受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 「子どもが問題の解き直しをしようとしない」「解き直しがうまく生かせていない」など、その方法について悩んでいる保護者の方も多いようです。効果的に解き直しをするには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。王子校校舎責任者にお聞きしました。

第176回「効果的に解き直しをするこつは?」回答者/王子校校舎責任者

一度解き直しても忘れる前提で
時間を空けて定着度を再確認

 日ごろから、「解き直し」ということばをよく使っていますが、そのすべてが同じ目的・方法とは限りません。ここでは、解き直しを四つに分類して考えてみましょう。
 一つ目は、「サピックスの授業直後の振り返り」です。これは、授業内容をしっかりと定着させることが目的です。直しは鮮度が命なので、授業から時間が空いてしまうと、学習効果が低くなってしまいます。できるだけ当日か翌日までに、授業で取り組んだ問題をもう一度解いてみましょう。ご家庭では、ぜひお子さんとサピックスの授業の話をしてください。どんな内容だったのかを保護者の方に説明すると、お子さんにも「この問題は理解できていなかった」といった気づきがあるでしょう。
 二つ目は、「家庭学習を実施して丸付けをした後の直し」です。家庭学習で間違えた部分は、ていねいに解き直しをしてください。正しい解法を理解するだけでなく、自分の解き方はどこが間違っていたのかを確認する必要があります。また、選択問題では、不正解の選択肢がなぜ正しくないのか、その理由なども分析しておきましょう。
 三つ目は、「家庭学習の直しから少し間を空けて実施する直し」です。前提として、一度解き直しをしたものも、お子さんはどんどん忘れていくと考えておくべきです。そのため、少しの時間を空けて、本当に定着したかどうかを確認するのは、非常に効果があるといえます。
 ただし、それをやり過ぎると量が多くなり過ぎて、うまく学習が回らなくなる可能性があります。そのため、本当に解き直したほうがよい問題をピックアップして、無理なく消化していく必要があります。それを判断するタイミングの一つが、二つ目の「丸付けをした後の直し」の段階です。「もう一度やり直したほうがよさそうだ」と感じた問題に付せんを付け、その日の日付を書いておきます。おおよそ1週間たったら、その問題に取り組み、定着していれば付せんをはずします。そのような工夫をすると、やりやすくなると思います。

マンスリーテストや組分けテストなどは
「3回直す」ことを意識する

 四つ目は、「マンスリーテストや組分けテスト、サピックスオープンなどにおける直し」です。このようなテストでは、一つ目から三つ目までの直しをセットにして、「3回直す」ことを意識すると効果的です。1回目は試験直後、自分の答えや時間配分などの記憶が鮮明なうちに実施しておきましょう。2回目の直しは答案返却のタイミングです。このときには正答率や平均点、自分の苦手単元なども、成績票からわかるようになっています。平均と比べて特に点数が取れていない単元・分野においては、過去のテキストなどに戻って、類題を解き直してみるとよいでしょう。3回目は、少し間を空けて取り組んでください。目安としては、返却後の直しから、1~2週間くらい過ぎたタイミングがよいでしょう。もう一度やってみて、本当に定着したかどうかを試していきます。
 保護者の方から、「子どもが解き直しをしたがらない」という相談を受けることがあります。そこで、楽しくやるこつを一つ紹介します。まず、解き直したほうがよいという問題をピックアップし、コピーを取って、必要があれば切り抜きます。コピーの裏に日付を書いて、箱にどんどん入れていきます。1週間の学習スケジュールで「直しの時間」を設けたり、もしくはふだんより少し早く家庭学習が終わった時間を使ったりして、この箱の中からランダムに1枚取り出し、その問題を解きます。間違いなく定着していれば、その紙は箱から除き、うまく解けなかった場合は、また箱に戻します。そして、箱の中の紙をできるだけ少ない状態で保てるようにします。このようにすると、ゲーム感覚でお子さんも楽しく取り組んでくれるかもしれません。
 保護者の方には、解き直しをしたお子さんを全力でほめていただけたらと思います。そうすることで、お子さん自身が「解き直しっていいことなんだ」と実感し、自然にできるようになっていくでしょう。一歩一歩、地道により良い学習に近づけていく粘り強さを養えるよう、お子さんを見守っていくことが大切です。

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