受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 サピックスは家庭学習を重視する復習主義の進学塾です。ただ、ひと口に家庭学習といっても、教科によって、また学年によって求められる内容はさまざまです。保護者の方はどのような形で家庭学習にかかわればよいのか、また中学受験をめざす小学生はどのように家庭学習に取り組めばよいのか、西宮北口校校舎責任者にアドバイスをいただきました。

第151回「中学受験で求められる
家庭学習とは?」
回答者/西宮北口校校舎責任者

家庭学習の土台となる「読み書き計算」
まずは学習習慣を身につけることが大切

 サピックスでは、何よりも授業を大切にしています。そして、授業で学んだことを定着させるため、家庭学習を重視しています。しかし、1年生のお子さん、あるいは4年生でもサピックスに通い始めたばかりのお子さんに対して、いきなり「家庭学習で授業内容を定着させなさい」と言っても、なかなか難しいと思います。
 そこで、まず保護者の方に認識していただきたいのが、「読み書き計算」こそが家庭学習の土台であるという事実です。算数の「基礎力トレーニング」を怠らず、国語の漢字テストやデイリーチェックで結果を出すよう努力を積み重ね、毎日・毎週の習慣とすることが「家庭学習の第一歩」であると肝に銘じてほしいと思います。実際、保護者の方から家庭学習に課題を抱えているとご相談を受けた場合、そのほとんどのご家庭で「読み書き計算」がおろそかにされているといっても過言ではありません。
 土台がある程度固まれば、家庭学習は次の段階へ進みます。持ち帰った教材に取り組む際、当然難しい内容や理解できない内容が出てきます。このような内容を独力で理解することは、低学年や4年生のお子さんにとってはかなり厳しいと思います。保護者の方に教えてもらったり、講師に質問して解決したりすることが必要となります。1〜2年生であれば、保護者の方が一緒に解決してあげることが望ましいでしょう。しかし3〜4年生の段階では、少しずつ自分で解決することも教えてあげてほしいと思います。すべてを教えるのではなく、「この部分に説明が書いてあるよ」とか、「こういうふうに考えてみたら」といったように、自分の力で解決する部分を少しずつ増やせるようにしてあげましょう。

求められる能力は「自己解決力」
入試では誰にも頼ることはできない

 小学生のお子さんは、一般的に3~4年生の時期と、5~6年生の時期に大きく成長します。3~4年生では自我が確立し始め、自分を他人と比べるようになります。5~6年生では大人に反発することもありますが、他者を思いやる気持ちも芽生え、抽象的な概念が理解できるようになります。サピックスのカリキュラムでは、5年生の終わりまでに、一部を除いて中学入試で出題される基礎的な内容をほぼ網羅することになっています。高度な内容を学習するため、通塾日数も増え、家庭学習の分量も増えます。学習内容に関して、保護者の方が解決できることは、次第に少なくなってきます。
 そのような困難な状況を乗り切るためには、「読み書き計算」と学習習慣に加えて、「自己解決力」が求められます。自分が理解できていないことを認識して理解しようとする力、理解できているつもりでもテストで正解できなかった際に、その状況を改善する力、さらには自身が習得した知識や考え方をもとに、見たことがない問題に対して一定の解答を導く力、またそのような作業を短時間で行う力など、「自己解決力」の内容は多岐にわたります。
 こうした高度な能力を身につけるためには、お子さんが自主的に学習に向き合おうとする姿勢が求められます。サピックスでの授業を十分に活用して理解を深め、覚えるべき知識はみずから努力して身につけ、与えられた教材は指示どおりにこなすことが重要です。教材で理解できない問題があれば、自力で考え、試行錯誤して、解説を読んで理解しようと努力を積み重ねなくてはなりません。どうしても解決できなければ、講師に質問・相談することも立派な「自己解決力」です。
 もちろん、すべてのお子さんが完璧に「自己解決力」を身につけることはできませんが、入試当日までそのような学習姿勢を貫こうとする意志が必要です。入試本番で、頼りにできるのは自分自身だけであることを考えても、それは明らかです。
 保護者の方には、受験校の選定、お子さんの健康状態や日常生活の管理、あるいは学習環境の整備など、さまざまなお願いをすることになります。お子さんの成績が思わしくない状況であれば、感情的になることなく、精神的に支えてあげる必要もあります。もちろんサピックスでは、必要な情報を適宜提供し、学習相談を受け付けています。お子さんが少しでも「自己解決力」を伸ばせるように意識して接してあげてほしいと思います。

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