受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 日ごろからテスト直しに取り組んでいるお子さんは多いと思いますが、それをきちんと次のテストに生かしきれていないと感じる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。テストでミスしたところや反省すべき点を明確にして、次にうまくつなげるにはどうしたらよいのか、お茶の水校校舎責任者にお聞きしました。

第172回「テストの際のミスや反省点を
次に生かすには?」
回答者/お茶の水校校舎責任者

失敗をネガティブにとらえず
テストから得られる学びを大切にする

 サピックスでは、“授業”で習った内容を“家庭学習”で定着させ、それがどのくらい身についているかを“テスト”で確認するという「三位一体」の学習スタイルを大切にしています。テストは本番に向けて力を養っていくものです。たとえ失敗したとしても、そこから反省点を明確にしたり、悔しいなどの感情を抱いたりすることで得られるものが多くあります。失敗をネガティブにとらえるのではなく、「テストから学ぶ」という前向きな姿勢を意識するとよいでしょう。
 テストには大きく分けて2種類があります。一つは、確認テストや復習テストといった試験範囲が決まっているテスト、もう一つは、組分けテストやサピックスオープンなどの実力テストです。試験範囲が決まっているテストでは、その範囲の知識がきちんと定着しているかを確認することができます。できなかった問題があったら、テキストに戻って確認するなど、早いうちに穴をなくすように心がけましょう。また、ある程度、対策を立てやすいテストであることから、それでも点数が取れなかった問題は、お子さんが不得意な単元なのかもしれません。保護者の方がお子さんのケアをするうえで、今後のヒントを見つけやすいテストだともいえます。入試でどの問題が出題されても困らないようにするためには、試験範囲のあるテストの振り返りが大きな役割を果たすといえるでしょう。
 一方で、いわゆる本番に近い実力テストは、持っている力が反映されやすいので、今の立ち位置を把握するのに役立ちます。テスト直しでは、「なぜ間違えたのか」をお子さんとていねいに確認してください。習ったことを忘れてしまっていたのならば、この機会にきちんと復習して、次は解答できるようにしておきましょう。
 ここで注意したいのは、「すべての問題を解けるようにしなくてはならない」と考える必要はないということです。すべてを消化するとなると、お子さんの負担が大きいので、まずは優先順位を考え、正答率の高い問題で間違えたものから復習するようにしましょう。みんなが解ける問題を間違えたからと落ち込んでいるよりも、「今ここで身につけよう」とお子さんがポジティブにがんばれるようになることがいちばん大事です。

大切なのは「次はどうするか」
子ども自身に考える機会を与える

 テストを振り返ることは、学習内容の理解を深めるだけではなく、メンタル面の対策でも役立ちます。緊張感のあるテストでは、ふだんなら当たり前に解ける問題でも、なぜか間違えてしまうという場面もあるでしょう。そういうミスが起こる可能性があると気づくことができるのも、テストの学びの一つです。「同じことが起こらないようにするために、テストで気をつけるべきことは何だと思う?」とお子さんと話し合ったり、次のテストの前に、「前回こういう悔しいことがあったから、今度はどうやって気をつければいいかな?」と、再度確認したりする機会をつくってください。大人が正解を押し付けるのではなく、お子さんがなるべく自分で考えられるように、質問形式で投げ掛けてあげるとよいと思います。
 もし、お子さんが「解き方はわかっていたけれど、今回はたまたま間違えただけ」と答えた場合は、そのままで終わらせないようにしてください。そうなると、次も同じようなミスをする可能性があるからです。大切なのは、まずは本人がミスをしっかり受け止めること、そして、「次はどうするか?」を考えることです。そのためには、保護者の方は間違えたことを全面的に否定するのではなく、お子さんがミスと向き合いやすい環境をつくってあげることが重要です。
 テストは本番で結果を導き出すための道具、いわば「次がある」ものです。点数の良しあしで一喜一憂することもあるかもしれませんが、「失敗してはいけない」と萎縮するのではなく、むしろ「今失敗してよかった」と反省すれば、すべてが次への糧となります。保護者の方は、テスト直しの有効性を意識しながら、お子さんとじっくりと向き合い、時には辛抱強く見守っていただけたらと思います。

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