受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

そこが知りたい!

先輩保護者の体験から学ぶ入試までのサポート 入試直前の大事な時期をどのように乗り越えたのか

生活面 何より大切なのは体調管理
睡眠時間はしっかり確保

 入試本番が近づいてくると、つい無理をしてしまいがちですが、計画どおりに学習を進めるためにも、体調管理に注意を払うことが何よりも大切です。まず必要なのが睡眠。頭と体の疲れをしっかり取るよう心がけましょう。

 「偏差値よりも心身の健康こそ重要と考え、生活習慣には気を配りました。8時間睡眠は最後まで死守しました。コロナ禍で外遊びは不足しがちでしたが、最後の冬期講習ごろから朝5時に起きて、父子で近所の公園で遊んだ時間は、親のわたしにとっても良い思い出です」(武蔵中)

 睡眠不足になると疲れがたまり、体調を崩しやすくなるだけでなく、集中力も低下します。学習効果を高めるためにも、睡眠時間は十分に確保しましょう。また、特に気をつけたいのが、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症です。できる限りの対策をしましょう。

 さらに、ウイルス性胃腸炎などにも注意が必要です。家族みんなで手洗い・消毒を励行しましょう。インフルエンザなどの予防接種を受ける場合は、早めに済ませておくと安心です。

規則正しい生活を送り
時には息抜きも必要

 本番が近づいてきても、できるだけそれまでのペースを守り、規則正しい生活を送ることが大切です。多くのご家庭では、学習のなかに息抜きを上手に組み込んで、お子さんがリラックスできる時間を作っていました。

 「『心・技・体』を意識し、試験に臨みました。まず心。毎日、ノートに『慶應合格』と書き出して目標を再確認。天井に貼った志望校の写真を見て寝ました。次に技。1月10日の栄東中、1月20日の市川中と一定間隔で入試を経験し、緊張感を維持するようにしました。また、ゲームと音楽はリフレッシュに活用しました。最後に体。受験も体力が必要です。サピックスからの帰路は、友人と片道1.7kmの道を走りました。また、毎日の勉強時間を書き出し、塾での時間の10分の1、自宅学習の時間の3分の1は自由時間とし、『自由時間貯金』をためていきました」(慶應義塾中等部)

 気分転換になればと、時間を決めて、ゲームや趣味などを認めていた保護者の方も多いようです。この場合に気をつけなくてはならないのは、時間を区切って、学習と休息のめりはりをきちんとつけることです。

その他 受験は「結果」だけではなく
さまざまな収穫にも目を向けて

 この時期に特に大切なのは、お子さんがこれまで積み重ねてきた努力を信じてあげることです。お子さんの力は入試当日まで伸びます。保護者の方が先にあきらめてしまってはいけません。お子さんが本番で力を発揮できるようにサポートしてください。

 入試が始まってから、たとえ不合格になった学校があったとしても、そこから十分に挽回できます。「満足な結果が得られなかったことで、逆に気合が入った」という声もありました。

 「1月校は不合格。得意の算数での失敗が全体の足を引っ張ったことを反省し、そこから4教科ともにしっかりと取り組みました。苦手意識のあった国語は毎日のように駒場東邦中の対策プリントの記述を解き直し、質問教室にも通いました。それまで息子は質問教室に行くのを躊躇していましたが、記述力を上げるために利用することを本人に強く勧めたのです。慣れてくると自然と行くようになり、記述力がついてきたのを感じました。理科・社会も基本的にはSS特訓・冬期講習・正月特訓の志望校対策プリントの解き直しに取り組むと、毎日続けることで確実に力がつき、調子が上がりました。ピークを2月の本命校に合わせ、合格することができました」(駒場東邦中)

 直前期のラストスパートで、一気に集中力を高めて躍進することもあります。この段階では本人を信じて見守る姿勢が大切です。

 「突然、息子がやる気を出したのは1月受験の翌日。1月校で満足のいく闘いができた経験が自信につながり、2月の大勝負と向き合う勇気が湧いたのでしょう。最後の3週間は鬼気迫るほどの集中力でした。わたしは呆気にとられつつ、ネガティブなことばを封印して、彼のがんばりをただ肯定することだけを心がけました」(麻布中)

 入試の結果はもちろん大事ですが、受験から得られるものは、「結果」だけではありません。さまざまな収穫が得られたという意見も多く寄せられました。

 「息子は、先生方のほんの少し毒舌調で軽快なおもしろい授業が大好きで、塾から帰ると先生のモノマネを交えながら、その日の授業の話をしてくれました。サピックスで楽しいお友だちと同じ目標に向かって一緒にがんばった経験は、息子にとって宝物になりました」(慶應義塾普通部)

 「入試本番前日、応援動画を何度も見て、気持ちを落ち着かせている息子に『サピックス、楽しかった?』と聞きました。迷わず『うん』と即答でした。個性的で魅力的な先生方の授業に引き込まれ、同じ目標を持ったお友だちと切磋琢磨しながら過ごした時間は、息子にとって忘れることのできない大切な財産になったのだと思います」(早稲田中)

 「進路は初志とは違ったものとなりました。ただ、最終的にはみずからの努力で得た合格のなかから、望む道を選択することができました。最善を尽くし、その結果を受け入れ、将来の選択をすることを、受験を通して経験できました。これは人生の財産になると思います」(広尾学園中)

 中学受験は、お子さんの人生において、夢や目標を実現するうえでの一つの通過点です。「みずから学ぶ姿勢が身についた」「周囲で支えてくれる人たちへの感謝の気持ちが湧いてきた」という本人の声もあります。合格以外にも得られるものは大きいのだと、受験生活を大きな視点でとらえることも、サポートするうえで必要になるのではないでしょうか。

 すべての保護者の方に、この中学受験が「実り多きものだった」と振り返っていただけるよう、サピックスでは入試までの残りの日々を全力でサポートしていきます。

23年12月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.5:
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