受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 3年生から4年生への進級は、サピックスのカリキュラムにおいて最も大きな変化があります。学習量もかなり増えるため、初めのうちは戸惑うお子さんも多いようです。4年生の学習はそれまでとどのように変わるのか、また、その変化にスムーズに対応するために、どんなことに気をつければよいのか、町田校校舎責任者にお聞きしました。

第154回「4年生での学習の変化に
どのように対応したらよいか」
回答者/町田校校舎責任者

通塾のペースの変化に合わせて
最初の2か月程度で家庭学習のスタイルを確立

 3年生までのサピックスの授業は週1回でしたが、4年生では週2回に増えます。1日の授業は2時間から3時間に延び、終了時刻も20時と遅くなります。また、授業内容の定着度を確認するデイリーチェックは、3年生以下は国語のみなのに対して、4年生以上は国語・算数・理科・社会の4科で行います。さらに、それまでは一つのテキストナンバーの学習を2週間単位で進めていましたが、4年生では1週間単位に変わります。4年生に進級すると、授業も家庭学習もペースが変化し、うまくリズムに乗れないお子さんも多いようです。
 そこで、家庭学習の進め方や計画の立て方を変える必要が出てきます。新学年に進級する前の保護者会では、どのように変化するのかを詳しく説明し、各学年の初めに配られる「年間学習法」にも、その学年の学習の注意点などが記載されています。それを基にして、親子で一緒に1週間の学習計画を立ててみてください。
 計画を立てる際には、お子さんが集中できる時間を考慮することが大切です。学習の性質によって、短いものなら15分、長くても60分くらいに設定してください。短時間で取り組める計算や漢字、理科・社会の知識などを最初にやるようにすると、学習に入っていきやすいと思います。
 各教科の学習にだいたいどのくらいの時間がかかるかを把握して、「この時間帯にこの学習をする」という決まったペースがつくられるのが理想です。くれぐれも「行き当たりばったりで、時間が空いたときにやる」ということがないように気をつけてください。授業から日を置かずに復習することを守っていけば、一定のペースがつくりやすいはずです。4年生の通塾のペースに慣れていきながら、最初の2か月程度で家庭学習のスタイルが確立できるとよいでしょう。

まずは基本的な学習習慣を身につけ
自分で進めていけるように徐々に独り立ちを

 3年生までは、保護者の方とお子さんが授業の復習を一緒にやるというご家庭もあったと思います。受験学年が近づくと、自分の意思で学習を進めていく必要があるため、4年生になったら独り立ちさせることを考え始めなくてはなりません。
 その第一歩となるのは、丸つけや解き直しといった基本的な学習習慣を身につけることです。漢字のとめ・はね・はらい、記述問題などは自分で採点するのが難しいので、初めは保護者の方に手伝っていただきたいのですが、少しずつ自分でできるようにしていってください。教材の整理や学習計画などは保護者の方が手伝っても構いませんが、学習の内容そのものからは、徐々に手を離していくことを心がけましょう。
 また、学習を進めていくうえでのルールを決めることも大切です。たとえば、「テキストを読むときに大事な部分に線を引く」「用語をチェックするときにマーカーで色分けする」「後から復習する問題にふせんをつける」などが考えられます。「どこで学習するか」をルールに入れてもよいでしょう。そのような自分なりのルールをきちんと実行すると、やるべきことが明確になり、学習のペースが安定するようになると思います。
 もし学習計画がうまく進んでいなかったら、その都度修正を加える必要があります。学習したことが定着できているかを測るには、デイリーチェックの点数が一つの目安となります。また、授業で扱う教材の量も増えるため、計画どおりに進まずに、やるべきものがたまってしまうこともあるでしょう。そのような場合には、過去のものにはこだわらず、今学んでいるものを優先させてください。手をつけられなかったものには、休みの日に取り組むようにしましょう。
 4年生の初めに学習のスタイルを確立させることは、受験において一つのポイントともなります。学習量が増えることは明らかですが、だからといって、できるだけ詰め込んで学習させようとすると、お子さんのモチベーションが下がってしまいます。友だちと遊ぶ時間や習い事、家でくつろぐ時間も考慮したうえで、お子さんが「これならできる」と思える無理のない計画を立てることが、4年生の学習にスムーズに移行するための鍵になるのではないかと思います。

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