さぴあインタビュー/全国版
「普く通ずる学び」を軸に
努力を重ねる日々が
未来に羽ばたく力を育む
慶應義塾普通部 部長 森上 和哲 先生
こつこつがんばる仕組みのなかで
着実に身についていく力がある
広野 幼稚舎からの進学者と中学受験で入る生徒との違いについてお話がありました。そのあたりは保護者の方が心配されるところかと思います。人数はどのような割合になりますか。
森上 幼稚舎からの進学者は、1学年240人のうち60~80人です。彼らは友だちづくりが得意で、初めての相手にも物おじせずに声を掛けますから、3日もすれば友だちになっています。心配される方もいますが、1年生は24人学級で名前もすぐ覚えられますし、気がついたら隣のクラスの生徒とも友だちになっていると思います。
髙宮 中学入試について伺います。入試問題のなかに受験生に対するメッセージが込められているとすれば、どのようなことですか。
森上 理科に関しては、たとえば問題に台所や風呂場の話題が出てくることがあります。日ごろから家庭で両親の手伝いをしているかどうかは、そういう問題を解かせればわかります。キャンプの話題を出せば、屋外での楽しい経験を大事にしているかどうかがわかりますし、そういうご家庭であってほしいという思いはあります。
広野 新型コロナの影響で、多くの学校が面接を中止しましたが、普通部は面接も実技試験も守り抜きました。それだけ重視されているということでしょうか。
森上 やはり座学だけで人は測れない、ペーパーテストだけで見る学校ではない、というのが昔からの慶應のカルチャーです。ペーパーテストが満点であっても、「人となりを見たい」という思いはあります。実技に関しては、特別に運動ができなくてもいいのです。ただ教科の教員は、一度は受験生を見たいと思っています。受験生もそういう学校なのだと感じて来ていただければと思います。
髙宮 先生の指示したことがまるでできないようでは入学してから困る、ということですね。
森上 普通にやり取りができればいいのです。準備は必要ありません。
髙宮 最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。
森上 イチロー選手も大谷選手もそうですが、成果を出す人は見えないところでこつこつとがんばっています。普通部はそれをやる学校だと思っています。独りでこつこつがんばるのは、中学生には難しいことですから、わたしたちはそのための仕組みとして、たとえば理科のレポートや国語の作文を課したり、労作展に作品を出させたりしています。最初は大変でしょう。でも繰り返し取り組んでいくなかで、調べる力やまとめる力、コミュニケーション力、タイムマネジメント力、さらには自分を振り返る力も身についてきます。こつこつやらざるを得ない仕組みのなかで、気づいたら驚くほど力がついていると思います。そういう学校だということをわかって来ていただきですね。
「普通部」の「普通」は「普く通ずる」という意味です。入学したらすべての教科・科目をきちんと修めていただきます。そうすれば、そこから先は、受験勉強とは違う、好きなことをどんどん伸ばすことができます。普通部に入れば、いろいろな友だちと知り合うなかで、好きなことが見つかると思います。時間はたくさんあるので、それを“深堀り”してほしいと思います。
髙宮 大学受験がないから楽ができる、と思って来てもらっては困りますね。でも、やるべきことをやれば、好きなことを見つけて深く追究する時間も、そのための環境も十分に備わっているということですね。本日はありがとうございました。
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