受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 家庭でお子さんと接するなかで、学習へのモチベーションのかき立て方について試行錯誤されている保護者の方は多いと思います。やる気を高めるためには、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。「何をやるか」を明確にするための目標の立て方、その目標を達成したときの声掛けや意識の変え方などについて、青葉台校校舎責任者からアドバイスをいただきました。

第179回「モチベーションを上げる
目標の立て方とは?」
回答者/青葉台校校舎責任者

短期的な目標を定め、やるべきことを明確に
「達成」する成功体験でモチベーションアップ

 特に4・5年生の保護者の方から、学習へのモチベーションの上げ方について、よく相談を受けます。3年生までは週1回の授業を楽しむように取り組んでおり、一方で6年生は受験学年となって意識も変わってくるので、4・5年生は明確な目標を立てにくい時期なのかもしれません。
 保護者会などでポイントとしてお話しするのは、「目標の立て方」です。モチベーションを高めるために、目標をきちんと定めることは大切です。中学受験に向かううえでは、「○○中学校に合格する」というのが最終目標になりますが、4・5年生が1・2年後の目標を立てても、それに向けての行動が伴っていないことがあります。大人にとっての1・2年後はすぐ先ですが、子どもにとっては遠い未来の感覚といえるでしょう。長期的な目標も大事ですが、まずは短期的な目標を設定し、少しずつ「達成」していくことがモチベーションアップにつながると考えています。
 短期的な目標を立てると、「何をやるか」が明確になります。たとえば、「マンスリーテストをがんばって、上のクラスに上がろう」などが短期的な目標になります。しかし、この1か月単位の設定でも長く感じるというお子さんもいます。その場合は、さらに短く週単位や1日単位での目標を立てます。「デイリーチェックでいつも60点くらいだけど、来週は80点をめざそう」というのが、その一例です。好きな教科や得意教科に偏った目標でも構わないので、とにかく1週間その目標に向けてがんばって、「達成」する経験をすることが大切です。この成功体験がモチベーションの上昇につながります。子どもなりに「結果につながるがんばり方」をつかみ、目標を達成したことによって、「苦手教科もやってみようかな」という気持ちも芽生えると思います。

がんばった分、結果につながることを実感させ
家庭では「ほめる」「認める」を心がけて

 最も大切なのは、小さな目標だとしても、達成できたときにご家庭できちんとほめてあげることです。「がんばった分、結果につながったね」と、まず達成できたことを認めてあげてください。モチベーションが上がらないお子さんは、「がんばっても無理そう」という意識を持ってしまっていることがあります。「しっかりやればできるんだ」と実感させることが大切です。
 逆に、本人のモチベーションが上がらないときに、「あれをやりなさい。これもやりなさい」と、与えられているものをこなすためだけの声掛けをしてしまうと、子どもはどうしても受け身の姿勢になりがちです。やらされているだけの学習には中身が伴わず、力が身についていきません。
 また、学習は長時間やればいいというものではなく、短時間でもいかに集中できたかが重要です。この短時間で集中して取り組む際にも、目標や目的を設定するとよいでしょう。毎日やる「基礎力トレーニング」にしても、単に毎日「何題やる」ではなく、「今日は何分でやろう」「いつも10問中2〜3問間違えるから、正確に解くことを優先しよう」など、常に何かをクリアする姿勢を持って取り組むことが大切です。その目標を一つひとつ達成していく成功体験が、モチベーションの維持へとつながっていきます。
「家でやる気が見られず困っています」という相談を受けることも多いのですが、そのお子さんが、塾ではとても集中しているというケースもあります。保護者の方は家での姿しか見えないので、いつもやる気がないのだろうという印象を持ってしまうかもしれませんが、授業での吸収力が高いタイプのお子さんもいるのです。授業に集中してがんばった分、家ではのんびりと過ごしてしまうこともあるはずです。塾でも家でも集中できているというお子さんは少ないのではないでしょうか。ご家庭では、何よりも「ほめる」「認める」ということを心がけていただきたいと思います。

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