さぴあインタビュー/全国版
挑戦する心を駆り立てる
多彩な教育プログラムを通して
みずから道を開く力を養う
市川中学校・高等学校 校長 及川 秀二 先生
ティーチングからコーチングへ
好調な進学実績を支える指導体制
神田 大学進学実績について、2018年と2022年のデータを比べて見させていただきましたが、その伸び率に驚きました。現役の合格者が166.7%。国公立大学の医学部医学科の合格者は4年前の213%と2倍以上に増えています。私立大学の医学部医学科にいたっては244%と、すばらしいですね。
及川 生徒一人ひとりが、自分たちの中で学ぶ理由が腑に落ちたのだと思います。
玉井 海外大学への進学も増えていると思いますが、主に帰国生なのでしょうか。
及川 多くは帰国生ですが、一般の生徒も増えています。毎年、海外大学への進学説明会を行っていますし、海外での学びを身近に感じさせるような研修がいくつもあるので、影響を受ける場面は多いと思います。学校としてもできるだけ後押しできるよう、サポート体制を充実させています。
国内の大学でも海外の大学でも、目的がはっきりしていることが大事です。6年間かけてしっかり自分で進路を考えさせ、あとはわたしたちがコーチングをしていくという流れができてきたと思います。
以前はどれだけ生徒たちに教え込むか、つまり「ティーチング」を意識していました。生徒が少しでも集まれば、小論文のゼミをやろう、数学のこの単元のゼミをやろう、などと一生懸命にやっていました。でもゼミが終わったとき、生徒の「先生、次は何をすればいいですか」という問いかけを聞いて、気づきました。もうティーチングはやめよう、これからは「コーチング」だ、と。そこで、教員全員で話し合って、「前に出て引っ張るのではなく、一歩下がって後押しをする方向に変えよう。その代わり生徒のそばに居続けよう」と決めました。
校内には随所に自習スペースがあり、ほぼ一年中開けています。開ける限りは必ず教員がいて、生徒が何か聞いて来たり、泣きが入ったりしたらサポートします。そういうコーチングを意識するスタイルが浸透してきて、少しずつですが進学実績も伸びてきました。
玉井 それも自分自身で学ぶという「第三教育」に通じることですね。では最後に、中学受験をめざしてがんばっている小学生と保護者の方に、メッセージをお願いします。
及川 たとえば、算数が得意だからといって、将来は理系に進むとは限りません。文系志望で数学ができれば、それを生かしておもしろい学びができるかもしれません。ですから、好きなことを一生懸命突き詰めるのもいいのですが、好き嫌いなく、どの教科もきちんと取り組んでほしいと思います。中学・高校では、どの教科の学力も必ず求められてきますから、どの教科もあきらめないでください。そうやってスタートラインに立ち、中学校に入っていろいろな学びを体験しながら、新しい自分を発見していけばいいと思います。
保護者の方には、お子さんを信じていただきたいですね。子どもは子どもなりに自分の将来は考えていると思いますから、まずお子さんの気持ちを大事にして、学校を選んでいただきたいと思います。
神田 つい成績だけを見て小言を言いたくなってしまいますが、お子さんを信じて、励ましてあげることが大事ですね。本日はありがとうございました。
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