そこが知りたい!
生活のリズムを守って体調を整え
親子で一緒に学習プランを考えよう
暑い夏の間で心配なのは、「夏バテ」と「中だるみ」でしょう。学校が休みの期間に、夜遅くまで机に向かい、翌朝遅くまで寝てしまっては、生活のリズムだけではなく、体調も崩す恐れがあります。ふだんどおりの規則正しい生活を送るよう心がけてください。
また、貴重な時間を有効に使うためには、夏休みに入る前に親子で一緒に状況を把握し、長期・短期両方のスケジュールを作るとよいでしょう。まずは「やるべきこと」の優先順位を決めて、夏休み全体の学習計画を考えます。そして、「サピックスのある日」と「サピックスのない日」のそれぞれについて、一日のタイムスケジュールを決めます。その際は、サピックスのホームページにある「マイページ」から、『夏休み学習スケジュール表』をダウンロードしてご活用ください。
桜蔭中に進学したMさんは、「6年生の夏期講習で毎日サピックスに通うようになり、その日に学んだ内容が翌日のテストに出るサイクルが始まったので、勉強の工夫や計画性が求められるようになりました」と話します。
筑波大学附属中に進学したRさんのお母さんは、こう振り返ります。「学習量が増えて家庭学習ですべてこなすのが難しくなりましたが、保護者会で得た情報や塾の先生のアドバイス、娘の意見を取り入れ、優先順位をつけて進めることにしました」
また、体調を整えて、授業に集中するためには、朝は決まった時間に起き、計画に沿って家庭学習を行い、夜は早めに寝るという生活のリズムを守ることも大切です。
●夏休みの過ごし方についての、保護者からのアドバイス
◆ サピックスの先生の指示は的確です。優先順位をつけて取り組んでください。
◆ いちばん大事な授業に集中するためにも、体調管理は大切です。
◆ 復習はその日のうちか翌日までに終わらせるのが良いと思います。
◆ 午前中の時間を有効に使い、規則正しい生活を。
◆ 適度な息抜き、気分転換も必要です。
◆ 夏休みが始まる前に、計画・スケジュールを考えましょう。
◆ 睡眠時間の確保と健康管理が大切です。
◆ 基礎固めと、学習のペースの確立は、SS特訓に生かされます。
適度な息抜きでリフレッシュ
めりはりをつけて学習
スケジュール作りで注意したいのは、予定を細かく決め過ぎないことです。「苦手科目を克服する」という目標を定めたとしても、やることを詰め込み過ぎて余裕のないプランでは、計画どおりに進まなかった場合に修正できなくなってしまいます。その日のうちに「やるべきこと」をすべて消化できなくても、翌日、または次の週が始まるまでに遅れが取り戻せるよう、「予備の時間」を設けるのがポイントです。夏期講習がないお盆の期間に、それまでの進み具合をチェックして、プランを再調整するのも一つの方法です。
また、やるべきことが予定よりも早く終わったときに、「時間があるから、これもやらせよう」と、安易に学習量を増やそうとすることは、あまりお勧めできません。がんばって学習を終わらせたのに、空いた時間まで奪ってしまうと、お子さんが学習への前向きさを失ってしまう場合があります。そのため、様子を見ながら時には好きなことをさせてリフレッシュを促すのもいいかもしれません。勉強以外のことをすべて排除せず生活にめりはりをつけるようにすることは、長い夏休みを過ごすうえで重要です。
筑波大学附属駒場中に進学したSさんのお母さんは、「6年生になって勉強時間が長くなるなかでも、ストレスをためずに勉強に集中できるよう、動画視聴やゲームを禁止にすることはせず、ルールを決めてOKにしていました。また、勉強の合間のちょっとした休憩時間には好きな音楽を聴いてリフレッシュできるようにしていました」と話します。
渋谷教育学園幕張中に進学したHさんのお母さんも、「やることさえ終われば動画視聴や漫画も特に制限はしませんでした。テストの結果が良かったときは思い切り褒めて一緒に喜び、悪かったときも前向きな気持ちになれるような声掛けをするようにしていました」と言います。
6年生のお子さんをお持ちのご家庭で、この夏を最大限有意義なものにするために大切なのは、お子さんの心と体の様子をよく見ながら、健康管理に気をつけ、日々の生活に適度なめりはりをつけて効率よく学習できる環境を整えてあげることです。親子それぞれにとって、悔いのない夏にしましょう。
夏休み中も目の前の授業を大切にする
その習慣と意識が秋以降に活きる
6年生の夏期講習では、それまでに学んだ基礎の総復習と、さまざまなタイプの問題演習を行います。それに続く夏期集中志望校錬成特訓では、本格的な志望校対策がスタートします。これは、入試を意識した実戦的な問題に触れることにより、9月以降に始まる難関校SS特訓につながっていくものです。夏期講習は18日間、夏期集中志望校錬成特訓は5日間なので、合計23日間の日程となります。
毎年、「夏休みは長いと思っていたけれど、終わってみるとあっという間だった」という声をよく聞きます。夏休みは、確かに長いのですが、「長いからあれもこれも」と詰め込み過ぎると、「やりたかったことが終わらなかった」「思うように進まなかった」となるケースもあります。ある程度は詰め込み気味に目標を立てても良いのですが、優先順位をつけて、「ここまではしっかり理解しよう」という着実な取り組み方が望ましいと考えます。
「夏休み期間を利用して弱点を補強しよう」といった目標を立てることも間違いではないのですが、夏休みだから特別なことをするというよりも、講習中も、目の前の一日一日の授業を大切にしてほしいと思います。
授業で学んだことの確認の小テストは、その教科の次回の授業日に行うため、それまでに消化しないと小テストで良い結果が残せません。授業を優先して取り組むこのサイクルのなかでは、「いつもと違うこと」に充てる時間はないというのが現実といえるでしょう。授業や基礎固めを後回しにして、「いつもと違うこと」に固執し過ぎないようにしてください。
授業中に理解できた内容が多いほど、家で知識を定着させるために使う時間と労力を減らせるので、授業の内容をうまく消化できたときや、授業のない日は、プラスアルファの学習に時間を使うことができます。その意味でも、「授業のなかで消化する」「理解して帰る」という習慣は大切です。こうして身につけた力は、9月以降の学習にも必ず活かされます。
保護者の方は、夏休み中の23日間、ペースを維持し、がんばって塾に通い学力をつけようとするお子さんをまずは褒めてあげてください。次の日に向けてがんばるサイクルをつくり、前向きに取り組むその姿勢を応援し、見守ってあげることが、この夏を乗り切るうえで重要だと思います。
教務本部 原田 正倫
- 25年8月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.3:
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