さぴあ何でも相談室
お子さんの学習へのかかわり方は、講師が保護者の方から相談を受けることが多いテーマです。お子さんの個性や発達の段階によって違いもありますが、保護者の方には、学年や時期に応じたかかわり方が求められます。どの時期に、どのようなことに気をつけてかかわっていけばよいのか、渋谷校校舎責任者にお話を伺いました。
第149回「学習における
保護者のかかわり方」回答者/渋谷校校舎責任者
短期的な課題だけではなく、長期的な視点を意識
学びの楽しさを学習する意義につなげる
保護者の役割は、長期的な視点で考えると、子どもの成長に従って、自立した学習習慣を確立させることです。しかし、高学年においては、受験学習として効率化を図る必要も生じます。そのため、保護者の視点は学年を追うごとに短期的なものになりがちですが、長期的な視点を忘れず意識することが重要です。
まず1・2年生の間は、学びが生活にかかわる広い意味を持っていて、楽しいものだと感じてもらえるようにすることが大切です。たとえば、国語で学んだ文章がおもしろかったという場合は、図書館で同じ作家の違う作品を探したり、疑似体験できそうなものであれば実体験へとつなげたり、学びが学習という形で「深める意義・苦労する価値のあるもの」だと、肯定的な印象を持たせることが重要です。3年生は、それを理科・社会という生活科の要素を含めて、より一層幅広く体感させる学年だといえます。
4年生になると、受験に備えるカリキュラムが本格的に開始されるので、3・4年生くらいから、学習習慣の確立に向けて、保護者の側からある程度の強い関与が必要となります。この時期は、お子さんもまだ保護者のかかわりを受け入れやすいうえ、保護者においても4年生までの教材であれば、それほど苦労せず、内容を理解したうえでかかわっていけます。ここでお子さんの状況を把握しておけば、たとえばどんなところでつまずきやすいのか、その特性も見極めやすいはずです。わからないとすぐ、考えないで解答を見たり、漢字の書き取りが正確ではないのに甘く採点したり、お子さんの取り組みに改善の余地がある場合、保護者が「こうするといいよ」といった声掛けをして、正しい方向へと導いてもらえればと思います。そして、その理由を明確に伝えると、お子さんは納得感を得られ、将来的には、そのようなことを自分で考える判断基準を培うことにもつながっていきます。一度身についた悪い習慣を直すことは大変難しいので、4年生までの段階でていねいにかかわりを持つことが、先々への大きな財産となります。
5・6年生では、お子さんも関与されるのを嫌がるようになるので、性格を踏まえて自主性も尊重しながら、ある程度の距離をとっていくのもよいと思います。受験勉強を家の建設にたとえるなら、4年生では多様な素材を十分に調え、5年生で設計図に従って骨格構造を組み上げ、6年生で最終的な仕上げを図るというイメージです。そのため、時期に応じたかかわり方が大切だといえます。
保護者のかかわり方の一つの例として
明確な基準を設け、子どもに納得感を与える
お子さんが保護者からのかかわりに不満を持つ場合、「学習に不規則に介入され、感情的に叱られる」と受け止めてしまっていることが、多く挙げられます。5・6年生では、特にそのような状況に陥りやすいので、お子さんと保護者の方との間でその基準を「明確に設けること」を、一つの対処法としてお勧めします。
その客観的な判断材料とするのは、月単位・週単位で行われる復習テストの点数です。家庭学習がきちんと行われていれば、現状で何点取れればよいか、その点数を話し合って、「取れなければ、こういうかかわりをするよ」としっかりと約束します。お子さんはかかわられないようにがんばるでしょうし、達成できなければ当然、かかわられることに納得せざるを得ません。何より、達成できれば「自分の力でできた」という成功体験につながります。
基準は一律ではなく、得意教科・苦手教科に分けて考えるとよいでしょう。高すぎる基準ではやる気につながらず、破綻もしやすいので、現状よりも少し高い点数を基準にして、達成感を得られるようにすることが大切です。基準に達しなかったときは、単元による点数の取りづらさなども考慮しながら、何が原因なのか、時間のかけ方が悪かったのか、単元の内容が不得手なものだったのか、きちんと話し合うことが重要です。そして、一定の時期ごとに、基準を見直すことも重要だといえます。
学習は次につなげることが大切です。反省や達成感を一喜一憂で終わらせず、次につなげられれば、より大きな成果へとつながっていきます。お子さんがみずから考え、工夫して深めるには、保護者の方は「自発性を促す」という長期的な視点を忘れずに、試行錯誤していただくとよいと思います。支え方はまた別ですが、お子さんを学習面で分析的・論理的であるよう促すには、かかわる側にもそのようなアプローチが大切だといえるでしょう。
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