さぴあ何でも相談室
国語の選択問題は、取りこぼしなく点数を取りたいところですが、「残り2択までは絞れるのに、最後の選択で間違えてしまう」と悩む保護者の方も多いようです。選択問題の正答率を高めて点数を伸ばすためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。三宮校校舎責任者にお聞きしました。
第168回「国語の選択問題の点数を
伸ばすには?」回答者/三宮校校舎責任者
一つひとつの選択肢を本文と照らし合わせ
きちんと確認しながら正解を探す
ご相談いただいた内容から察すると、選択問題に取り組むとき、単純にそれぞれの選択肢の内容のなかから誤りのみに注目して正解を絞っていくという形式で消去法を使うことが多いのではないでしょうか。もちろん解法のテクニックの一つとしてそのような消去法がだめだというわけではありません。しかし、難度の高い入試問題では、残りの二つの選択肢から答えを考えるときに、そうした消去法だけでは見極められないことも少なくありません。誤りの箇所を削るための「解法のテクニック」だけではなく、国語の本質的な力である「読解力」をきちんと備えていないと、太刀打ちできないような問題が作成されているからです。したがって、そのような消去法だけに頼らず、内容としては正しい残った二つの選択肢のなかから、よりよいものを選び取る力を身につける必要があります。そうすれば、より一層さまざまな問題に対応できるようになるでしょう。誤った選択肢を単純に消去することのみに着目して解答しているお子さんには、まずはそのような別の方法があることを意識してもらいたいと思います。
選択問題の解き方は、基本的には記述問題と同じです。選択肢に左右されるのではなく、しっかりと問題の意味を理解し、本文に戻って自分なりに答えを組み立てたうえで、その答えと合致する選択肢を見つけていきます。大切なのは、一つひとつの選択肢と本文とを照らし合わせて考えることです。これは、どのようなときでも必ず行ってください。本文との照らし合わせをせずに、一度読んだ文章を思い出しながら解答すると、記憶が曖昧な部分があるため、本文と選択肢の文章が少し変わっているなど、細部の誤りに気づかない場合があります。「このあたりに答えがあるな」という目星は最初につけられるので、その部分をもう一度きちんと読んで確認しましょう。選択肢と本文を照らし合わせるという作業自体は、それほど時間がかかるものではありません。正答率を高めるためには、必要なプロセスだと思って取り組んでください。
入試で試される「読解力」は、サピックスの授業でも日ごろから磨いている力です。選択問題に取り組むときにも、誤りを削り落とすテクニックなどの「解法力」に頼りきるのではなく、日ごろ磨いている「読解力」も生かし、本文の根拠に基づいて、悩ましい選択肢のどちらが本文の内容をふまえて、より詳しく説明できているのか、きちんと考えて解く習慣をつけるようにしましょう。
見直しの重要性を自覚することが大切
「なぜ間違えたのか」を明確にして次につなげる
試験には時間制限があるため、どうしても「早く問題を解きたい」と、焦ってしまうお子さんもいるかもしれません。こういうときこそ、「急がば回れ」です。いちばん良くないのは、時間が足りないからといって、選択肢の文章をしっかり読まずに単語だけを見ていたり、文章に傍線が引かれている部分の周辺だけしか読まなかったりして、答えをすぐに出そうとすることです。その場では時間が足りてよかったと思うかもしれませんが、そのようなやり方は必ずしも点数に結びつくとは限らず、当然本質的な学力の向上にもつながりません。
入試問題では、本文のことばをそのまま使わずに、巧みに言い換えて正解の選択肢が作成されることもあります。この場合、本文をさっと読んだだけでは、正しい答えが見極められません。急げば急ぐほど、いろいろなものを取りこぼしてしまうので、文章は必ずしっかりと読み、一つひとつ着実に取り組むことを心がけましょう。なかには長い文章を読むのが苦手なお子さんもいるかもしれませんが、文章をきちんと読むトレーニングを続けていれば、読むスピードも読解力も徐々に上がっていきます。
本文の根拠に基づいて問題が考えられるようになると、テストの見直しもしやすくなります。それは、間違えた原因がわかりやすいからです。問題の意味が読み取れていなかったのか、本文の根拠がうまく探せなかったのかなど、どこが間違っていたかが明確になると、次に問題を解くときに生かせるようになります。サピックスの解答解説には、正解がどこを根拠に考えられているのかが細かく記されているので、自分が考えていた根拠と食い違いがあった場合は、特にしっかりと確認するとよいでしょう。
そのためにはまず、お子さんが見直しの重要性を自覚することが大切です。ご家庭でも「見直すことが大事だよ」と声を掛けて、サポートしてください。しかしながら、いきなり完璧に見直しをすることは難しく、はじめのうちは見直しのやり方があまりよくわかっていないこともあります。一つひとつできることを増やしていこうと、長い目で見ながら、お子さんの学習を見守っていただけたらと思います。
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