受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 麻布中学校

学ぶとは、何か

R.Kさん お子さんの名前 Sさん

 卒園遠足を早退してまでもうすぐ1ねんせい講座に出席したい!と懇願していた時から、SAPIX、中学受験、麻布は次男の中で確かなものだった。
 幼少期からおしゃべりで記憶の引き出しの扱い方が上手く、関連づけて考えることが好きだったが極度の鉛筆嫌い。字も汚く雑で机に向かって書いて勉強するスタイルを好まない。家庭学習の習慣が身につかない。家で勉強しない中学受験生への苛立ちを本人がSAPIXに楽しんで通っているという事実でなんとかごまかし、耐え、次男の底力とSAPIXを信じた。
 父は小5の11月から基礎トレを毎日解き次男と点数を競った。母は国語の日は本文を読み込み、次男と感想を議論した。学習サポートといえるものはそれくらいで、ただ耐え、信じた。信じられる根拠を求めながら信じた。
 小6の夏を過ぎても家では漫画を読む姿ばかりが目に付くものの、その情報はどこから?という知識の数々と、間髪入れずにここに書いてあると持ってくるスピードの速さには唸った。学んではいる。ただ書かない…。年末には目の色も変わるだろうと待機していたら、年末に発熱。冬期講習も数日欠席、激やせで蒼白の正月特訓。明らかに弱っていたが目の色は輝き続けていたように思う。
 入試の3週間前から学校を休んだ。家で勉強しない姿を見たくないので見ないようにしていたら、SSの算数プリントの山をデン!と机に置き黙々と解いていた。その顔の精悍なこと。「記述読む?」と渡されたほぼ文字数通りの文章の説得力たるや。いつの間にこんなに力をつけたのだ? 見ないようにしていたら見逃してしまった。
 受験前日「期待しててよ」とつぶやき、いつもより早めに寝室に向かう姿は眩しかった。これまで机に向かって筆記具を持つ次男の姿を見る機会は極端に少なかったが、何よりSAPIXの授業を楽しみ、授業中はしっかり書きつつ記憶として吸収し、家では時にテキストを読み、漫画や小説、ニュース、親との会話などから情報を見聞きし、それらを結びつなげ、深め、思考力を高めていったのかも…しれない。ここまでの思考力と記述力を身につけているなら大丈夫と、次男の言葉を根拠をもって信じることができた。
 2月1日、学ぶって何だろう? そんなことを考えながら合格を祈り、帰宅後見せてくれた麻布の社会の問題に感嘆した。本人もあとから苦笑いするほどの大きなガッツポーズと受験校全てで合格を頂き、次男の中学受験は幕を閉じた。
 小6の11月、もう耐えられない…でも信じたい…と相談した際に、母には「麻布を目指す子ってそんな感じだったりしますよ」という言葉で、父とはお忙しい中、三者面談の時間を作ってくださり、信じる方へと導いてくださった理科科の先生をはじめ、SAPIXの先生方に心より感謝したい。
 今後も次男のスタイルで気心の合う友人や先輩後輩、恩師と出会い、知識や興味を共有し合い、自分の頭で考えることを続けて欲しい。

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