さぴあ何でも相談室
内容は理解しているのに、解答をきちんと書けていないためにテストの点数を落としてしまうというケアレスミス。人間なので、ミスがあるのは仕方がないことです。ミスを100%なくすことはできませんが、「減らす」ことは可能です。ふだんからどのようなことに気をつけて取り組めばよいのか、青葉台校校舎責任者にアドバイスをいただきました。
第150回「ケアレスミスを減らすために
気をつけることは?」回答者/青葉台校校舎責任者
ケアレスミスは“軽傷”ではない
問題文を確認してから進むことが大切
まず皆さんに認識していただきたいのは、「ケアレスミスは“軽傷”ではない」ということです。「理解できているのだから、うっかりミスだ」と思うかもしれませんが、それでも×がつき、しっかりとした「間違い」になっています。「ケアレスミスは致命傷になる」という意識を持ってほしいと思います。
そもそも、ケアレスミスとはどんなミスなのでしょうか。それは、注意力不足によるミスを指します。算数の計算ミスは、もともとの計算力が十分ではなかったり、数字を雑に書いていたりすることが原因で起こる場合が多くあります。漢字の送り仮名の間違いも、練習不足できちんと身についていなかったことが原因です。これらは、日ごろの学習姿勢によるものであり、ケアレスミスとは異なる種類のミスだといえるでしょう。
注意力不足といえるのは、問題文を読み誤り、解答が問題文の指示に従っていないものです。たとえば、社会の「 に当てはまることばを答えなさい」という問題で、「 期」と書かれているのに、「高度経済成長期」という解答にしてしまうことが挙げられます。また、理科の「ばね」の問題で「全長は何cmですか」という小問の後に、「伸びは何cmですか」という小問があった場合、前の問題につられて「全長」だと思い込んで解答してしまうことも、ケアレスミスだと考えられます。
このようなミスを防ぐために、欠かしてはならないのが「確認」です。車の運転を例にとると、ほかの車が来ていないかを確認せずに、交差点をそのまま直進すると、事故につながる可能性があります。それと同様に、問題文を確認せずに、答えを出してそのまま解答欄に進むと、ミスが起こってしまうのです。
また、子どもたちにたびたび見られるのが、「過去に解いた問題と同じ」という勝手な思い込みから、問題文を読み誤ってしまうことです。先ほどの車の運転にたとえると、細い道を通るときにトラックが停車していたら、「子どもが飛び出してくるかもしれない」と考えて、徐行しなくてはならないはずです。「いつもは何も起こらないから大丈夫」ではなく、「今日は違うことが起こるかもしれない」という気持ちで、問題文と向き合うことが大切です。
「問題文を繰り返し読む」など、具体的な対策を実践
自分が解いたものが何を意味しているかを理解する
保護者の方がお子さんに注意を促すとき、「問題文をよく読みなさい」と声を掛けることがあるかと思います。しかし、これでは具体的な対策にはなりません。「問題文を繰り返し読む」ことを実践させるようにしてください。問題文をもう一度読むと、問われていることが頭のなかで理解できてくるでしょう。
さらに、算数では、問題を解く過程で、数字だけでなく、ことばや単位などをつけて書くようにするなど、文字を補うこともお勧めです。そのうえで、もう一度問題文を確認すれば、時速と分速を取り違えるといったミスを防ぐ効果があると思います。
具体策の一つとして、問題文に線を引く方法もありますが、「線を引く」という作業だけで終わってはいけません。線を引くのは、「何を問われているのか」を確認しやすくすることが目的です。自分が何を求めているのか、求めたものが何を表しているのかを考えながら、解き進めることが必要になります。「問題文の指示に従うこと」「自分が考えたものが何を意味しているのか理解すること」、この二つが一致すると、正答にたどりつけるのです。
ふだんのサピックスの授業や家庭学習において、初見の問題を解く際に、このような対策をとることを習慣づけてください。そして、日ごろから気をつけていること、練習していることをテストでもそのまま実践します。もちろん、テストには時間制限があり、焦りやプレッシャーも感じると思いますが、スピードと正確さのどちらを優先させるかといえば正確さです。スピードは、演習量と経験値を積めば上がってくるものと考えています。
問題文に「何となく」目を通すのではなく、今までにやった問題と同じだという思い込みを捨てて、1字ずつしっかり読んでいけば、指示されていることを正確にとらえられるようになってくると思います。まずは家庭学習のなかで、問題文を理解しないまま解答に進むことをせず、意識して少し立ち止まって確認するように心がけてください。
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