さぴあ何でも相談室
お子さんのやる気や集中力をどうしたら引き出すことができるのか、家庭で勉強する時間をどのように使ったら効果的なのか、気になっている保護者の方は多いと思います。まずは短くても集中する時間をつくり、それを積み重ねていくことが、集中力や勉強量のアップにつながっていきます。やる気を引き出す声の掛け方なども含めて、成城校校舎責任者にお聞きしました。
第173回「集中する習慣のつけ方と
時間の有効な使い方とは?」回答者/成城校校舎責任者
勉強時間を分母、集中時間を分子と考え
その分数の値を大きくする取り組みを
漫画を読んだり、ゲームをしたりする時間が長いお子さんを見て、「この時間、勉強すればいいのに」と思ったことがある保護者の方は多いのではないでしょうか。勉強に向かうためのめりはりのつけ方、集中力ややる気の引き出し方についても、よくご相談をいただきます。
勉強する時間と、漫画やゲームの時間とをはっきり分けて、オンとオフの切り替えをしながら集中するのが理想的だといえますが、この「オン」になったときに、どれだけ続くかを重視してほしいと思います。なかなか集中力が続かないお子さんであれば、まずは5分間やってみるだけでも構わないので、「ここまでやろう」という意識を芽生えさせて、集中する習慣をつけていくことが大切です。一度オフにした後では、もう一度オンにするのは難しいはずなので、この短いオンの時間は保護者の方が寄り添って、親子で一緒に集中できる環境にするとよいと思います。
有効な時間の使い方についての相談もよくいただきます。勉強時間を分数で考え、その値を大きくしていくことを心がけてほしいと思います。たとえば、2時間机に向かっていたとしても、ずっと勉強に集中することは難しいでしょう。2時間のうち、集中して勉強できている時間が50分だとしたら、この状態を「50/120」と表現します。この分子を大きくしていきたいところですが、いきなり大きくするのは大変です。できるのであればそもそも悩んではいないでしょう。そこで、分子を少しでも大きくしていくには、一度分母を小さくして「5/5」で集中し、その時間を積み重ねていくのがよいでしょう。
しかし、「5/5」は8回やっても「40/40」でしかないので、「50/120」より分子(勉強した量)は小さいということになります。つまり、「5/5」で集中する習慣が身についてきたら、今度は「分子を大きくするために分母を大きくする」という意識が重要です。分数の値を徐々に大きくしていくためのこうした取り組みによって、お子さんのやる気や集中力が高まり、「時間の有効な使い方」ができるようになってくると思います。
集中する習慣を身につけて積み重ね、
やる気の波があっても「続ける」ことが大切
子どもは「好きなこと」や「できること」なら集中できるので、好きな教科や得意教科から取り組むのも一つの方法です。苦手な教科は「できない」から集中できないともいえます。やろうとしても課題が山積みだとやる気が起きないので、短時間でも集中することの積み重ねが大切です。わんこそばも1杯ずつ出されるから食べられるのであって、最初から全部を山盛りで出されても食べられません。少しの量を1杯ずつ食べたほうが結果的には多く食べられるのです。
保護者の方としては、お子さんに学習への取り組み方、時間の使い方の「理想の姿」になってほしいという気持ちがあると思いますが、足し算でとらえるか、引き算でとらえるかで、声の掛け方も変わってきてしまうものです。「この時間もっと勉強できれば」という、理想から引き算したイメージだと、「ここが足らない」という言い方になってしまいます。それよりも、「これは終わったから、ここまでできたね」と、足していくイメージで声を掛けてあげたほうが、やる気を引き出せるのではないでしょうか。
短時間でも集中する習慣を身につけ、それを続けていくうちに、「せっかくここまでがんばったんだから」という学習への愛着のようなものが生まれ、変化していくお子さんも多くいます。やる気の波は誰にでもあると思います。やる気のあるときはできるかぎりがんばって、ないときは最低限やるというめりはりをつけながらも、「続けていく」ことが大事だと思います。
サピックスには一緒にがんばっている仲間がいて、講師もいます。みんなプラスのきっかけになる存在です。ご家庭でも、「足していく」イメージで応援してあげてください。
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