さぴあ何でも相談室
国語の読解問題では、4年生から5年生、5年生から6年生に切り替わるときに、設問の難度が上がります。設問の意図がわからないままで取り組むと、なかなか解答を導き出せず、成績が伸び悩むお子さんも多いかと思います。読解問題に取り組む際のポイント、そして家庭でのサポートについて、王子校校舎責任者(国語科副教科責任者)にお聞きしました。
第146回「設問の難度が上がる国語の
読解問題にどう対応するか」回答者/王子校校舎責任者
学年が上がると、設問の条件や設定が変化
講師の解説と自分の解答の差を考えてみる
国語のBテキストでは、学年の切り替わりの際に、文章の難度が極端に上がるわけではありませんが、設問の条件や設定が変化します。4年生では解答の字数制限がなく、本文に書いてあることを、時系列や因果関係に沿ってまとめれば答えられます。しかし、5年生になると字数制限が設けられるので、本文に書いてあることを抽象化していく必要が出てきます。また、「自分のことばで説明しなさい」「この場合はどういうことか」などの条件が加わることもあります。条件によって解答の仕方が変わるため、「こういう条件にはこう答える」というルールを理解していないと答えられないでしょう。
さらに6年生では、「何を聞いている設問なのか」がわかりづらくなります。作問者の意図を読み取って、何について説明する問題なのかを理解しなくてはなりません。学年が上がるごとに解きづらさを感じるのには、このような理由が考えられます。
問題をしっかり解いているのに、点数が伸びないというお子さんは、「ただ解いているだけ」になっているのではないでしょうか。問題を解くことは学習の準備段階であり、重要なのはその後の見直しです。読解問題では、正解を覚えても次につながるわけではありません。「解答に至るまでの思考の仕方」を学び、それを積み重ねていくことが点数につながるのです。
講師は授業のなかで、設問への対応法のヒントを教えているはずです。家で復習するときには、その問題の解説で講師が何を話していたかを振り返り、そのなかから設問に対する解答の仕方のルールを見いだしていく必要があります。講師の解説において、「この部分は自分も考えた」「この部分の視点は足りなかった」というように、自分の解答との差を考えながら授業を受けるとよいでしょう。講師が話すことには意図があるので、細かい部分も聞き逃さないように、授業に集中することも大切です。もし「講師が解説したことがほとんど理解できない」という場合は、質問教室を利用してください。
過去に取り組んだ文章や自分の経験とリンクさせ、
そのときのルールを応用して解答を導く
保護者の方には、お子さんに解答の仕方のルールを教え込むのではなく、「設問に対するルール作りが必要」という視点を持っていただきたいと思います。「どういう考えでこの解答を書いたの?」「先生はこの問題で何を教えたいと言っていたの?」などと声を掛けると、お子さんも自分には何が足りなかったかがわかり、ルールを見つけやすくなるでしょう。
国語では毎回異なる文章を読むことになりますが、以前に取り組んだ文章とテーマが似ていたり、同じような設問が出されたりすることもあります。授業のなかでも、講師が「これは前に出てきたあの文章と同じようなテーマだね」と説明することがあります。過去に取り組んだ文章や自分が経験したこととリンクさせ、そのときのルールを応用していくことが、解答を導き出す力になるのです。
保護者の方も、ぜひサピックスのテキストの文章を読んでください。そうすれば、お子さんが今取り組んでいる文章が以前やったものに似ている場合に、会話のなかでヒントを出して、リンクさせることができます。夕食のときなどに、テキストの文章について親子で話し合うのもお勧めです。お子さんの意見を引き出して、自分でアウトプットする機会をつくってみてください。お子さんが疑問に思っていることがわかれば、保護者の方がそれに対応することで、足りない部分が見えてくると思います。また、保護者の方がお子さんとは別の視点を示してあげると、それも次につながる経験として積み重ねられていきます。
お子さんのことばの世界を広げてあげることも、ご家庭で果たす役割が大きいものです。「こういうことばには、こういうイメージがある」ということは、大人との会話のなかで身につきます。保護者の方には、ぜひとも身につけておきたい常識やことばの感覚を養うための声掛けをしていただければと思います。
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