにも熱心に取り組んでいらっしゃいますね。

西川 現在、芝浦工業大学、東京農業大学、北里大学などの5大学と協定を結び、中高生が大学の研究室で研究を行うインターンシッププログラムのほか、大学の講義や実験・実習体験、出張講義などを開いてもらっています。

松本 高大連携で大切にしたいと考えているのは、生徒が今持っている知識で、「世界が直面する社会課題をどうにか解決できないか」と模索する機会を提供することです。「もしかしたら、自分も貢献できるかもしれない」という気持ちを育てることが、学びのモチベーションに直結するからです。

中田 今後は、さらに大学との教育連携を広げ、文系・理系を問わず、すべての生徒に受講してほしい学びを「ジェネラルプログラム」、研究者やエンジニアといった理系専門職をめざす生徒を対象とした発展的な学びを「エキスパートプログラム」と置き、生徒一人ひとりの探究テーマに役立てられるよう体系的に整備したいと考えています。わたしたちも大学の学びにスムーズに接続できるような授業を心がけていますし、大学側も志の強い学生を育てたいというニーズがあるので、お互いに将来的なビジョンを共有しながら、今後もさらにその内容を充実させていきたいですね。

イメージ04高大連携協定を結んだ東京農業大学で実施された「大学の学び」体験会。中2から高2の希望者と保護者が参加しました

広野 今学んでいることが大学の学問にどうつながっていくのかがわかると、将来設計も立てやすくなりますし、より効果的な課題解決が実現できそうですね。最後に、受験生とその保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

松本 皆さんにお願いしたいのは、小学生の段階の得意・不得意で、将来の方向性を決めないでほしいということです。本校では、自分の殻や限界を破るためのさまざまな仕掛けを用意しています。自分の可能性を信じ、何事にも果敢にチャレンジする姿勢を持って入学してほしいと思います。

中田 皆さんには、「やると決めたこと」「やりたいと思ったこと」をとことん追求してほしいと思っています。本校には生徒一人ひとりの可能性を伸ばすための最適な環境があります。皆さんと一緒に学べる日を楽しみにしています。

西川 本校には中高合わせて約1600人の生徒がいます。つまり、「1600とおりの志」があるということです。そして、それを最大限に伸ばすのが、わたしたちの使命だと考えています。皆さんのなかには、どんな志の種が眠っているでしょうか。本校の多彩な探究活動やプログラムのなかで、ぜひその種を芽吹かせてほしいと思います。皆さんの可能性は無限大です。本校での学びが、まだ見ぬ才能の開花に寄与できるよう、さまざまなチャンスを用意してお待ちしています。

外観写真1
山脇学園中学校・高等学校

所在地
〒107-8371 東京都港区赤坂4-10-36
東京メトロ「赤坂見附」駅から徒歩5分、東京メトロ「青山一丁目」「赤坂」駅から徒歩7分、東京メトロ「永田町」駅から徒歩10分

TEL 03-3585-3911

H P www.yamawaki.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

《各種行事日程のお知らせ》

オープンキャンパス(要予約)
08月24日(土)

入試対策説明会&自由見学(要予約)※6年生対象
10月05日(土)、11月09日(土)
12月14日(土)、01月11日(土)

学校説明会&自由見学(要予約)※5年生以下対象
11月09日(土)、12月14日(土)、01月11日(土)

山脇祭(文化祭)
09月14日(土)、15日(日)

変更・中止の可能性もあります。必ず学校ホームページでご確認ください。

24年8月号 この人に聞く
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