受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 理科の単元のなかでも、特に生物分野は、「植物や動物などの種類が多くてなかなか覚えられない」と悩んでいるお子さんも多いようです。生物の学習をよりスムーズに進めるには、いつごろから、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。茅ヶ崎校校舎責任者にお聞きしました。

第174回「覚えることが多い生物分野の
学習方法は?」
回答者/茅ヶ崎校校舎責任者

実際に見たり調べたりする習慣をつけて
経験としての印象を明確に残す

 小学校の理科では、「まずは身の回りのものを科学的にとらえる」ことが大きなテーマの一つとなります。生物分野はその最たるものといえるでしょう。しかし、覚えることも多い単元であるため、苦手意識を持っているお子さんも少なくないようです。しかも、植物名や動物名だけを覚えればよいわけではなく、「どの仲間なのか」というグループ化も考える必要があるため、覚える難度はさらに上がります。
 生物の学習をスムーズに進めるために有効なのは、実際に目で見たり、図鑑やインターネットなどで調べたりすること。自分の経験として印象を明確に残すと、より頭に入りやすくなるからです。単語を見ただけで覚えようとしても、カタカナの羅列にしか思えず、すぐに忘れてしまうこともあります。初めて名前を聞く植物や動物が出てきたら、そのままにせず、見たり調べたりする習慣をつけておきましょう。6年生になってから覚えようと思っても、なかなか時間が取れなくなるので、4・5年生のうちから意識して調べるようにしてください。
 実物を見に出掛けた際は、場所や時刻、天候などのシチュエーションも記憶に残しておくとよいでしょう。図鑑などで調べるときは、最終的にはお子さんが独りでできるように、保護者の方がサポートしてあげてください。
 また、単語をひたすら暗記するのではなく、「核となる知識」をしっかりと押さえることも欠かせません。たとえば、カブトムシは完全変態の昆虫なのでサナギがあり、幼虫は白っぽくて、成虫は茶色といった特徴があります。これらを知っているからこそ、「クワガタやカナブンも同じグループだね」と連想できるのです。
 このように、より具体的なイメージを持つことができれば、ほかの知識とも関連付けられて、生物への理解が深まります。ぜひ早いうちから、植物や動物を見たり調べたりする機会をつくっていただけたらと思います。

日常生活の実体験が入試問題になることも
家族との会話も生物の学習につながる

 生物の学習を進めるに当たっては、日ごろから身の回りのことに目を向けるようにしてください。生物分野の入試問題では、日常生活の実体験がテーマになることがあるからです。
 たとえば、ピーマンやタマネギの断面図に関する問題、年中行事になぞらえて5月5日に関連する植物を選ぶ問題、さらには焼き魚の写真を見て魚の名前を答える問題、キリンの模様を描く問題など、見たり聞いたりしたことがないと解けないであろう内容が、過去に出題されています。ほかにも、キャンプに絡めて、「どの植物の葉っぱがいちばん燃えるか」といった問題が出されたこともありました。
 こうした問題すべての対策をするのは難しいですが、日常生活が生物の学習につながっていることを意識してみると、「これってどういうことかな」「調べてみようかな」という気持ちが生まれてくるのではないでしょうか。まず大切なのは、日常の体験から「楽しそう」という気持ちを持つことです。最初は、保護者の方が興味のあることで構いませんので、「ピーマンの断面図って、こんなふうになっているんだね」などと、家族の会話に生物の話題を取り入れてみてください。
 時々保護者の方から、「どうしたら効率良く生物の勉強ができますか?」という質問をいただくことがあります。これはほかの教科や単元にもいえることですが、お子さんは失敗を通してさまざまなことを学んでいます。楽をして学んだことは、記憶から抜け落ちることも多く、そこから派生する事柄に目を向けなくなる可能性があります。したがって、初めから効率良く学習しようとするのではなく、その都度解決方法を探ることをお勧めします。一生懸命やっても覚えられないのであれば、初めに覚える数を絞って、手で書きながら、時には声を出しながら覚えるなど、粘り強く取り組むことが大切です。

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