Spotlight
(「24年11月号」より転載/24年10月公開)
横浜女学院
中学校高等学校
鳴子と対馬でのスタディツアーで
現代の社会課題に向き合う
「愛と誠」を校訓とした人間教育を行う横浜女学院中学校高等学校は、「キリスト教教育」「学習指導」「共生教育」を教育の三本柱に据え、社会に貢献できる女性の育成に取り組んでいます。今回は、「探究」の授業の一環として開催しているスタディツアーを取り上げ、目的やプログラムの内容について、社会科主任・教務部長の鈴木俊典先生に伺いました。
学校にゆかりのある宮城県の鳴子で
多角的な問題に直に触れる
鳴子の森に入り、チェーンソーを使って木の伐倒体験をする生徒の様子
横浜女学院中学校高等学校では、「自ら行動する」「隣人を愛する」「世の中に働きかける」「自らを知る」「隣人を知る」「世の中を知る」という6領域における12のコンピテンシーに基づき、自己受容力を高め、多角的かつグローバルな視野を持ち、社会貢献を果たすことのできる生徒の育成をめざしています。
これらのコンピテンシーを伸ばすために、同校ではキリスト教に触れる「八学会」をはじめとする宿泊行事を設けています。2023年秋から始動した「鳴子スタディツアー」は、高1生を中心とした希望者が対象。同校で使用されている机と椅子を製作し、林業を通じて社会の課題解決に向けて活動を行う大場隆博さんの協力を得て、林業の現場でチェーンソーを使った木の伐採を体験したり、無駄のない木材の利用について学んだりします。「社会課題に学問的にアプローチすること」を目的とした2泊3日のプログラムです。
今年の5月に開催した「鳴子スタディツアー」を企画・立案した社会科主任・教務部長の鈴木俊典先生は、その目的を次のように語ります。「中3ではニュージーランド語学研修、高2では京都・広島を訪れる総合セミナー、高3では三度目の八学会を開催しているなかで、高1だけが、宿泊研修がない学年となっていました。中高6年間を通した宿泊研修は、中1で友だちやキリスト教との出会いから世界を広げ、高2で歴史的に重要な都市を訪れて過去に視線を向け、高3の八学会で未来に視点を向けながら今を見つめる、といった流れに基づいています。過去を見つめる前段階にあたる高1では、今の世の中をしっかりと見るための取り組みが必要だと思い、スタディツアーを開催することにしました」
今年から新たに対馬でもツアーを開催
さらに深い学びが生徒の糧に
社会科主任・教務部長 鈴木 俊典先生
「鳴子スタディツアー」では、大学附属農場として全国一の規模を誇る東北大学の川渡フィールドセンターや、次世代放射光施設であるナノテラスの見学といったアカデミックなプログラムも用意。「理系の研究の様子を間近で見ることによって、文理選択や進路選択の一助にしてほしいと思っています」と鈴木先生は言います。
スタディツアーでの体験は、校内外の活動に参加した生徒が、その活動で学んだりチャレンジしたりしたことを全校生徒と共有する集会「Assembly」にて報告されます。活動報告に知的好奇心や探究心を刺激された多くの生徒が、次回のスタディツアーへの参加を希望するといった効果が生まれているそうです。
今年の11月には、新たに長崎県対馬市でのスタディツアーの開催が決定しています。自然豊かな対馬ですが、多くの海洋ゴミが漂着する場所としても知られています。また、絶滅危惧種のツシマヤマネコの保護の問題、国境の島ゆえのさまざまな国際問題も抱えています。
「対馬では、民泊を通して生徒たちに地元の皆さんと交流してもらいます。その触れ合いのなかで、対馬特有の文化や社会問題を知ってほしいと思っています。対馬でしか味わえない体験を言語化し、『Assembly』で自分が感じたことを発信する活動までを含めた学びが、スタディツアーだと考えています」と鈴木先生は結びました。
《学校のプロフィール》
横浜女学院中学校高等学校
●所在地:〒231-8661 神奈川県横浜市中区山手町203
●TEL:045-641-3284
Information
※学校説明会などの情報は下記よりご確認ください。
www.yjg.y-gakuin.ed.jp/examinees/schedule.php
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