受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

そこが知りたい!

合格までの最後の10か月を完全解説サピックスは「受験学年」をこう指導する

 サピックスでは2月から新学年での学習が始まりました。新6年生はいよいよ「受験学年」となります。「6年生の学習は、これまでとどう違うのだろう?」と不安を抱えている保護者の方もいらっしゃることでしょう。そこで、シリーズ企画「そこが知りたい」の1回目となる今回は、小学部事業本部長の溝端宏光先生に、6年生の学習プログラムに取り組むうえで大切なことや、ご家庭でのバックアップ方法などについて聞きました。6年生の保護者の方はもちろん、5年生以下のお子さんを持つ保護者の方も、ぜひご一読ください。

6年生の授業でめざすこと 内容を消化しながら学習しよう
授業で学んだことを大切に

 6年生は、受験学年としての「総まとめ」の時期に入ります。6年生でまず重要になるのは、「基礎力を固め、さらに充実させる」こと。5年生までに学んだ基本的な内容を徹底的に復習し直すのはもちろん、同じ問題をこれまでとは違う角度から見て対応できるようにしたり、新たな知識をつけて理解の幅を広げたりしながら、“基礎の再構築”をめざします。

 「6年生の前半は、お子さんにとってはまだ新規単元を学習している感覚だと思います。実際に新たな単元を学習していくこともある一方、“復習”となる単元でも、4・5年生では扱わなかった考え方が出てくることもあるからです。学習方法を変える必要はありませんが、一つひとつの内容が高度になっていくため、きちんと内容を消化しながら学習を進められているかどうかが重要になります」と溝端先生は話します。そのポイントは、「『授業』で学んだことを大切にすること」。教材の解説に書いてある内容だけではなく、授業中に先生が話した内容も復習することが大切で、優秀な生徒は必ずしていると言います。

6年生から始まる新しい授業 週1回は“土特”を実施
学校名が付いたコースに分かれる

イメージ写真

 6年生になると、授業の時間割も大幅に変わります。5年生で週3回行われていた平常授業は、火曜日と木曜日の2回に。その一方で、新たに「土曜志望校別特訓」が始まります。

 通称“土特”と呼ばれている「土曜志望校別特訓」は、毎週土曜日に各教科75分ずつ、4コマ(計5時間)を使って行う演習形式の授業です。学校名が付いたコースごとに、場合によっては男女に分かれ、平常授業とは異なるクラス編成で実施します。それまで同じ教室で授業を受けていた子どもたちにとっては、志望校別に分かれたコースで受ける初めての授業です。これにより、子どもたちは受験生としての自覚を持ち、志望校を意識した学習ペースを確立させていきます。

春から7月まで 志望校対策は最後の味付け
その前に基礎学力(素材)をじっくり煮込む

 5月初めの休日・祝日には「志望校別GS(ゴールデンウィーク・サピックス)特訓」が開講されます。この特訓の目的は、子どもたちに受験に対する意識を高め、必要な準備を始めてもらうこと。過去問を題材とした実戦演習を行い、志望校の出題の特徴や傾向、レベルなどをつかんでもらいます。

 記述式の問題をたくさん出題する学校、大部分は選択式であるものの難問が多い学校など、各校の入試問題には特徴があります。出題傾向を知れば、どんな力を持った生徒に来てもらいたいと考えているのかを把握できます。

 3日間のGS特訓は、9時から17時まで、70分授業が6コマ行われます。まさしく“特訓”ですが、これには8月下旬の「夏期集中志望校錬成特訓」(5日間)や、それに続く「難関校SS(サンデー・サピックス)特訓」(9月以降の日曜日)といった、長時間の特訓授業に集中して臨むための“下地づくり”の役割もあります。

 溝端先生は「GS特訓の時期は、お子さんは『まだ受験は先のこと』と考えがちです。その時期にあえて入試レベルの問題を扱うことで、最終目標を提示し、受験への意識を高めていきます」と話します。

 本格的な受験対策は、夏期集中志望校錬成特訓以降となるので、この時期は“意識づけ”の意味合いが強いようです。その意図を溝端先生はこう語ります。「料理でいえば、志望校対策は最後の味付けです。スープ作りにたとえると、素材をじっくりと煮込むことが、勉強でいえば基礎学力を高めることになります。素材を煮込む前に、最後の味付けばかり気にしていても仕方がありません。夏期講習が終わるまでの間は、素材をじっくり煮込む、つまり確固たる基礎学力をつけることに注力してもらいたいと考えています。そのためには日ごろから高い意識を持って学習に取り組んでもらう必要があるので、そのきっかけづくりとしてGS特訓を実施しているのです」

夏休み 夏期講習以降の学習の柱は
「授業の復習」と「過去問演習」

 夏休みに入ると、お盆休みを挟んで合計18日間の夏期講習が行われます。授業日数は5年生の20日間より2日間短くなりますが、1日当たりの授業時間は5年生の2倍の6時間になります。まず13時から30分のテストが2コマ行われ、続いて14時から19時まで100分の授業が3コマ用意されています(※)。

 「子どもたちの集中力が続かないのではないか」と不安になる方もいるかもしれませんが、心配はいりません。サピックスの講師は、「問題に取り組む時間」「きちんと講師の解説を聞く時間」「表現をする時間」の区別を意識し、授業にめりはりをつけて、集中力を維持できるよう工夫しています。「講師はもちろん、子どもたちも一生懸命に取り組んでいるので、授業が長いとは感じず、密度の濃い時間を過ごしています」と、溝端先生は話します。

 そして、夏期講習が終わると、5日間の「夏期集中志望校錬成特訓」があります。これは9月からスタートするSS特訓を見据えたコース編成になっており、「新学期を迎える前に、自分の志望校をもう一度しっかりと意識し、9月からのSS特訓に向けてモチベーションを高める」ことが狙いです。

 さて、保護者の方にとっての心配事は、「長い夏休みをどのように過ごせばよいのか」ということではないでしょうか。溝端先生は、「夏期講習以降の学習の柱は二つあり、『授業の復習』と『過去問演習』です。どちらも、講師が取り組み方を具体的に提示しますので、それに沿って進めていただければ大丈夫です」と話します。「夏休みにあれもやろう、これもやろうと欲張るケースもあるのですが、わたしの経験上、あまり欲張りすぎずに、学習の質を高める方向で努力したほうが、良い結果につながることが多いと感じています」

学習の流れ平常授業:週2日、80分×3コマ/土曜志望校別特訓:週1日、75分×4コマ)
学習の流れ図
※講習や特訓の日程および時間帯は、事情により変更となる可能性があります。

23年4月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.1:
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