さぴあ何でも相談室
問題が解けた子どもに「わかった?」と聞くと、当然子どもは「わかった」と答えます。実はこの「わかった」は「わかった(つもり)」の状態であることが多く、実際には「理解できた」に変える作業が必要です。同じミスを繰り返さないために、どのような取り組み方をすればよいのか、高田馬場校校舎責任者からアドバイスをいただきました。
第163回「『わかった』を『理解できた』に
するための学習法」回答者/高田馬場校校舎責任者
ミスを繰り返さないために「反省・分析」し、
「改善・工夫」につなげる習慣を身につける
子どもが言う「わかった」は、わたしたちが求めている「わかった」とは異なることがよくあります。「わかった(つもり)」と「わかった(理解した)」の違いについて、保護者会などでお話しさせていただくと、ご家庭でも、その危うい「わかった」が心配になるというお声を聞きます。質問教室で「わかった」と言っても、家に帰るとまたわからなくなるケースもよくありますが、これはまだ「わかった(つもり)」の段階だからです。「理解」せず「つもり」のままにしておくと、「わかっていない」ことになり、同じミスを繰り返してしまうのです。
「わかった(つもり)」を「理解できた」に変えるためには、自分はどこでつまずいていたのか、どのようなミスをしたのかを、お子さんが説明できるようにすることが重要です。「本当にわかった? 説明してごらん」「どこでミスをしたの?」という声掛けをすると、お子さんは次への改善策を考えるようになり、それを説明できれば、他の問題に解答するための汎用性につながっていきます。
たとえば国語で、文中の「また」「さらに」「もう一つは」などのことばを読み落として、筆者の意見が二つあることに気づけなかったというミスを自分で説明できれば、次に同じような文章が出てきたときに、印をつけて確認しながら読むことができるようになります。「物語では人物の情報が出てくる回想シーンを注意深く読もう」「焦って読んだら内容が頭に入ってこなかったから、書き込みをしながら読もう」など、「今回こういうミスをしたから、次はこうしよう」という具体的な改善や工夫が重要です。「気をつける」「注意する」といった精神論で片づけるのではなく、取り組み方の習慣を身につけることで、同じミスを繰り返さなくなり、確実な理解につながっていきます。
テキストやノートの1ページ目に「こういう読み方をする」「こういうミスに気をつける」などと箇条書きにして、それを習慣化している生徒もいました。こうした作業をせずに設問だけを解き直しても、「わかった(つもり)」のままです。勉強は○がついて終わりではなく、△や×を次に生かすことが大切なので、「反省・分析」を「改善・工夫」につなげてほしいと思います。
自分で理解したことは記憶に残る
時間や量ではなく、精度・理解度が重要
量をこなしただけで「やったつもり」になることにも注意が必要です。間違えた漢字を何十個も書いて練習しても、書いただけではまた同じミスを繰り返す可能性があります。「とめ・はね」で間違えていたら、「ここははねるんだ」「ここは長さに注意」など、自分でミスを自覚することが大切です。そうすると、似たような漢字や同じ部首の漢字、あるいはその漢字を使った熟語などへ、どんどん派生させていけるようになります。自分で理解したことは記憶に残りやすいものです。
目の前の結果だけを追うのではなく、まずは「わかった(つもり)」のものが各教科にどれくらいあるのかを洗い出してみましょう。後期からは、前期で習ったことを発展させていく単元や、1回の授業だけでは理解しきれない内容に取り組むことが増えていくので、次の学年に上がる前に、「つもり」を「理解」に変えておくことが望ましいです。基礎に戻ることも大事ですが、どこでつまずいているのかを必ず確認してください。
授業では、デイリーチェックで知識を定着させるとともに、視点を変えて理解させる指導を行っています。前回教えた内容と関連づけたり、幅広く考えさせたりして、「授業のなかで自分のミスをしっかり確認して帰ろう」と声を掛けています。ご家庭でも、たとえば『コアプラス』をひたすら解いて知識を増やすだけでなく、少し説明させる時間を設けるとよいと思います。そうすると、次の授業への臨み方、あるいは質問教室の活用も、より有意義なものになります。「長い時間、たくさんの問題を解く」ことが受験勉強になりがちですが、一つひとつの精度・理解度を高めることが、いちばん大切だと思います。こうした取り組み方が、「わかった(つもり)」を「理解できた」に変える学習法だと考えます。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎