受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 「算数が嫌い、苦手」という意識を持ってしまっているお子さんに対して、「何とかしてきちんと勉強させなくては」と悩んでいる保護者の方も多いかと思います。苦手意識を少しでも取り除き、算数から逃げずに、きちんと向き合うには、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。成城校校舎責任者に、アドバイスをいただきました。

第148回「算数に苦手意識があるとき、
家庭学習で気をつけることは?」
回答者/成城校校舎責任者

自分ができるところまでを完璧に解けるようにする
毎日の「基礎力トレーニング」がその土台に

 算数に限った話ではありませんが、苦手な教科ばかりに時間をかけて学習し、それでも成績が上がらないと、勉強そのものにマイナスの意識を持ってしまうことがあります。苦手な教科に力を入れたいときでも、ほかの教科とのバランスを第一に考えるのが重要です。一日の学習時間のすべてを苦手な教科に費やすことは避けて、ほかの教科も上手に組み込んでください。
 そのうえで、1週間のスケジュールを確認し、苦手な教科に優先的に取り組む曜日を設定します。最も効果的なのは、サピックスの授業があった日の翌日に、少し時間をかけて復習することです。できるだけ記憶が新しいうちに思い出して復習すると、理解できることも増えていくと思います。復習してもわからなかったところは、早めに講師に質問するとよいでしょう。
 算数が苦手なお子さんにまずやってほしいのは、「自分が理解できるところまでをしっかりやり切る」ことです。すべての問題に手をつける必要はありません。まったく歯が立たないような応用問題は飛ばして、その手前の標準問題までを完璧に理解できるように心がけてください。「きちんと解けた」という問題を増やしていくと、それが徐々にテストの点数に表れるようになり、お子さんの自信にもつながっていくでしょう。
 特に計算問題などの「基礎の基礎」といえる部分は、何度も繰り返し解く練習が必要です。その代表的なものが「基礎力トレーニング」です。毎日必ず取り組んで、算数と向き合う時間をつくるようにしてください。
 このように、こつこつと努力することが、最終的には入試での成功につながっていくのです。差がつく問題は、必ずしも難問であるとは限りません。算数に愚直に向き合って努力を続け、標準的な問題を取りこぼさないようにする「苦手なりの戦い方」で、合格を勝ち取る可能性は十分にあります。

「お子さん自身の成長」に目を向け、ほめることが大切
努力を続ければ、できることは確実に増える

 算数のなかでも、単元によって得意・不得意の差が出るお子さんもいると思います。サピックスのカリキュラムでは、時間を置いて同じ単元が何度か出てくるので、基本的には、今学んでいる単元をしっかり理解することを心がけてください。「年間学習法」を見れば、苦手な単元がいつごろ出てくるかがわかるので、その週は保護者の方が気をつけて、お子さんに「ちょっとがんばってやってみよう」などと声を掛けていただくとよいでしょう。
 お子さんの学習の様子を見ていて、いつもより復習に時間がかかり、つまずいている部分があるように感じたら、その時点で講師に相談してください。テストの結果には学習の積み重ねが表れるものですが、結果が出てから相談するよりも、その前の段階でつまずきに気づければ、早く対処することができます。そのためにも、授業でどんなことを学んだか、お子さんに聞いてみるなど、会話することを心がけるとよいと思います。
 また、ふだんから「苦手」を必要以上に感じさせないようにすることも大切です。自分ができるところをがんばって学習し、テストでそれまでよりも間違える問題が減っていたら、思い切りほめてあげてください。学習してできることが増え、それを周りの人に認めてもらえると、達成感が得られて、その後のモチベーションにもつながります。ほかのお子さんと比べるのではなく、「お子さん自身の成長」をしっかりと見てあげましょう。
 低学年のお子さんであれば、日常生活のなかで、算数に興味を持つきっかけを探すのもお勧めです。たとえば、「割合」を学ぶのは5年生ですが、買い物をしていると、「3割引」などの表示をよく目にします。身近なところに算数が関係していることがわかれば、「もっと知りたい」と学習への意欲が芽生えるかもしれません。
 苦手な教科は短期間で変えられるものではありませんが、日々の努力を止めてしまったら、先には進めません。努力を続ければ、できることは確実に増えていきます。見た目のテストの結果が心配になってしまうことはあるでしょうが、お子さんが「できる努力」を最後まで続けられるように、温かく見守ってください。

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