受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 早稲田中学校

中学受験を終えて

M.Sさん お子さんの名前 Cさん

 受験を終えて20日。サピロスだ!とたまに呟きながら、中学生活への期待に満ち、小学生最後の日々を友達と楽しく過ごしている。
 知識のほとんどを習い終える5年生。息子は算数のスピードについていけず、取り残された。得意の国語はほぼ何もせず上位のまま、算数とは天と地の差だった。「サピックスは冷たい塾です」を鵜呑みにし親子で質問できずにいた。
 6年生になった。ある日友達が質問教室に行った話を聞いてきた。「今日行ってみようかな」、やっと息子が動いた。
 それから毎回授業の度に質問教室に行き、最終日まで算数を聞き続けた。先生から直接分からない所を教わる事が嬉しかった。教わった問題が出たら先生の顔が浮かぶ程集中していた。点数は正直あまり変わらなかったが、ようやくサピックスが楽しいと言い始めた。
 そして同じ学校を目指す仲間の存在に本当に助けられた。この仲間と過ごせる学校生活を夢見て、全力で受験に挑んだ。
 2月1日、時は来た。「大丈夫、できる、あせらない」と自分に言い聞かせ麻布に向かった。午後までの長い試験。終わってすぐに次の都市大へ。終わると日が暮れていた。
 2月2日、第三志望の本郷。朝一で確認した都市大の結果は〇。麻布の結果は明日。不安な気持ちを抑え午前中を乗り切る。午後の合格発表はまさかの不合格。押さえのはずだったのに。親子で打ちのめされ、焦りの気持ちが沸き出す。
 2月3日、麻布の合格発表は午後。倍率も偏差値も麻布より高い、第二志望の第2回早稲田。志望校判定では20%。もう無心だった。やり切るしかないと送り出す。終わって即帰宅し正座して麻布の結果を見る。息子の番号はなかった。固まって涙も出ない。ずっと麻布のためにやってきたのに。何も考えられない。どうする事もできない。やるせない気持ちのまま、翌日の受験を申し込む。
 2月4日、芝。小雪のちらつくとても寒い日だった。「大丈夫。いつも通り」息子は今までで一番冷静だった。早稲田の発表は試験中の10時。駅の構内で発表の画面を確認した。「合格」。私は一人で大号泣した。
 最後の試験が終わり、息子と合格を再確認した。「よかったね」全く嬉しい表情ではない。先生に電話で「嬉しいけど複雑。喜べない」と報告した。何で第2回目の難しい早稲田に合格できたのに麻布の時に力を出せなかったのか。悔やみきれない、と。先生は「おめでとうございます。やっと終わりましたね。どこに行く事にしたの?」自分の心を正直に伝えた。「いいんじゃない? それで。すぐにその気持ちは消えないから。でも何も生まれないよ? それだったら早稲田に行って何をしようか考えるほうがいいんじゃないかな?」それを聞いてようやく顔が少しだけ上がった。
 12才の息子は、自分を大切に見守り成長させてくれたサピックスを一生忘れないだろう。周囲への感謝を胸に新しい場所へ進んでいってほしい。

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