受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 実力テストの結果が思わしくなかったとき、「もっとがんばらなくては」という気持ちはあっても、お子さんのモチベーションがなかなか上がらないと悩むご家庭もあるようです。こうした場合、少しずつでも前に進んでいくために、保護者の方はどのようなことを意識すればよいのでしょうか。練馬校校舎責任者にお聞きしました。

第164回「実力テストで成果を上げるために
意識したいことは?」
回答者/練馬校校舎責任者

冷静かつ客観的に問題点をとらえ
勉強の「量」ではなく「質」を高める

 保護者の方から、「実力テストでなかなか結果が出ません。どうしたらよいでしょうか」という相談を受けることがあります。「もっとがんばらないと」と勉強時間を増やしたものの、お子さんのモチベーションが下がってしまい、なかなか事態が改善しないと悩まれるケースもあるようです。
 このようなときに、保護者の方に意識していただきたいことが二つあります。それはお子さんを追い詰めないこと、そして、より具体的な改善策を冷静に見つけることです。
 まずは、お子さんには前向きな声掛けをしてください。たとえば、知識が定着していないと感じたならば、覚え直すという選択肢しかありません。しかし、「テストがだめだったのだから、もっとしっかり覚えなさい」と言われるのと、「忘れたらまたすぐに覚え直そう。この部分をがんばったらもっと良くなるよ」と言われるのとでは、お子さんの受け止め方も違ってくるでしょう。お子さんを追い詰めるようなことばは、ポジティブな結果を生みません。良い未来を思い描けるような声掛けが望ましいと思います。
 また、「テストの結果が悪くて、親子で落ち込んでいます」と話されるご家庭もあります。しかし、保護者の方が一緒に落ち込んでしまうと、お子さんの不安な気持ちは増幅してしまうので、冷静かつ客観的に問題点をとらえることが大切だといえるでしょう。小学生のお子さんは精神面が未熟で、落ち込んだときに気持ちが先に立った言動をしがちです。事態を良くするために、どうアクションをとるべきかをお子さんだけで考えるのは難しいため、大人のアシストが必要になります。たとえば、「算数の正答率が高い問題を落としていてもったいないね」などと、なるべく具体的な改善策や課題克服のための糸口を伝えるようにしてください。
 学年が上がったり時期が進んだりするとともに、「がんばる=勉強の総量を増やす」ことが物理的に難しくなります。そのため、勉強の質をいかに向上させるかが重要になってきます。量や時間のノルマを課されて単なる作業として勉強するのと、目的意識を持って勉強するのとでは、その後の結果も変わってくると思います。

「目標・結果」だけに目を向けず
どの「過程」を改善すべきかを把握する

 改善策を見つけるときには、漠然と「とにかくすべてをがんばる」と考えるよりも、「一段掘り下げて原因を探る」ことが有効です。まずは実力テストを「目標・結果」、それまでの学習段階を「過程」として、学習の流れを再確認してみましょう。
 実力テストの前の段階には、復習テストやマンスリーテストがあります。さらに、これらのテストの前の段階には、デイリーチェックがあります。「実力テストで良い点数をとる」という「目標・結果」のためには、「過程」のどの段階を改善すべきかを把握しなくてはなりません。つまりは、実力テストの結果から浮き彫りになった課題を、ふだんの学習のどの段階にリンクさせて改善を図るのかを考えるということです。
 一段掘り下げて原因を探る習慣を身につけるためには、ふだんから結果を振り返ることもお勧めします。「今日のデイリーチェックの点数が悪かったのはなぜだろう」と振り返ると、「理解が曖昧な問題を、すっきり解ける問題と同じ量しか復習していなかったな。この部分を復習する回数をもっと増やそう」など、より具体的な改善策が見つかるようになります。
 さらに、実力テストで成果を出すという「目標・結果」の前に、週単位などもう少し短いスパンでの目標を設定するとよいでしょう。何をどのようにがんばればよいのかが明らかで、達成が困難ではない目標がより好ましいです。たとえば、「デイリーチェックは90点くらいが多いから、取りこぼしをなくして100点をめざそう」といった目標です。「小さな目標達成の積み重ねこそが、大きな目標の達成につながる」と実感できれば、状況は好転するのではないでしょうか。
 実力テストの点数には、保護者の方も一喜一憂してしまいがちですが、その「結果」だけでお子さんのがんばりを評価せず、「過程」を大切にしながら、前向きに学習を進めていけるように見守っていただけたらと思います。

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